研究員ブログ

まちづくりと自治体職員

当センターが事務局を務めているえひめ地域づくり研究会議(以下「研究会議」)の発足の動機は、昭和62年に(財)愛媛県まちづくり総合センターが中心となって、県内の有志を募り「えひめ地域づくり活動者集会」を開催したことにさかのぼります。当時、全国的には「自治体学会」が結成されるなど、まちづくりの機運が盛り上がるなか、県内各地でも運動が興りつつありました。情報や人間のネットワークがまちづくり活動を支えるものであり、そのネットワークを組織するために研究会議が産声をあげたのです。

この研究会議は昨年20周年を迎えましたが、会員には多くの自治体職員がいます。現在の代表運営委員の3名も自治体職員として活躍されています(円満退職で自由人になっている方もいますが・・・)。県内には、自治体毎に職員研修が実施され、まちづくり等の研鑽を深めていますが、熱心な自治体職員は研究会議という組織に属し、地域づくりに関する「情報交換の場・情報公開の場・学習と研究の場」に参加されています。

研究会議では、多くの自治体職員(自治体職員だけに限りませんが・・・)に情報や人的ネットワークを築いてもらうために、年次フォーラムや地域ミニフォーラムを開催してきましたが、今回、伊予市職員労働組合とのタイアップにより、「いま求められている自治体職員とは~まちづくりの視点で語り合う~」というテーマの下、学習会を企画しました。

開催チラシは、コチラから

研究会議の代表運営委員3名が、まちづくりを中心に、今までの経験や県内外の事例から、これからの自治体職員のあり方について熱くトークバトルをされます。伊予市職員や研究会議以外の皆さんにも門戸を広げていますので、興味・関心のある方は、是非ご参加ください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

夕日寄席?

現在、愛媛県には4人の観光カリスマがいます。新居浜市の森賀盾雄さん(第2回選定)、伊予市双海町の若松進一さん(第3回選定)、松野町の岡田春喜さん(第4回選定)、内子町の野田文子さん(第5回選定)の4人です。

観光カリスマとは、従来型の観光ではない魅力的な観光振興を成功に導いた人々のうち、、「『観光カリスマ百選』選定委員会(事務局:国土交通省)」が選定した人のことをいいます。

また、この観光カリスマに選定された人は、各地で観光振興に燃える人材を育成するために「観光カリスマ塾」と呼ばれる塾を開催することになっていて、観光カリスマの活躍した地域で、観光カリスマを講師に迎え、その成功のノウハウの伝授、活動の現場体験、受講者によるワークショップなどをセミナー形式で集中的に行うことになっています。

今回、愛媛県の観光カリスマ塾の講師として選ばれたのが、当センターもたいへんお世話になっている若松進一さん。以前、研究員ブログでも御紹介しましたが、11月15日・16日の両日に伊予市双海町を会場に開催され、会場のひとつとして「人間牧場」も使われます。

若松さんが行うカリスマ塾の研修内容の中で、もっともおすすめといえば、何と言っても「夕日寄席」です。若松さんのまちづくりの講演のお話を小噺にして落語にしてしまおうという全国にもたぶんあまり例をみない取り組みです。若松進一さんもその時には「落伍家 夕日亭大根心」師匠と名を変えて出演されるという気合の入れようです。はてさて、いったいどうなることやら? ちなみに、この「夕日寄席」については、寄席の支配人を当センターの清水研究員が、大番頭を松本研究員がつとめてと、当センターのバックアップ体制も磐石です。

すでに参加の申し込みについては定員も超えておりますので、追加の申込は残念ながらできないのですが、日本初の「まちづくり落語」である「夕日寄席」の様子につきましては、またこの研究員ブログで御紹介したいと思います。

観光カリスマ塾についてはこちらを参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

携帯電話を利用したクイズラリー

最近、携帯電話のQRコードの読み取り機能を利用したクイズラリーが行われているところが多いそうですが、現在、愛媛県立とべ動物園でも現在動物をテーマにしたモバイルクイズラリーが行われています。

このQRコードをつかったクイズラリーですが、手の込んだものをつくるということでない限り、ホームページを作成する知識がある程度ある方ですと、かなりお手軽につくることができます。

ごく簡単に作り方を申し上げますと、

①クイズ本文を考える
②クイズが書かれたサイトをつくる
 (ここでHP作成の知識が必要です)
③QRコードに変換する
 (ここでは変換ソフトが必要です)
④QRコードの画像を保存・印刷する

という流れになります。しかもQRコードに変換できるソフトも、インターネット上のフリーソフトを利用して意外と簡単につくることができますのでお手軽です。

というわけで、私もQRコード変換ソフトを利用して例題を作ってみました。みなさんのお持ちの携帯電話でQRコードの読み取り機能を使って読みとってみてください。ちなみに印刷しなくてもパソコンの画面からでも読み取りが可能です。

QRコード

どうでしたか? けっこう、簡単ですよね? これは非常に簡単なつくりですが、手の込んだものになると、クイズの答えを自分の携帯メールで送って、その結果がメールで自動的に送られてきたり、答えを累計して最後の問題を解いたら「あなたは何点」といった機能をつけることも可能だそうです。

この「研究員ブログ」をいつもご覧いただいている方で、QRコードの使い方がわからない方(おそらく年配層が多いと予想されますが)は、近くの若い世代の人たちに操作方法を聞いてQRコードの読み取りにチャレンジしてみましょう。

なお、QRコードの読み取り機能がない携帯電話やカメラ付き携帯電話をお持ちでない方は残念ながら見ることが出来ませんのであしからず。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

この冬は「段酌」&「なっそ」を飲むべし!

タイトル名がイマイチわかりにくいですが、簡単に言いますと宇和島市遊子地区の段々畑で獲れた馬鈴薯をつかった焼酎「段酌(だんしゃく)」と、同じく宇和島市津島町岩松地区の岩松町並み保存会のメンバーのみなさんが中心となってつくったドブロク「なっそ」がいずれもこの冬より販売されるというお知らせです。

宇和島市遊子地区でつくられたじゃがいも焼酎「段酌」は、NPO法人「段畑を守ろう会」が愛媛県の南予地域密着型ビジネスプランなどを利用した事業として、西予市の酒造会社「媛囃子」さんに製造を委託してつくられたもので、焼酎の名前は「段畑を守ろう会」が市民公募をして決定した名前です。

名前の由来は漢字を見ればだいたいわかるとは思いますが、 遊子地区のシンボルでもある段々畑の「段」とじゃが芋の銘柄である「男爵」をかけあわしたものですね。

また、宇和島市津島町岩松地区でつくられたドブロク「なっそ」は、愛媛県が行っている「えひめ夢提案制度」を利用した第1号の事案で、岩松町並み保存会のみなさんが中心となってつくった企業組合「いわまつ」 が、棚田への田植えからドブロクの製造まで行いました。

ちなみに、「えひめ夢提案制度」とは、一時期「規制緩和」の象徴ということで「特区」構想がマスコミでもにぎわせましたが、それの愛媛県版ともいうべきもので、「地域の活性化につながる事業や取り組みをしたいときに、愛媛県の規制緩和をはじめ、新たな費用負担を伴わないさまざまな支援を行う制度(県庁HP引用)」のことです。岩松地区のこの取り組みは「えひめ夢特区第1号」として認定されています。

さて、その岩松地区でつくられるドブロクにつけられた「なっそ」という言葉ですが、この「なっそ」とはこの地方の方言で「なぜだ?」とか「何なんだよ」という意味があります。そこからつけられたのでしょう。

「段酌」および「なっそ」の気になる販売方法ですが、「段爵」は11月11日(日)から現地の「だんだん屋」さんで一般販売予定、「なっそ」は12月9日(日)から現地の西村酒造の酒蔵で一般販売の予定だそうですので、今から楽しみですね。特に岩松地区では「どぶろくまつり(仮称)」をするという計画もあるとか、ないとか。それぞれの詳細な購入方法についてはそれぞれの団体にお問い合わせをしてみてください。

・NPO法人「段畑を守ろう会」連絡先
0895‐62‐0015(JAえひめ南宇和海第一支所内)
・企業組合「いわまつ」連絡先
0895‐32-2721(宇和島市役所津島支所内:森田)

あと、「南予地域密着型ビジネスプラン」、「えひめ夢提案制度」についてはそれぞれこちら↓を参照してください。

南予地域密着型ビジネスプラン(愛媛県産業振興財団HP)

えひめ夢提案制度(愛媛県HP)

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

ノベルツーリズムはいかが?

現在、映画のロケ地としてフィルムコミッションが全国各地に設立されています。愛媛県においても「えひめフィルムコミッション」や「NPO法人アジアフィルムネットワーク(松山市)」などが、映画やドラマ、はたまたCMや報道番組まで、さまざまな撮影現場のアシストをしています。

そして、その映画やドラマのロケ地を巡る旅のことを「フィルムツーリズム」と呼んでいるそうで、特に若い世代の人にけっこう人気だそうですが、その大きなきっかけとなったのは何と言っても映画「世界の中心で、愛をさけぶ」でしょうか。

愛媛県も一部ロケ地にはなっていますが、メインのロケ地となった香川県高松市庵治町は「純愛の聖地」として今も多くの若いカップルが訪れているそうです。

さて、知らない人がいると思いますので念のため申し上げておきますが、その「世界の中心で、愛をさけぶ」の原作である小説の舞台は、作者である片山恭一さんのふるさとでもある宇和島市とされており、作品中に登場する「城下町」という喫茶店は実際に宇和島市内にありまして、常連のお客さんとは別にたまに小説を持ったお客さんがやってくることがあるそうです。

このほかにもよく考えてみると、「坊っちゃん」や「がんばっていきまっしょい」、「しまなみ幻想」などに代表されるように愛媛県内が小説のおもな舞台となっている作品をはじめ、小説の舞台とは言わないまでも「永遠の仔」や「花神」のようにその小説の一部にでも登場する作品なども含めて数えると結構多くあるのではないでしょうか。

また、小説の舞台に限らず、ノーベル賞作家の大江健三郎さんのふるさとである内子町大瀬地区や、数多くの文人が訪れた西予市宇和町卯之町の松屋旅館、宇和島市の木屋旅館など、著名な作家たちが訪れたとされる「作家ゆかりのある場所」などを加えるとますます増えると思います。

先日、「四国旅マガジンGaja」という雑誌に「小説の舞台」となったところの特集記事がありましたが、そういった小説の舞台となったところや著名な作家にゆかりのある場所を、その小説を片手にもちながらめぐる「名作の旅」とも言える「ノベルツーリズム(筆者が勝手に命名)」というのもひとつの旅の形として悪くはないのではないでしょうか?

そうだ!本を持って愛媛へ出かけよう!

<参考情報> 

作品中に愛媛県内の場所が登場するおもな小説

・夏目漱石「坊っちゃん(松山市)」 
・敷村良子「がんばっていきまっしょい(松山市)」
・片山恭一「世界の中心で、愛をさけぶ(宇和島市)」
・司馬遼太郎「坂の上の雲(松山市)」
・獅子文六「てんやわんや(宇和島市津島町)」
・天童荒太「永遠の仔(伊予市双海町)」
・司馬遼太郎「花神(宇和島市、西予市)」
・司馬遼太郎「伊達の黒船(宇和島市、八幡浜市)」
・吉村昭「ふぉん・しいほるとの娘(宇和島市・西予市)」
・松本清張「草の陰刻(宇和島市)」
・内田康夫「坊っちゃん殺人事件(松山市、内子町ほか)」
・内田康夫「しまなみ幻想(今治市)」
・宮本輝「流転の海(愛南町)」

探せばまだまだあると思いますが、私はこれくらいしか思いつかなかったです。
ちょっと南予の作品が多いのは私が地元が宇和島ということで東予地方のことを知らないだけですので、東予地方についてももっと調査して「作家ゆかりのところ」も付けくわえたりすると、南予一円から愛媛一円に広がるものと思われます。ちょっと視点を変えた「ひとつのツーリズムの形」して成立するのではないかと思ったりしましたが、みなさんいかがでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)