研究員ブログ

大洲市長浜 ㈱セラリカNODAつるかめ喜多工場に行ってきました!

みなさんこんにちは!近代化遺産担当の研究員 鈴木です!!

近代化遺産ブログ5回目は、木蝋(もくろう)を生産している㈱セラリカNODAつるかめ喜多工場です。

ここは、「赤橋」の愛称で親しまれる長浜大橋の近くの工場です。

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工場の中を見る前に、「木蝋」って何かみなさん知っていますか?

木蝋は、ハゼの実から抽出できる油脂に属する蝋状の物質。つまり、天然植物系のロウです。

江戸時代は、和ろうそくや鬢付け油に使われていました。

現在は、化粧品類(口紅やクリーム)、筆記具(クレヨンや色鉛筆)等々に使用されています。

口に入っても大丈夫な天然の素材として使われています。

それでは、昭和前期に近代化された姿を残す工場を見てみましょう。

 

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これは、脱穀機です。原料である枝についたハゼの実をこれにかけます。

 

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次にボイラーです。このボイラーの熱と蒸気を使います。

ハゼの実の残りかすを原料に燃やしています。

なんと!!稼働しているボイラーでは日本最古のものです。

 

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ハゼの実に熱や溶剤が加えられ、作業工程を経て、生蝋を抽出し、磁器のどんぶりにて冷やすとこのようになります。

この後、別の業者によりさらし(天日干しにより漂白)が行われ、白い蝋になるそうです。

 

この工程を喜多工場担当の桜木さんは1人で作業を行っています。

古いボイラーを使い、非効率な面もあるが、自然な製法にこだわり、「無くすことは簡単だけど無くしてしまったら二度と元には戻せない」

という思いで今も古くからの製法でつくられています。

木蝋を生産しているのは、この工場が全国の2.5割、福岡の荒木精蝋が7割、残りが京都にある数社のみです。

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近代化の様子を残す一連の生産システムそのものが今も現役で動いている貴重な工場でした。

 

くわしくは、

・愛媛県の近代化遺産 平成25年3月 愛媛県教育委員会 P136

(愛媛県教育委員会ホームページにて閲覧できます。)

・えひめの近代化遺産 平成25年10月 (公財)えひめ地域政策研究センター P44

(当センターにて購入できます)

・これだけは見ておきたい 日本の産業遺産図鑑 平成26年4月 著:二村悟 平凡社

に掲載されています。