研究員ブログ

2007なんよ地域づくり事例発表会

 平成19年9月6日、西予市の愛媛県歴史文化博物館で「2007なんよ地域づくり事例発表会」(第26回政策研究セミナー)が行われました。今回は愛媛県と当センターが主催、愛媛大学が共催で開催されました。当日は行政やまちづくり関係者など約200名にご来場いただき、会場となった多目的ホールはほぼ満席となりました。

 はじめに県外先進地での取り組み事例の紹介として島根県江津市のNPO法人結まーるプラス理事長かわべまゆみ氏に、「無人駅が観光・定住・ITのサービス拠点に」と題して講演していただきました。島根県江津市へIターンした経緯やインターネットを利用した地場産品販売の秘訣などマーケティンのプロならではの貴重なお話を聞くことができました。

 その後、愛媛大学の有馬准教授から(財)えひめ産業振興財団や愛媛大学、井関農機などが連携して取り組んでいる「植物工場の現状」についての説明や他地域の植物工場の事例紹介がありました。

 そして休憩をはさみ「これからの南予の地域づくりについて」をテーマに地域づくり実践者によるパネルディスカッションが行われました。パネリストは八幡浜ちゃんぽんプロジェクトの仕掛人である八幡浜商工会議所青年部前会長の伊藤篤司氏と宇和島市の岩松地区でどぶろくの製造などで町づくりに取り組んでいる宇和島市役所津島支所の森田浩二氏に結まーるプラスのかわべ氏が加わり3名で行われました。八幡浜ちゃんぽんプロジェクトとどぶろく製造の取り組みについての苦労話や今後の展開などについて説明があり、最後に今後の南予地域活性化にむけての地域資源活用のポイントやネックなどについて意見交換が行われました。

 印象に残ったのはかわべ氏がIターンされた時の話でした。かわべ氏は、東京でマーケティングの仕事をしながら都会での生活を送っていましたが、夫の希望もあり夫の里にIターンされました。ただその時にはかわべ氏自身は田舎暮らしに何の興味もなかったとのことでした。ただ地方都市で生まれ、大都会の生活も経験したので、あと経験していないのは田舎の生活だけだから、それを経験できる良いチャンスだと考えたとのことでした。

 この発想の転換というか前向きの姿勢というか思い切りの良さは、なかなか真似ができないことだと思います。講演からは、かわべ氏のパワフルなオーラとプロ意識の高さが伝わってきました。

 もう一つ印象に残ったのは、マーティングの大切さです。同じ商品でもパッケージなどの見せ方次第で売れ行きが変わります。もちろん品質は大事ですが、良い商品を作りさえすれば売れるというものではありません。買う側がその商品を見て何を感じるかが重要です。これは売れないと思っても違う感性で見ると魅力的な商品になります。

 たとえば“一番”とか“大和魂”とか書かれた日本語のTシャツを私は買いませんが、外国人は日本のお土産として買っていくというようなことです。地域資源を地域ブランドとして売っていくためには、熱い思いだけではなくクールな感性と分析力も必要だと思いました。

(文責 企画研究部門 研究員 河野 洋)