研究員ブログ

油絵

 油絵との出会いは高校の美術部でした。それまで絵を描くといえばほとんどが水彩画で油絵のことは全く知りませんでした。油絵といえばなかなか馴染めないのが、あのオイルのニオイ(あなたにとってオイルのニオイは匂い?それとも臭い?)ですが、私にはとてもいい匂いでオイルの匂いの中に居るだけで寛げます。「趣味は何ですか」「油絵です」と言っています。
 私は油絵を描く時は45点の絵を併行して描きます。それは油絵具が水彩絵具と違って塗った絵具が乾くまでに34日かかるからです。乾いていない上から重ねて塗ると下の色と混ざって色が濁ってしまいます。逆に一度乾いてしまうと混ざらないので納得がいくまで何度でも塗り直せるということで、完成までに510年かかった作品もあります。
 たまに30年以上前の学生の頃にスケッチした絵を描くことがあります。絵を描いている時の気分はスケッチをした頃にタイム・スリップします。何枚もの絵を並行して描くので、あの絵を描いたりこの絵を描いたりします。ある絵を描いていて別の絵を描き始めると頭の中はその絵をスケッチした頃に切り替わります。これがとても楽しいのです。
 完成した作品は、ほとんど人にあげてしまって手元には、大学生の時に描いた風景画と自画像の2点しか残っていません。いつか今までに描いた絵を全部借りて個展を開きたいと思っています。そのためには見ごたえのある大きな絵があと23点は欲しいと思って、30号と50号のカンヴァスを買っています。テーマも“足摺岬”と“遊子水荷浦の段畑”と決めているのですが大きな絵を描く気力と体力がなくてずっと筆は止まったままでしたが、最近なぜか急に創作意欲がわいてきて、夜な夜なカンヴァスに向かって“足摺岬”をボツボツと描いています。
それと四国人として、いつかスケッチをしながら四国八十八カ所の歩き遍路をしたいと思っているのですが、それを考えるとワクワクするので、今は考えないことにしています。

(企画研究部門 研究員 河野茂樹)