研究員ブログ

草食化

 男性の年齢別殺人率は、10代後半から急ピッチで増加し20代前半がピークとなる。以降、加齢とともに徐々に減少しいき最終的に低率で安定する。この傾向は、どの国やどのような時代においても同様であるため、「ユニバーサル・カーブ」と呼ばれている。

 これはオスの繁殖行動の特性である自己顕示欲が一因とされており、同種生物間での競争・対立が激化する時期を顕著に表わしている。だが、唯一、このカーブを描いていない国がある。現在の我が国だ。

 高度経済成長期以降、日本の若者の殺人率は徐々に低下し、10代後半から20代前半の殺人率は他の年代とさほど変わりがなくなってきている。昨年から「草食系男子」という言葉を聞くようになったが、年齢別殺人者の比率の変化をみる限り、若者の草食化の進行はすでに50年以上前から始まっているのではと感じる。

 果たして、他の国に例を見ない進化を続ける日本の若者は、今後どんな文化を花開かせるだろうか。そして、私達はどのような将来像を描いていかなければならないのだろうか。

(企画研究部門 主任研究員 高市 孝一)