研究員ブログ

来住廃寺まつり

8月19日、松山市久米地区において「来住廃寺まつり」が行われました。この来住廃寺まつりは、地域の歴史に親しむとともに、地域に誇りをもてるようにし、また、さらなる地域の発展をめざして、1995年に久米公民館を中心として始められたものです。古代の衣装の復元や雅楽久米舞、火起しなど来住廃寺にゆかりの行事を取り入れています。また、久米地区の小・中学生による水軍太鼓の演奏や久米芸能連による民謡・盆踊り、地元の各種団体によるバザーなどがあり、毎年2,000人以上が集うイベントです。

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開会行事の様子

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久米芸能連の「雅楽久米舞」

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松明点火のための種火を熾す久米中学生

会場となった来住廃寺跡は、法隆寺式伽藍配置を持つ白鳳期の古代寺院跡で、昭和54年に国の史跡指定を受けています。これまでの調査によって、南側に八脚門をもち、内部の建物を2重の柱列によって取り囲んだ、一辺約100メートルの『回廊状遺構』と呼ばれる施設が廃絶した後(7世紀後半以降)に建立された古代寺院であることが分かっているようです。現在、調査によって確認されている主な遺構には、一辺が約9.75mをはかる塔の基壇および、その上面に残された柱の礎石、大型の石製露盤、僧坊と考えられる掘立柱建物跡、講堂に伴うと考えられる玉石組雨落溝などがあり、現在も継続して調査が続いているようです。

えひめ地域政策研究センターの平成19年度アシスト支援事業の助成団体である「久米はいじの会」が出店していることもあり、夕涼みがてら会場を覗いてみました。久米はいじの会は、このまつりのプレイベントしして8月4日に「シタールの演奏の夕べ」を開催しており、この日も会員総出で、地酒「久米舞」のオンザロックや久米の赤米を使ったポン菓子、オリジナルポストカードなど地域おこしとなる品々を販売していました。

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久米はいじの会の出店

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地酒「久米舞」の美味しい飲み方を研究中

久米はいじの会は、国史跡久米官衛遺跡(来住廃寺)に興味を持ち、遺跡を通して久米地区を活性化しようと集まった有志グループです。まだまだ少人数ですが、地域資源を最大限に活用し、自分達も楽しみながら活動されています。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)