研究員ブログ

地元学って知っていますか?

地域づくりの手法で、地域再発見といいますか、地域にあるものを見直す取り組みとして、「地元学」と呼ばれるものがあります。

この取り組みはもともとは熊本県水俣市で行われたもので、公害病である「水俣病」で全国的に知られている熊本県水俣市は、この公害病から出発した「地元学」の先進地であり、そして地元学による「環境都市」の先進地として、地域づくりの現場ではたいへん有名なところです。

そんな地元学の第一人者といわれているのが、吉本哲郎さんです。吉本さんは水俣市職員として環境政策に携わり、「水俣を世界に名だたる環境都市にしたい」という思いをもって地域づくりに尽力され、徹底的に地元にこだわる取り組みを通して吉本流地元学にまとめあげられました。

現在は水俣市立水俣病資料館の館長をされる傍ら、地元学協会の代表をつとめ、地元学の普及に取り組まれています。

その地元学の方法とは、 別に小難しいことをするわけではありません。地図とカメラを手に地元を歩き、ふと気づいたことやおもしろいなと思ったことをメモして写真に収めてまわることが基本となります。場合によってはカメラの被写体は場所だけでなく人の場合だってあります。そうして、よく目を凝らして地域を眺め直すわけです。

ここまで読んでピンときた方はすばらしい。そう、当センターから発行している「舞たうん」で紙面連載している岡崎直司さんの町並みウォッチングの手法とほぼ同じなんですね~。ですから特段目新しいことではないのですが、岡崎さんの場合は被写体がモノが比較的中心ですが、吉本さんの場合はその土地の風土を調べるので人も含まれるわけです。

この地元学の取り組みは、子どもから高齢者まで誰でも参加できます。そのほうが多世代の交流も図れますし、可能であればヨソモノの視点をいれて「よその町の人」も混ぜるとより効果的になります。

そして、川の水の流れであったり、畑に植えているもの、神様、子どもの遊び、商店街・・・さまざまなテーマを作って絵地図を仕上げる。そしてその成果をすべて地元に残して、地元にある「あるもの」を住民自身が確認するわけです。

そんな取り組みを全国的に展開している吉本さんは、「地元学」のことを料理に例えてこのように答えています。

「地域という扉を開けて、あれがない、これがないと文句を言うのは二流。地域の資源をうまく料理するのが一流。これを黙ってやるのは超一流。あるものを組み合わせ、イメージする力が大切」
環境gooより引用)

さて、この「地元学」って、ちょっとおもしろいかもと思われた方、実は2月9日(土)・10日(日)に吉本さんが地域ミニフォーラムの一環として、上島町にやってきて島の子どもたちと一緒に弓削島の探検をするんです。興味のある方、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか? もっと詳しい情報が知りたいよという方は、当センターまで(担当:谷本)お問い合わせください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)