研究員ブログ

小林 至 講演会その2

【アメリカ生活から球団経営へ】

 1995年新天地を求めてアメリカへ、当時、流行っていたMBAを取得するため渡米しました。コロンビア大学経営大学院入学。東大時代に経営学を専攻していたので違和感なく2年後にMBAを取得することができました。そして、旅行に訪れて以来、一度こんなところに住んでみたいと思っていたオークランドにある「ゴルフチャンネル」という会社に入社しました。そこでの仕事は、同時通訳、翻訳、コメンテーターなど、いわく「英語屋」。執筆業も精力的に展開しました。

 しかし住めば住むほどアメリカの格差社会が、どんどん自分の理想から遠ざかっていくことを感じ始めていました。日本人に生まれて良かったなどと言っているうち、経営トップに呼ばれ、国と会社の人種差別体質を公に批判したということで突然クビを言い渡されました。アメリカで約7年足らずの生活でしたが、帰国を決意し2000年12月再び日本へ帰ってきました。

 そして帰国後、江戸川大学から教育界へと誘われ、「いずれは」と思っていた仕事であったため直ちに「イエス」と答えて、スポーツビジネスを中心とした経営学を専門分野として社会学部で教鞭をとることとなりました。

 スポーツビジネスという観点から当時の日本プロ野球の現状を見ると、ファンの人口は伸び悩み、球団経営は健全さに欠け、有望選手は米国大リーグへ流出して行く非常に危機なる状態でした。

 そして2004年の球界再編問題をきっかけに「合併、売却、新規参入。たかが…されどプロ野球!」という本を書き上げ、この書籍が孫正義氏の目に留まり福岡ソフトバンクホークス株式会社取締役となり、12年ぶりに再びプロ野球の世界に足を踏み入れました。

 今の日本のプロ野球で良い所は、WBCでの優勝したことでも証明された選手の力が世界トップクラスであること、本年の観客動員数が史上最高となったことです。

 例えば、ソフトバンクは、観客動員数320万人、1試合平均32,000人、稼働率90%、これは地域に密着している球団であること、ローカル局が地元チームの情報を頻繁に放送し選手の露出度がすごいことである。日本ハムも東京から北海道へ行ってから飛躍的に良くなりました。反対にヤクルトは特徴のない球団になっています。松山には素晴らしい球場がありますがいかがですか。

 私の夢は、米国の大リーグに負けないほどのピカピカの輝きを日本のプロ野球界に取り戻すことです。そのためには地域の力を頼りにプロ野球のブランド価値を上げていく必要があると思います。

 今回の講演で小林氏は、日本プロ野球の復活は、地方の活性化と地域の力を頼りとしていると言われています。愛媛のマンダリンパイレーツや愛媛FCを全国ブランドにするためには、愛媛県民挙げての応援が必要ではないでしょうか。

(文責 企画研究部門 研究員 秋山照彦)