去る7月19日(木)、えひめ共済会館において「えひめ移住交流促進協議会設立総会」が開催されました。
当日は、協議会を構成する愛媛県内の自治体をはじめ関係する35機関が出席し、設立趣意書及び協議会規約、平成19年度の事業計画や収支予算について審議され、すべて原案どおり承認されました。
団塊世代の大量退職を契機とした移住交流施策については、同世代の持つ経験や知識を地域活性化につなげようと、全国的に様々な施策が展開されており、徐々にに誘致合戦の様相を呈している感がありますが、今後さらなる地域間競争の激化が予想されるだけに、全県的な推進体制が整備されたことは非常に大きな意味を持つものだと思います。
協議会では近日中に構成団体の実務担当者による「ワーキングチーム」を組織し、具体的な取組みについての協議検討等を行い、施策を実行に移していくこととなります。
また、協議会の設立を受け9月上旬を目途にえひめ地域政策研究センター内に「愛媛ふるさと暮らし応援センター」が設置される予定です。
このセンターは、協議会との連携のもと、同協議会で取りまとめられた移住促進の取組みを実践的にサポートする組織としても機能させ、本年度は移住者誘致リーフレットの作成や「移住サポーターネットワーク会議(仮称)」の組織化・運営、既存のUJIターンサイトをリニューアルし新たに「えひめ移住支援ポータルサイト(仮称)」を開設予定としています。
えひめ地域政策研究センターが有している人的ネットワークを活用した、効率的・効果的な情報収集を行い、愛媛県や各市町、関係機関と連携した取組みを行って参ります。
移住交流に関連する情報をお持ちの方は、是非当センターまでお寄せいただきますよう、お願いします。
総会終了後の午後、月刊「田舎暮らしの本」編集長の佐藤信弘氏を講師にお迎えして講演会が開催されましたが、こちらは後日企画研究部門の越智研究員がレポートする予定です。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 坂本耕紀)
平成19年7月11日~13日、パシフィコ横浜で開催された「Bio Fuels World 2007」バイオ燃料製造装置&材料展及びセミナーに出席しました。
地球環境問題への関心の高さからか、バイオエタノール増産の影響で食品が値上がりするとの報道のためか、3日間ほとんど雨にもかかわらず、セミナー会場は満席で、立見が出るほどでした。
セミナーは3日間、農林水産省、環境省の政策説明、バイオ燃料を取入れている自治体からの報告、研究者からの報告、バイオ燃料を製造している企業からの報告、石油業界、自動車業界からのバイオ燃料への対応報告等、目白押しの内容でした。
私が聴講したのは以下の講演です。
11日AM.
国産バイオ燃料生産拡大政策:農林水産省
地球温暖化対策としてのエコ燃料拡大への取組み:環境省
11日PM.
バイオマスタウン最前線 :十勝地域、真庭市、東近江市
12日AM.
バイオ燃料開発および供給の課題:京都大学名誉教授 池上 詢氏
石油業界のバイオマス燃料の導入に向けた取組みについて:石油連盟
先進資源小国におけるバイオ燃料の今後の展望
12日PM.
わが国におけるバイオエタノール最前線:㈱りゅうせき,アサヒビール㈱,月島機械㈱,日揮㈱,サッポロビール㈱
13日AM.
自動車業界のバイオ燃料への考え方:トヨタ自動車㈱,日産自動車㈱
官庁の意向は、農林水産省の耕作放棄地対策等の農業政策としてのバイオ燃料製造への取組みと、環境省の地球温暖化対策、CO2削減対策等の環境政策としてのバイオ燃料製造への取組みをうまく組み合わせて、バイオ燃料の生産を拡大し、目標を達成するとともに、新しいビジネスモデルを生み出したい、とのことでした。
バイオ燃料には、食糧との競合の問題、経済性の有無、生産・輸送に要するエネルギーを含めてトータルでCO2削減効果があるのか、バイオ燃料用作物の生産拡大が環境破壊につながるのではないか、等いろいろ解決しなければならない問題があります。
その取組みについても、各省庁、各自治体、各業界、温度差もあり、同床異夢のようにも感じられましたが、地球温暖化対策の一部として、省エネ等他の手段とバランスをとりながら、進めて行かねばならないと言う点では一致していたようでした。
(文責 企画研究部門 研究員 政木輝彦)
去る7月13日(金)、徳島県三好市で開催された「移住交流4県担当者会」に同行させていただいた際、西祖谷の古民家宿「空音遊(くうねるあそぶ)」を地元徳島県と三好市の担当者にご案内いただき、訪問しました。
ご主人は千葉県のご出身で、リバーカヤックインストラクターとして訪れた大歩危の大自然に魅せられ、3年前にIターンされたそうです。
「食事なし、※風呂なし」の素泊まりの宿ですが、築80年の古民家の風情と、眼下に広がる景色は雨にもかかわらず壮大でした。
(※宿泊&周辺の温泉を利用するプランもあります。)
所有する土地内には何本か小川が流れているらしいのですが、まだ1本目までしか行ったことがないとのことで、スケールの大きな田舎暮らしをされていたことが印象的でした。
また空音遊では、日常の生活を体験することで地域文化に触れてもらおうと、所有する資源や地域資源を利用した体験プログラムも用意されており、ここに来れば年間を通して祖谷の魅力を体験することができます。
利用者はリピーターも多く、四国内外のほか、多い年は全利用者のうち4割~5割を外国人が占めるそうで、年間1,000人程度が利用されるとのことです。
移住した当初は地域住民との交流の機会も少なかったそうですが、地域行事などで積極的に交流を図ることで次第にご主人の決意を地域の方が認めてくれるようになり、現在では敷地内の草刈りや野菜の世話なども進んでしてくれるようになったそうです。
また不要になった生活用品や農機具を譲っていただいたり、時には夕食に呼ばれたりと、温かいご近所付き合いの様子もお伺いしました。
帰り際「たまには旅行など違う所に行きたくなりませんか?」との問いに、ご主人の「県外へ旅行に行っても、すぐ(ここに)帰りたくなる。帰って来るとほっとする」との一言。縁あって移住されたこの土地を心から愛し、地域の方と交流しながら自分のペースで田舎暮らしを満喫されている充実感が伝わってきました。
古民家宿「空音遊」のホームページはこちら。(ブログもあります。)
(文責 まちづくり活動部門 研究員 坂本耕紀)
7月11日(水)、東温市見奈良にある「利楽」において、愛媛県公民館連合会主催の公民館職員研修会が開催され、その研修のうち、「コミュニケーションの取り方」という講義に、松本と谷本の両研究員が参加いたしました。
この講義は、公民館職員の地域住民とのコミュニケーション能力の向上を図ることを通して、公民館活動をより効果的にすすめていくことを目的に実施され、NHK松山放送局の白鳥哲也アナウンサーが講師として招かれました。
講義では、研修で電話の応対であったり、接遇のマニュアルなどをいくら実践したとしても、まずは「利用者側の立場になって考えるということを徹底してできるか」ということが重要であると述べられ、「相手の立場になって考える」ということはサービス業の基本であり、それをいかにできるのか、それが大事だと述べられていました。
また、公民館が地域づくりの拠点という役割を担っていることから、そこに勤務している職員は「地域住民のために自分は何ができるのか、どうしたら利用者が満足してもらえるかを考えて、精一杯働くことが最低条件」であり、そうしないと住民は決して公民館を頼りにしたりはしないし、精一杯働いている職員がいるところは、自然と住民とのコミュニケーションはとれているといってよいのではないかとも述べられていました。
白鳥さんのお話の中でもっとも印象的だったのは、ご自分の「イケメン連」の活動を通してのお話で、地域づくり活動を行う上において興味深いものが多く、たいへん参考になることが多かったのですが、ここでは都合によりお話しされたすべてについてご紹介できませんので、 少しだけイケメン連の活動エピソードをご紹介いたします。
当センターが発行している雑誌「舞たうん」でも「酒文化と地域のかかわり」ということで特集をしたことがありますが、愛媛県の全国新酒鑑評会の金賞の受賞率は全国でも山形県に次いで2位(H15年)であるにもかかわらず、県民の日本酒に対する関心が高いとはいえず、居酒屋などにいっても他県のお酒ばかりが並んでいるところが多いのが現状のようです。
また、愛媛のお酒をつくっている蔵元は規模が小さいところが多く、地元の人が地元のお酒を消費せずに、大きな蔵元の他県のお酒を消費することは地元の蔵元にとってはかなり死活問題であり、以下のようなことが予想されます。
蔵元がなくなる→米を使わない→田んぼが荒れる→美しい棚田の景観も消える(農村文化の荒廃)→地域の衰退
この流れの通りに必ずしもそうなるとはいえませんが、その可能性がないと否定はできません。
そのことに危機感をもった「イケメン連」のみなさんは、「愛媛の地酒は旨い」ということを多くの人たちに知ってもらいたいということから、内子町の亀岡酒造さんの協力のもと、オリジナルのオンザロック専用の日本酒「好漢(イケメン)」をプロデュースしたそうです。
このほかにも、松山市の銀天街にある円光寺の伝統料理「風呂吹き大根」をもとに、商店街と生活改善グループとの協力により、「風呂吹き大根のお接待会」を実施し、伝統料理を通して自分たちの住む町の食文化に触れる機会を提供し、今では松山の冬の風物詩にもなっているそうです。
ちなみに、おまけ情報ですが、正岡子規は、
「風呂吹きを 喰ひに浮世へ 百年目」
という句を残しています(風呂吹きは冬の季語)。
このような地域素材を活かした「イケメン連」の取り組みを通して、『公民館は地域に根差した施設であり、自分たちの公民館のある地域にも、このような素材は絶対に眠っているわけで、それを磨き上げて、上手に住民に伝えていくかということこそが、公民館職員に求められていることではないだろうか』と述べられていたことがたいへん印象的で、地域づくり活動の原点を教えていただいたように思います。
このほかにも、マスコミ関係者から見る地域情報の発信の重要性についてお話され(お話しの内容については若松進一さんのブログの2007年7月11日の日記の内容と非常に似通っていましたのでそちらを参照してください)、たいへんユーモアあふれるお話であったこともあり、研修に参加した公民館職員もたいへん参考になることが多かったのではないかと思われます。
なお、イケメン連の活動についてのお問合せはこちらまで。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
7月7日(土)、愛南町(旧城辺町)蓮乗寺地区にある小西酒造をメイン会場に、「街道灯籠祭り 酒蔵の道をゆく」が開催され、この事業は当センターの「まちづくり活動アシスト事業」の助成対象事業となっていることもあり、事業実施の様子を取材をしてまいりました(主催:同実行委員会)。
この事業は、6月9日(土)に行われた「海街道をゆく」に引き続いて行われた街道灯籠祭り愛南の第2弾のイベントで、8月25日には第3弾として愛南町山出地区を会場に「街道灯籠祭り 山街道をゆく」が開催される予定です。
※小西酒造外観
なお、会場となった小西酒造は、愛南町に古くからある造り酒屋で、創業は文久3(1863)年という150年以上もつづく老舗の酒屋さんで、「南郡(なんぐん)」と呼ばれる日本酒も醸造されています。めったに入ることの出来ない酒蔵の中を見学できるということだけでもある意味貴重なウォッチングになります。
※ジャズコンサートの様子
※灯籠設置の様子(ピンボケ気味ですがご容赦を)
この日のイベント内容としては、小西酒造付近の蓮乗寺(れんじょうじ)川沿いを灯籠で照らし、酒蔵ではジャズピアノコンサート、酒蔵の前では「夜市」というスタイルでした。しかも、浴衣で来ると夜市で特典があるということで、たくさんの浴衣姿の方を見ることができ、七夕の夜にちょっとおしゃれな、そしてたいへん風情のあるイベントだったように思います。
ただ、この日もあいにくの雨となってしまい、私(=谷本)が土日に出張に行ったイベントのうち、そのほとんどが雨になるというジンクスがうまれつつあり、関係者のみなさんご迷惑をお掛けいたしており、一部準備が予定通りに進行していない面もありましたが、イベント本番時には関係者の努力もあってか(?)雨もあがって、予定通り無事にイベントも開催できたようです。
蓮乗寺川沿いの多くのポイントでカメラを構えたアマチュアカメラマンが見受けられ、「ぜひ来年もやってほしい」と主催者にさっそく聞いている人もおられたようでして、「自分たちの住むところにあるものをもう一度見直す」というこのイベントですが、なかなか好評なイベントになっていたのではないでしょうか。何はともあれ、関係者のみなさんにおかれましては、雨の中の作業、たいへんおつかれさまでした。
このイベントについてのお問合せ先は、同実行委員会(地域交流センター プラザ城辺内:TEL&FAX 0895-73-2288)まで。詳しくはコチラのサイトも参照してください。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)