研究員ブログ

県内の移住関連調査をしてみて

現在、愛媛県内への団塊の世代の移住・交流促進のため、県内にすでに移住された方や移住・交流に関する施設を取材していますが、先週、愛媛県南予地方の施設および場所を訪問・取材いたしました。

今回、訪問した先は大洲市の「ふるさとの宿」(旧河辺村)、西予市の「小松山荘」(旧野村町)、北宇和郡鬼北町の「市民農園」(旧日吉村)と「旧アルコール工場跡地の宅地分譲団地」(旧広見町)の4箇所です。

訪問した先のレポートについては、「移住案内人レポート」で写真を交えて順次御紹介することとして、訪問してみて思った感想をこの研究員ブログで徒然なるままに綴ってみたいと思います。

まず、河辺地区の「ふるさとの宿」。これは以前、当センターが主催した「地域づくり人養成講座」で訪問した内子町大瀬地区にある「いかだや」さんと同じ、もともと小学校だった施設を改修してできた宿泊施設です。

ただ、河辺地区と内子町大瀬との大きな違いは、いわゆる中心市街地との距離でしょうか。どちらも小田川、肱川と美しい川のせせらぎが聞くことのできる自然豊かな里山ですが、内子町大瀬地区の場合は内子町の市街地まで車で20分もかからないですが、河辺地区の場合は大洲市の市街地から車で50分ほどかかります。ですから、本当に交通の便はあまりよくないというのが現状で、特に車がないとたいへんな地域ですが、これを裏返して考えると「都会の喧騒をより忘れられる」ともいえます。そのあたりは個人の嗜好の問題なのかもしれませんね。

次に訪問した西予市野村町の「小松山荘」。西予市旧野村町の中心部からおよそ車で40分ほどの「小松地区」と呼ばれるところにあり、西予市の中心部である宇和町まではおよそ車で1時間以上はかかります。この小松地区はほとんど四国カルストに近いような位置にあるたいへん山奥にある地区です。といっても四国カルストがどんなところかわからない人もいると思うので説明いたしますと、一言で言えば「愛媛の小さい北海道」です(たぶん)。ここでは大多数の方が酪農農家をされています。

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※四国カルスト

この「小松山荘」がある西予市野村町の小松地区というところは近くに大きな集落もなく、いわゆる「限界集落」という言葉が脳裏に浮かぶような地域でした。この「小松山荘」があるような地域に移住をということになれば、かなりの覚悟が必要ではないかと思ってしまったのが私の偽わらざる心境です。

そして、鬼北町で訪問をしたのは、旧日吉村にある「市民農園」と旧広見町にある「旧アルコール工場の分譲地」の二つです。

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旧日吉村にある市民農園は、道の駅「日吉夢産地」に隣接しています。コテージ数は6戸、農園の13区画で1区画あたりおよそ 35㎡~38㎡あります。このコテージにはミニキッチンなどもありますが、お風呂はなく、トイレも集合トイレになっています。

この市民農園ですが、すでに申込者で一杯の状況で遠くは松山市から借りている人もおられるとか。田舎にはこれくらいの広さの畑ならいくらでもあるのに、都会の人はわざわざどうして借りようとするのかと失礼ながら思ってしまいましたが、それが「田舎の常識」と「都会の常識」のズレというか、価値観の違いなのだ思うと妙に納得してしまいました。

旧アルコール工場跡地の宅地分譲は、ちょうど宅地の造成中で地ならしをしている最中でしたが、第一印象は「広い」というものです。もともと工場があったところを見ていたこともあり、それを取り壊して地ならしするとこんなに広いものなのかと驚いたのが最初の感想です。

北宇和郡鬼北町も高速道路が宇和島市三間町に開通する(平成23年度供用予定)と、十分に県都松山市へのアクセスもよくなりますし、宅地造成されている地区は鬼北町の中心部ということである程度の人口規模もあります。

また、造成されている地区がひとつの集落となりますので、いわゆる「既存のコミュニティ」に新たに移住者として加わるということではなく、新しく転居してきた住民だけで組織されるコミュニティができあがるということになるので、その点においても通常の移住とは違う特徴があるのかなと思いました。

とまあ、徒然なるままに綴ってみましたが、「県内への移住」とひとことで言っても、多種多様であり、自分の嗜好(志向)と置かれている状況を踏まえて、じっくりと答えを出していかないといけないのだなと実感しました。

また、それと同時に、「だからこそ移住のお手伝いやお世話をする側の人間も、しっかりと移住先の状況や移住者の声を踏まえた対応やお手伝い(=マッチング)をしなければならない」との思いを新たにした取材となりました。

それぞれの取材地のレポートは、順次「えひめ移住案内人レポート」で御紹介していきます。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)