研究員ブログ

郷土料理百選

12月19日(水)付の新聞報道でも掲載されていましたが、このほど農林水産省が選定する郷土料理百選に愛媛県からは「宇和島鯛めし」と「じゃこてん」の2つが選ばれました。

この郷土料理百選は、「全国各地に伝わる郷土料理のうち、農山漁村で脈々と受け継がれ、かつ『食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味』として国民的に支持されうる料理を郷土料理百選として選定し、それにまつわる歴史、文化、レシピ、伝承活動等についてとりまとめ、全国に情報発信し食文化を通じた地域振興を図るとともに、都市と農山漁村の交流を促進する(以上、HP抜粋)」ことを目的として行われており、この選定対象の条件としては、農山漁村の地域住民の間で受け継がれ、現在も食されているものとなっています。

さて、先日の研究員ブログでも御紹介いたしましたインターネット投票を経て、その投票結果を踏まえた審査員の審査を行い、このほど郷土料理百選が決定し、愛媛県からはインターネット投票上位になった「宇和島鯛めし」と「じゃこてん」が選ばれたというわけです。

そして、同じく百選に選ばれた他県の事例を見てみますと、「かつおのたたき」(高知県)や「信州そば」(長野県)、「ジンギスカン」(北海道)、「讃岐うどん」(香川県)など全国的な知名度を誇る郷土料理も名前を連ねており、その中に「宇和島鯛めし」や「じゃこてん」も加わっているというのはすごいことなのでしょうか。

「じゃこてん」といえば、このほど「地域団体商標」、いわゆる「地域ブランド」として「宇和島じゃこてん」が認定されていますし、知名度も少しずつ高まりを見せているようです。

また「鯛めし」といえば、炊きあげたほうの「鯛めし」がポピュラーですが、「どんぶり王国」として開国した宇和島の郷土料理「宇和島鯛めし」が、この「郷土料理百選」に選ばれたことを受けて、いずれはメジャー化するのも近いかもしれませんね。

そうなると、この二つをもつ「宇和島」という町は、「食通をうならせる町」といったところなのかもしれません。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

ただいま、山村留学生募集中!

先般、砥部町高市地区を訪問し、その様子を「事務局日誌」にも掲載いたしましたが、その砥部町高市地区にある「砥部町山村留学センター」の職員の方から、ぜひ「新年度の山村留学生の募集」のPRをしてほしいということでしたので、本日の「研究員ブログ」で御紹介いたします。

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山村留学とは、決まった期間を親元から離れて山村で集団生活を行い、その地区にある学校に通う制度のことで、ここ砥部町高市地区では、旧の広田村時代から実施しており、教育関係者の間ではたいへん有名な「山村留学の先進地」でもあります。

この山村留学制度は、豊かな自然環境の中で、都会では味わえない数々の自然体験や農業体験をすることができます。また、さまざまな地域行事にも参加し、地域コミュニティの中で子どもたちが育つという貴重な体験もできますし、受け入れる地域の側も、都会の子どもたちが地域に入ってくることにより「都会との交流」が生まれ、地域活性化も期待ができます。

この高市地区にある「砥部町山村留学センター」は、そんな山村留学生(小学生)を毎年受け入れ、留学生が地域の人々や地元の子どもたちと交流しふれあい、互いの長所を伸ばしながら心優しくたくましく成長することを目指していて、平成4年の開設から延べ343人の留学生を受け入れています。今年度は県外からの留学生受け入れ実績は残念ながら0人ですが、例年ですと県外からの留学生もいます。

「かわいい子どもには旅をさせろ」

という言葉もあります。小学生を子どもにもつ親御さん、「砥部町」での「山村留学」を考えてみてはいかがですか? 現在、山村留学センターでは平成20年度の留学生を募集しています。詳しくは砥部町のホームページを参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

地域密着型ビジネス創出助成事業

今日の研究員ブログは「地域密着型ビジネス創出助成事業」のお知らせです。
以下は、財団法人えひめ産業振興財団の資料をもとに抜粋しています。 

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財団法人えひめ産業振興財団では、愛媛県内で培われた製造技術や豊富な農林水産物、良質な自然資源など、地域に潜在する資源や地域のニーズを活かした「地域密着型ビジネス」を新たに開始しようとする個人や中小企業者の方に対し、初期的経費を助成する助成金制度を創設しています。

助成対象となるのは、法人を設立して地域に密着した事業に取り組もうとする個人又はグループか、地域に密着した事業に新たに取り組もうとする創業後5年未満の中小企業者です。

助成対象となる事業は次のとおり。

(1)県内で培われた製造技術や農林水産物、伝統工芸品等の特産物、文化財、自然の風景などの地域資源を活用したビジネス

(2)地域ニーズに対応したビジネス

助成対象経費としては、助成対象事業を適切に実施するために必要な経費であって、1年以内に発生し、支払いが完了する経費に限り、経費総額の2/3以内、1件につき上限300万円を助成します。ただし助成期間は1年間とします。

助成件数は、平成19年度は10件程度ですが、平成20年度以降も年間30件程度の募集を行う予定です。

気になる募集期間は次のとおり。

平成19年度
 第1回:平成19年12月3日(月)~平成20年1月31日(木)

平成20年度
 第1回:平成20年4月1日(火)~平成20年6月2日(月)
 第2回:平成20年7月1日(火)~平成20年9月1日(月)
 第3回:平成20年10月1日(水)~平成20年12月1日(月)
 第4回:平成21年1月5日(月)~平成21年2月2日(月)

また、応募申込書や事業計画書の作成にあたっては、事前に財団法人えひめ産業振興財団の「地域密着型ビジネスコーティねーター」や財団職員による事前指導(無料)も受けることができます。

この地域密着型ビジネス創出助成事業ついては、詳しくは、財団法人えひめ産業振興財団まで。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

「どんぶり王国宇和島」

先日、筆者のもとに、

「どうやら宇和島に新しい王様が誕生したらしい」

との一報が入りました。「民主主義の世の中で王様が新しく誕生するわけがないし、誤報でしょ!」と高をくくっていましたら、最近の新聞各紙の記事に「どんぶり王国宇和島開国(愛媛新聞)」「どんぶり王国宣言だ(朝日新聞)」「宇和島にどんぶり王国(読売新聞)」などの記事が! し、知らなかったです・・・。宇和島って「どんぶり王国」だったんですね・・・。

とまあ、軽い冗談はさておき、これは、農村漁村の郷土料理百選のインターネット人気投票で上位にランクインした「宇和島鯛めし」など「どんぶり料理」が多彩な宇和島をPRしようと、宇和島料飲組合と県の宇和島地方局南予活性化支援チームが立案して「どんぶり王国宇和島」が12月7日に発足したのです。

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※開国の様子 

初代の国王には、宇和島料飲組合の石丸組合長が就任し、「宇和島の新たな郷土料理に」と力強く開国に向けての抱負を述べ、市内の郷土料理店7店が新作のどんぶりを売り出すことになりました。

それで、気になる「どんぶりの中身」とは・・・。

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・ちりめん入りじゃこ天玉子丼(有明

・鯛煮付け丼(かどや

・とろとろ玉子のぶりサラダ丼(丸水

・生姜(しょうが)焼さつま丼(とみや

・あこや貝の貝柱の玉子とじ丼
 (ハイウェイレストラン宇和島

・太刀魚ちりめん丼(ほづみ亭

・きびなごの柳川風丼(和日輔:わびすけ

どれもおいしそうですねえ。ちなみに、すべての丼を制覇すると食事券が贈られるスタンプラリーも行われ、毎年12月7日は「開国記念日」ということで各店で先着7人に宇和島鯛めしを77円で提供するサービスを行うそうです。

ちなみに、それぞれのお店については、リンク先を参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

30年後の姿を考えながら今の施策をやる

12月9日(日)放送の「サンデープロジェクト(テレビ朝日)」という番組を見ていると、「都市型の限界集落」という聞きなれない言葉が登場したので視聴することにした。

いわゆる「限界集落」といえば、高齢化率が50%以上で冠婚葬祭などの社会的な共同生活の維持が困難な集落のことをいうが、それが都市にも広がっているという。

放送の中で登場した地域は、「多摩ニュータウン」などの、いわゆる国策によるニュータウン構想でつくられた団地でであり、これらの団塊世代が多く在住している都市のニュータウンでも、いわゆる「限界集落」の傾向が進んでいるという現実があることを全く知らなかった。つまりは、いわゆる「限界集落」は中山間地域だけの問題ではないということである。

また平成の市町村合併による地域の変容事例として広島県の旧作木村(現在の三次市)の事例が紹介され、合併前にはあった住民のにぎわいや健康福祉サービスが合併により低下してしまったこと、また山間部の公共交通機関の事例として高知県の大豊町の事例が紹介されて、財政難による公共交通機関の撤退や廃止を受けて、代替措置によるものの公共サービスが低下し、小集落に住む地域住民の負担が増えているということも紹介されていた。

それに対する課題解決の取り組みとして、放送の中では、岡山県の旧哲西町のコンパクトシティー化と富山県富山市の公共交通政策の2つの事例が紹介されていた。

岡山県旧哲西町は、町中心部に保健施設、図書館、役場、生涯学習センターなど、様々な公共施設をひとつ屋根の下に集約させるという取り組みを市町村合併前に自主財源で実施した。

そのことにより、町民が一同に集まる場を創出し、このほかにもJAや消防署、郵便局などの施設もその付近に集まることにより、住民同士のあらたな交流が生まれ、町のにぎわいを取り戻しており、それは合併後においても合併による取り決めによって変化は見られないそうである。いわゆる「コンパクトシティー化」を図った事例である。

そして、いま公共交通政策で全国の自治体から注目を集めている富山市は、赤字廃止路線だったJRの路線を路面電車化し、それぞれの集落を路面電車やバス路線で結び、そこに行政が補助を出すことによってむしろ便数を増やすなどの措置を行って、町と町を団子の串のようにつなぐ取り組みを行っている。

路面電車やバス路線で集落と集落をつなぐことを通して、これから少子高齢化社会を迎えて車を運転しない人が増えていく地域課題に備えていまのうちから対策を練っているということである。これは住民を一箇所に集めるという発想ではなく、いまある地域と地域を公共交通機関でつなぐという違う切り口の取り組みであるが、このことからその「地域の実情にあった取り組み」をしていくことが重要だということがいえそうだ。

今の現状ではなく、「30年後の地域社会はどうなっているか」を考えて、今からやれることをコツコツとやっていくことが重要であるという富山市長の話は非常に印象的だった。目先の「財政難」という課題解決もたいへん重要だが、30年後の地域社会の課題解決という「先を見据えた施策」もまた重要ということであり、自治体が策定する「長期総合計画の意義」というものをもう一度問い直すよいきっかけとなったような気がした。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)