研究員ブログ

ご飯一杯の値段

 渇水が心配がされるこの頃、先週、愛媛も梅雨入りをし、近隣の田んぼでは水を張り始め、田植えの準備が進んでいる。

 5月19日の産経新聞に、「ご飯一杯の値段」として、1俵からとれるコメは、茶碗約1000杯分、1俵の値段は約1万2千円、茶碗一杯の値段は12円となる。コンビニで「おにぎり」になれば105円、ファミレスで「ライス」になれば、250円に跳ね上がるが、その原価は、ペットボトルのお茶1本、カップラーメン1個の1割にも満たない。

 その一方で、過疎化、高齢化等で耕作されなくなった耕作放棄地は、全国の農地の1割にあたる38万haで、埼玉県の面積に相当する。との記事が掲載された。

 市場経済では、商品の価値が同じであれば基本的に消費者は、値段の安い商品を選択することになるが、今後、地球規模での食糧危機が懸念される今日、ペットボトルのお茶の購入を控え、茶碗一杯のごはんの値段を、倍にしても24円。

 国民全体でコメの値段を広く負担し、そのことによって中山間地域に存在する農村の経済が維持され、いわゆる「限界集落」や耕作放棄地の問題も、解決の糸口が見えるのであれば、異議を唱える声は少ないのではないのだろうか。

(まちづくり活動部門 主任研究員 小方 悟)