研究員ブログ

山鳥坂の夜神楽(大洲市肱川町岩谷地区)

8月13日(月)に大洲市肱川町岩谷(いわや)地区「山鳥坂の夜神楽」が開催されました。当地区の鎮縄神楽(しめかぐら)は愛媛県の無形文化財で、300年以上の歴史を持ち、平成10年にはロンドンで公演されたそうです。

この鎮縄神楽で地域を活性化しようと、山鳥坂夜神楽実行委員会(冨永清光委員長)が中心となって地元の自治会、鎮縄神楽保存会の皆さんが毎年8月13日に夜神楽を開催され、今年で十周年になります。

夜神楽会場風景(1) 夜神楽看板

 場所は元岩谷小学校で、夕方6時から自治会まつり、続いて夜神楽公演と続き、この日ばかりは約300人(地区人口の何倍?)の見物客がやって来て、山郷も賑わっていました。

今年のメインは巨大な八岐大蛇が 山から会場に舞い降りるアトラクションです。参加された方も口々にスゴイという声があがり、効果満点でした。

神楽のストーリーは、神代の昔、天照大神が弟 の素盞嗚尊(すさのおのみこと)の乱暴を憤って天の岩屋へ籠もられたので、高天ヶ原に八百万の神々を集めて協議をして、岩谷の前で鈴や笛、庭火をたき、舞 を舞うお神楽をはじめたという神話が起源になっています。神楽はなんと言っても最後の「大蛇退治の舞」で本当に最高でした。

巨大な大蛇登場 大盛況の夜神楽

神楽を見るのは本当に久しぶりでしたが、無形文化財になるだけあり、なかなか面白く拝見しました。特に地元の人や帰郷した人達が神楽を通して交流し、 お酒を飲んだり歓談されてた様子は、さながら縁日や大祭のようで、なかなかいい感じでした。

お盆は、正月と並び国民的な民俗行事で、広辞苑によると帰省は 「故郷に帰って父母の安否を問うこと」だそうです。神楽を見ながら、久しぶりに親戚や近所の方、友人と顔を合わせてビールを片手に話に花を咲かせ、祖先の 墓前で手を合わせ、供養と感謝の気持ちを新たにする。「癒やし」の側面があり、お盆の行事でもある「夜神楽」は次世代にも受け継ぎたい風景です。

ただ、山鳥坂ダムができると会場である元岩谷小学校も埋没するようで、この夜神楽など地域のコミニュティの拠り所をどうするかなど、課題は多いようです。冨永委員長はじめ岩谷地区の皆さん、ご苦労様でした。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 清水和繁)