こんにちは!
臨時研究員の徳永デシ(^O^)/♪
今回のブログでは、先日、当センターと縁側プロジェクトで主催させていただいた、ミニフォーラム『地域コミュニティの形成~”生きる”と”死ぬる”~』で、愛媛県で初めて託老所を造られた中矢暁美さんをご紹介します(@^^)/
講話の際の、中矢さんのお話には、何名かの方が涙を流されたりと、それぞれ思うところがあったようです。
今回は、そのお話を、中矢さんの”生のお話”とは月とスッポンですが、出来る限り詳しく伝えたいと思います( ..)φ!!
まず、中矢さんが求めることは「人と人のつながり」。
「その人と人のつながりの中で、安心して老いていけるような、家族や地域での支え合いをつくっていきたい。」
そんな思いが強くなったのは、以前勤めていた当時の特別養護老人ホーム(介護保険制度などが整備されていない頃)での経験がきっかけだそうです。
特養は、百何人とお年寄りが入れる大きな施設ではあるが、中矢さんにとっては、自分の親を入れたいとは思えなかったそうです。自由が少ない仕切られた空間のなかで、その人らしさを大切にしながらケアをすることは難しいと、中矢さんは感じ始めました。
1日に何度も外に出ようとするお年寄りがいて、その人をただ単に拘束して、好きにできないようにさせた状態でいいのか。
沸々と疑問が生まれていた当時の経験を、「それでは穏やかに死んでいくことはできない!」と強く話されていました。
外に出たいのなら、外に出たらいい。
本当にその人を大切にすることは、普通の家で、普通にご飯を食べ、普通にトイレにも行くという、今まであった生活を変えないほうがいいのではないかと、中矢さんは思ったそうです。
そして、その思いを胸に1997年、愛媛県内で初めて、託老所を造られました。
託老所「あんき」 という名前は、松山弁で「気楽」を意味し、”この場所をお年寄りにとって、自分の家のように安らかであんき(気楽)なところにしたい”との思いから付けられたそうです。
託老所は、日本文化を残した昔ながらの家で、どんな世代もホッとするような空間になっています。
以前のように大勢ものお年寄りを看ることはできませんが、現在は本当に一人ひとり丁寧にケアをすることができているようです。
託老所で過ごすなかで、必ず向き合うのが「死」。
お年寄りの方々が亡くなられる直前は、近所の方々が声をかけあって、お別れの挨拶をしに あんき に集まります。
みんなに囲まれて穏やかな顔で安心して眠りにつく姿は、「死」というものが怖いものだと感じさせません。
それは、縁ある人が集まることで、人間らしく眠ることができ、「死」に対して穏やかに向き合えるからではないでしょうか。
実際に中矢さん自身のお母さんもあんきでケアをし、安らかに眠られたそうです。
あんきでは、そうして「人と人の縁」を地域で紡ぐ役目も果たしています。
現在は、人とのつながりを切ってしまう社会になっているのではないでしょうか。
そうではなく、人は人として、付き合い、生きていきたい。中矢さんはそこをつながるようにしていきたいと思っています。
「縁から絆に」
あんきには、駄菓子屋さんも造っているので、近所の子どもたちが来ます。もちろん、色んな障がいを持った方も来ます。ミニフォーラムを催すことで、スーツを着た大人も集まります。
このように様々な方があんきに来ることで、地域の人たちがつながっていきます。
あんきは、地域の人が集まり、助けられたり、助けたりして、人として”生き”きることができる場になっているのです。
<ミニフォーラム後のBBQの準備をしてくださっている近所の方々>
最後に、人は必ず老いていくなかで、一人ひとりがどのようにして「死」と向き合っていったらよいのか、伝えたいと思います。
まず、年を取り、筋力が衰えていくことは、”あたりまえ”という理解をすることが大切です。
治療や、薬などで治る病気もありますが、老衰は誰にでも等しく訪れるので、そこで延命するのはどうでしょうか。
延命するかどうか、どうやって死に向かっていくかは、自分で決めておくことがいいのでしょう。
人に自分の生をまかせるのではなく、どんな人生を望むかは、自分で自立して考えておくこと。そして、地域の中で助けてもらいながら生ききる。
それが、あんきでも見られる「穏やかな死」になるのではないでしょうか。
そんな姿を若い人たちも見ることで、こんな風に眠ることができるんだ、と「死」に対しておびえずに、親の死や自分の死に向き合っていける・・・。
死んだ人が教えてくれるものをきちっと”命のバトンタッチ”として、受け継いでいきたい、と中矢さんは思いを込めてお話をしてくださいました。
長くなりましたが、人間が生涯向き合っていく今回のテーマは、改めて「生きるとは」「死ぬるとは」何なのか、考えるキッカケになりました。現在では介護保険制度も充実してきていて、制度に頼るだけじゃなくて自分たちでもできることはいっぱいあるんだなと思いました。
中矢さん、大変ありがとうございました!(^^)!
ここまで読んで下さった方もありがとうございます~(●^o^●)