研究員ブログ

大学の地域貢献

秋といえば「食欲の秋」を私は真っ先に思い出してしまいますが、「読書の秋」でもあります。みなさんは、秋の夜長にどんな本を読みますか?

さて、最近ですが個人的に調査・研究しているテーマの関係で「大学の地域貢献」について読んでいる本があるので、みなさんにご紹介します。

 大学と連携した地域再生戦略 (大宮登・磐田正 編著)

書籍
(ぎょうせい 3,500円税込)

 大学と地域の連携によるまちづくり

 この本は群馬県高崎市にある公立大学「高崎経済大学」の地域貢献に関するおよそ10年の取り組みをふり返り、いわゆる「大学の地域貢献」のあり方について書かれた本です。

 以前、筆者がこの研究員ブログでも指摘しましたが、かつての「産官学」連携は、「工業系」の技術開発などの産業振興に対する寄与がたいへん大きく、それにより地域が活性化してきました。ゆえに企業と大学がタッグを組む=技術開発といったイメージがあり、実際にそれにより技術革新がおき日本が経済発展してきたのは事実です。

 ですが、現在の「産官学連携」におけるモデルは、地域をとりまく状況の変化や行政の役割の変化(協働の理念など)を踏まえた取り組みであったり、地方のシンクタンクともいうべき「知の拠点」づくりを目的とするものまで、以前に比べて非常に多様性に富んできました。

 これは安価に大量生産を行い、そしてそれを大量消費する時代から、経済のグローバル化をうけて「ものの価値に見出す」、つまり「量から質の時代」へと社会が変容してきたこととも関連しているでしょう。

 この本の主なテーマは、大学が主体となった地域づくりと地域再生です。

 特に、冒頭の地方大学が自治体や地域から求められている地域貢献のあり方と、大学が考えている地域貢献のあり方のギャップについてアンケートの結果については大学関係者、自治体関係者の方は必見です。

 大学の地域貢献ランキングで常に上位にランクされている「高崎経済大学」が実際に行った取り組みを通して、大学が地域に果たす役割についてたいへん詳細に、そしてわかりやすく書かれています。興味のある方、ぜひご一読ください。

 なお、この本の購入をお考えの方は「ぎょうせい」のHPまで。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)