研究員ブログ

第28回政策研究セミナー

12月12日(金)、第28回政策研究セミナーが県立美術館講堂で開催されました。今回は富士宮やきそばを地域ブランドに確立した渡辺英彦氏(富士宮やきそば学会会長)をお招きし、「B級ご当地グルメで街おこし」という演題で講演していただきました。

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渡辺さんの軽妙な「おやじギャグ」と語り口により、会場からは笑いも飛び出すような和やかな雰囲気のもと、富士宮やきそばによるまちおこしの体験談から来る、地域ブランド確立に向けたお話を聞かせていただきました。

「ものづくり」から「ものがたり」へ。

地産地消など、全国各地でおいしいものはいっぱいありますが、それをまちおこしの道具として売り出す時には、大手企業のように広告宣伝にお金をかけることができるのであればいざ知らず、そういう宣伝費用がない中で、どうやってPRするかといえば、マスコミに取り上げてもらえれば、宣伝費用はタダです。となれば、マスコミが取り上げてもらいやすいようにしなければなりません。

味がおいしいのは前提として当たり前で、あらたなものでまちおこしをしようとしたら、マスコミも最初は物珍しがってとりあげてくれるかもしれませんが、継続してマスコミは取り上げてくれません。そこに物語やストーリー、いわば話題性がないと、取り上げてくれないわけです。

「ものづくり」の世界は専門家の世界であり、作る側の論理だけでは「もの」が売れないからです。同様に、まちづくりの世界も行政や商工会議所など専門化されてきており、既成概念にとらわれてしまいがちです。ですから、制約があります。

したがって、「もの」が売れるようにする、もしくは「まちおこし」に成功するためには、「ものを売るため」の、「町を売るため」のストーリーづくり、話題作りにシフトすべきで、そこには既成概念にとらわれない素人の発想が必要となるともおっしゃられていました。

もちろん「ものをつくる人」、「まちをつくる人」は必要ですが、それを「うまく売る人」という、コーディネーターともいうべき存在をもたなければ地域ブランドはつくれないということなのでしょう。この話は若松進一さんがお話しされる「夕日のまちづくり」と同じだなあと思って聞いておりました。

興味のある方、富士宮やきそばのまちおこしのすべてがわかる「YAKISOBIBLE(ヤキソバイブル)」と呼ばれる本もありますので、ご一読ください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)