7月26日付けの官報に告示され、正式に文化庁から宇和島市遊子地区にある「遊子水荷浦の段畑(だんばた)」が全国で3例目、四国でははじめての重要文化的景観に選定されました。
この重要文化的景観とは、平成16年改正(施行は平成17年4月1日)の文化財保護法によって生まれた重要文化財のひとつであり、文化的景観のうち特に国民共有の財産として特に重要なものを重要文化的景観に選定しています。
さて、その遊子水荷浦地区の段畑においても、四国西南地域一帯で開催されている「街道灯籠祭り」のひとつとして、8月7日に「段畑夕涼み会(主催:同実行委員会)」が開催され、来場者は普段は見ることが出来ない行灯に灯された「夜の段畑」の風景を味わいました。
※遊子水荷浦の段畑とそこから広がる遊子の風景
※作業の様子(左)と取材の様子(右)
この段畑夕涼み会は昨年度から行われており、今年はおよそ1,000個の灯籠(昨年度は500個)が段畑に並べられ、段畑付近は幽玄な雰囲気に包まれており、この日はちょうど夜空に星がでており、段々畑の灯籠の灯りの先には満天の星空という、なんとも風情あふれる光景が広がっていました。
段々畑を形容する言葉に「耕して天に至る」という言葉がありますが、この日の夜はまさしく「灯籠の灯りを辿って見上げれば天の星空まで至る」といったたいへん美しい風景だったように思います。
※ライトアップの様子(まだ夕暮れ)
※全景の夕暮れ
※もう少し暗くなった全景
※別の角度からの様子
そして、夕涼み会場では夜市や実行委員会主催による出店(先日研究員ブログで紹介した鯛バーガーも販売されていました)、尺八の演奏会なども催され、訪れたおよそ400人ほどの人たちは真夏の夜の段畑の風景とともに音楽に酔いしれていました。
※尺八の演奏会
※これが噂の「鯛バーガー竜田味」(1個200円)
この日に用意した150個はすぐに完売しました。その様子は愛媛女子短期大学のブログにも紹介されています。
また、この日はお座敷船も1艘でており、船から食事をしながらこの夕涼み会を楽しむというグループもあったようで、海から見る夜の段々畑というなんとも粋な味わい方をされている方もおられたようです。
この取り組みについてのお問い合わせは、NPO法人段畑を守ろう会(0895-62-0015)まで。
なお、宇和島市では重要文化的景観の選定を受けて、10月初旬にシンポジウムを開催する予定だそうです。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)