研究員ブログ

街道灯籠祭り 行灯回廊をゆく

街道灯籠祭りのひとつとして、8月16日に宇和島市津島町岩松地区で開催されましたイベント「つしま夏祭り前夜祭」(主催:岩松町並み保存会)に参加いたしました。

岩松地区ではこの街道灯籠祭りを4回実施予定(うち2回は既に実施)で、その内容も少しずつ異なっており、すでに何回か研究員ブログでも紹介していますが、宇和島圏域で「街道灯籠祭り」と銘打ったイベントを展開していても、灯籠の種類からその並べ方や開催方法において地域ごとに特色があり、そのあたりが画一的でなく地域の特性を生かしたとてもユニークな取り組みといえます。

この日のイベントは、翌日(17日)に開催される津島町の夏祭りのプレイベントとして開催され、街並みの灯籠によるライトアップと一部店舗による夜店の出店、岩松地区にある臨江寺において「こんちき」による和楽コンサートが催されました。

臨江寺山門 境内

※左:臨江寺山門
(お寺とは思えない大正浪漫の香りがする建築物)

※右:お寺の境内(後姿は森田さんです)

カキ氷 ラムネ

※山門前のカキ氷屋(左)や寺境内のラムネ売り(右)も

灯籠1

※岩松地区の灯籠は長ロウソクを使用していました
(他地区のロウソクはキャンドルタイプを使用)

こんちき

※「こんちき」さんの演奏の様子(この日は、佐渡おけさ、沖縄民謡、ソーラン節、津軽じょんがらなどを演奏していました)

ライトアップ

※町並みライトアップの様子

このイベントは昨年度から実施されているそうで、今年は昨年度のおよそ倍の300個の灯籠が町並みとコンサート会場に設置されていました。コンサート会場である臨江寺には400人ほどのお客さんが訪れ、お寺の境内の中で奏でられる和楽と灯籠のゆらぎに酔いしれていたようです。

さて、この岩松地区の灯籠イベントの最大の特徴は、

町並みに設置する灯籠を各家々で保管してもらい、祭り当日の夕方になったらそれぞれが家の前に灯籠を設置して点灯してもらうという、地区住民全体が参加する仕組みがある

ということでしょうか。

これは他地区で行われている「街道灯籠祭り」の灯籠イベントにはない取り組みで、岩松町並み保存会の森田さん(えひめ地域づくり研究会議運営委員、元当センター研究員)にお話をお伺いすると、いずれはロウソクも各家々で用意してもらう形をとりたいといった話もされていました。

街道灯籠祭りのイベントではないですが、同時期に開催している西予市宇和町卯之町地区で開催している「卯のほたる」では、町歩きに使える竹でつくった手持ちの行灯を来場者向けに販売しており、その売上がイベント費用の一部にまわるという仕組みづくりを行っています。

このように、地区住民全体や来場者にイベントに参加してもらう仕組みづくりや、イベント費用の一部負担をしてもらう仕組みづくりは、持続的にイベントを開催していくために大変重要ななことといえるのではないでしょうか。

なお、岩松地区の灯籠イベントは31日にも開催されます。興味のある方はぜひ津島町岩松地区まで。このイベントに対するお問い合わせは岩松地区町並み保存会(0895-32-2721 内線332:事務局の森田さん)まで。

また、宇和島市のHPに岩松地区の概要がわかるページがありますので、そちらも参考にしてください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)