研究員ブログ

「四国へんろ道文化」フォーラム

6月16日(土)宇和島市民大学と「四国へんろ道文化」世界遺産化の会共催による「四国へんろ道文化」フォーラムが愛媛県宇和島市のコスモスホール三間で開催されました。参加された230名の方々は、基調講演とパネルディスカッションにより「へんろ道文化」と「世界遺産」について理解を深めました。

基調講演では、世界遺産総合研究所の古田所長が「四国いやしの文化~四国八十八ヶ所霊場と遍路道~世界遺産登録の実現に向けて」と題し、ご講演されました。世界遺産の必要性や分類など世界各地の登録されている遺産を事例に紹介されました。また、国内の世界遺産に関する動きを紹介するとともに、今後世界遺産に登録するためには何が必要かをお話されました。1,400kmに及ぶ遍路道や宗教・宗派を超えて四国の地域社会が支え続けてきたへんろ文化は希有な資産で価値があると論ぜられました。

p1010184.JPG

※世界遺産総合研究所の古田陽久所長

パネルディスカッションでは、コーディネーターを愛媛大学法文学部の藤目教授が務め、基調講演された古田所長とともに「四国ヘンロ道文化」世界遺産化の会代表世話人であり、四国霊場第58番札所の仙遊寺の小山田住職、四国八十八ヶ所ヘンロ小屋をつくる会の村上愛媛支部長がご登壇されました。

p1010305.JPG

※左から藤目教授、古田所長、小山田住職、村上支部長

コーディネーターから「なぜ今世界遺産なのか」「世界遺産に登録する為には何をしなければならないのか」「今後の活動は」の3つの視点が投げかけられ、それぞれにディスカッションされました。古田所長からは「日本全体を見ても 四国には世界遺産がない。四国4県が共通理解の下、一致団結して取り組まなければならず、この作業をとおして“四国は一つ”をアピールしてほしい。また、そのことで道州制への道も開けるのではないか」と話されました。村上支部長からは「殺伐とした日本を変えるのはおもてなし文化だ。日本全体を四国化したい」。小山田住職からは「10年前はへんろを文化ととらえていなかった。世界遺産への取組は手段であり、目的ではない。自分たちに何ができるか。物から心の時代であり、大事なものを遺し伝えていく必要が有る。へんろ文化・お接待を世界に発信していきたい」と述べられた。最後に藤目教授から「四国はすべてにおいて1周遅れていた感がしていたが、今では1周遅れのトップランナーになっている。これからも汗をかきながら地道に頑張っていきましょう」とパネルディスカッションを閉められました 。

フォーラムの開催前には、「四国へんろ道文化」世界遺産化の会2007総会が開催され、19年度の事業計画に「汗をかく活動」の実践が承認されました。この「汗をかく活動」については、翌日の17日(日)にへんろ道清掃ウォークが開催され、実際に“大汗”をかきながら清掃を行いました。このことは、近日中に、坂本研究員から報告があります。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

第5回全国まちづくり交流会

6月9日(土)高知県馬路村で第5回全国まちづくり交流会が開催されました。

この交流会は、2003年愛知県足助町(当時)で足助町観光協会AT21倶楽部の設立10周年記念式典に、同倶楽部と日頃から交流の続く全国の地域づくり団体が集ったことをきっかけに、「全国まちづくり交流会」として、第2回は与論島、第3回は阿波勝浦、第4回は北海道オホーツクの地で開催してきたそうです。

第5回の交流会は馬路村活性化推進協議会が主催し、「村には価値が生まれる」のテーマで、人口1,114人の高知県馬路村で開催され、全国各地から90名もの参加がありました。

馬路村上治村長から歓迎のあいさつがあり、「村がブランドになるような地域づくり」を目指した実践の紹介がありました。特に興味深かったのが馬路村を応援してくれる「特別村民」制度を導入していることで、交流人口が35万人にまで増えてきているそうです。この人口は、高知市の人口に匹敵し、いかに元気な村かが窺がえました。ちなみに「特別村民」は、馬路村に行けば村長室で「ごっくん馬路村」が飲めるそうです。

p1000963.JPG p1010054.JPG

※村長さんと特別村民に送付される広報誌「こうほう馬路」

続いて、馬路村農協組合長の東谷さんから「馬路村農協の取組」が報告されました。ご存知のように東谷さんは、今日までのゆずづくりや商品開発、販売の仕組みづくりなど20年にわたる活動の中心的役割を果し、馬路村のイメージを作り上げた村おこしのリーダーです。 東谷さんたち馬路村農協の取組をスライドを交えながらお話いただきました。「ごっくん馬路村」などゆず加工品の売上は33億円を超えたようで、まだまだ進化し続ける馬路村農協のパワーに圧倒されました。

p1000971.JPG

※東谷組合長は夜の部も先頭で引っ張っていました。

続いて基調講演があり、「沈む夕日でまちづくり」をしてきた愛媛県双海町(現:伊予市双海町)の取組を人間牧場オーナーの若松進一さんが熱く語られました。オープニングでは寅さんばりのDVD紹介もあり、笑いの渦となった講演は、時間の経つのも早く、若松節炸裂・得意のハーモニカ披露と会場の参加者は若松イリュージョンへ引き込まれていきました。笑いの中にも、まちづくりを行う上で大事な「楽しいこと」「新しいこと」「美しいこと」の3つのキーワードを遺し、講演を締められました。

p1000984.JPG

※人間牧場主の若松さん

その後、参加者からそれぞれのまちづくりやイベントのPRが行われました。来年の開催地の発表もあり、第1回に開催した愛知県豊田市足助で再び会う約束をして会を閉じました。

p1010026.JPG

※「かがり火」編集長の菅原氏からも最近のまちづくり事情が報告されました。

前夜祭、大交流会と2日間続けての宴も催され、馬路村のうまいものに酔いしれた(お酒にも随分酔いましたが・・)交流会でした。

p1000921.JPG

※安田川天然レストランでの前夜祭

若松進一さんのブログでも、この全国まちづくり交流会の様子を伝えています。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

街道灯籠祭り 海街道をゆく

6月9日(土)に愛南町僧都川河口(南レクプール付近)で、「街道灯籠祭り 海街道をゆく」が開催されました(主催:街道灯籠祭り愛南実行委員会)。本来は6月2日(土)に開催されるイベントでしたが、雨による順延の開催でした。

p6090185.JPG

※開催の案内板

本来の日程では、正午過ぎよりボランティア清掃をしてのち、灯籠づくり、灯籠設置、ライトアップという日程でしたが、順延となった9日はボランティア清掃を取りやめということで一部日程を変更しての開催となったようです。

この日のライトアップで使われた灯籠は、竹と和紙をつかったもの。四万十の灯籠は空き瓶、松野町目黒地区のそれは木とダンボール、と各地のライトアップイベントでつかわれる灯籠がすべて異なるというところにオリジナルティーがでていたようでした。

p6090173.JPG p6090170.JPG

※愛南町の灯籠は、竹を斜めに裁断して、それに和紙でくるんで輪ゴムで留め、麻紐で再度留めて、中にロウソクを置くタイプ。この日用意したロウソクは500個ほどとのこと。主催者にうかがうと、7月、8月の灯籠イベントでは和紙は使わないそうです。今回設置した竹は、御荘中学校、内海中学校の生徒さんたちが地元のボランティアの人たちと協力して制作したそうです。

p6090172.JPG

※この日の灯籠作りには、御荘中学校の生徒さん50名ほどがお手伝いとして参加していました。

さて、午後3時からの灯籠制作が終了したあと、「御荘新四国順路図」を生徒さんに配付したのち、新四国めぐりということでマップを手にしながら「新四国めぐり」をして、自分たちの住む町の風景をあじわっていたようです。

p6110219.JPG

※「御荘新四国順路図」。四国には島四国をはじめとして、各地にミニ八十八箇所廻りがあり、「四国はお遍路文化」という代表的な事例とも言えるでしょう。ちなみに、城辺の新四国順路図もあるそうです。

ただ、この日も、夕方になるにつれてだんだんと雲行きが怪しくなってきて途中から雨模様となり、ライトアップの開催も危ぶまれましたが、ライトアップ準備時の午後7時前には雨もあがり、いよいよ灯籠を設置してライトアップ作業を行いました。

p6090184.JPG p6090189.JPG

※雨もあがり、夕やけもでてきて、なんとか開催ができるめども立ち、スタッフの皆さんは灯籠を会場に設置していきました。距離は2メートル間隔で、約700メートルの道に500個弱の灯籠を設置して、ロウソクに明かりを灯していました。

p6090199.JPG p6090211.JPG p6090217.JPG

※午後7時半すぎには、会場に幻想的な風景があらわれ、少しずつ夜の闇に淡い灯籠の光りが広がっていたようです。左が午後7時30分頃の会場、中央が午後7時45分頃の会場、右が午後8時過ぎの会場。

来場した人にお話しをうかがうと、「きれい」という声や、「時間がゆっくり流れるように感じて、癒される」といった声がきかれ、なかなかの好評イベントだったようです。 主催者のみなさん、雨の中たいへんおつかれさまでした。

この愛南町のイベントについてのお問い合わせは、同実行委員会(地域交流センター プラザ城辺内:TEL&FAX 0895-73-2288)まで。また、愛南町ではこの灯籠イベントを7月、8月にも会場を別にして予定しています。お近くの方、興味のある方、癒されたい方、愛南町までお越しになってみては。詳しくはこちらのサイトを参照してください。

なお、この愛南町の「街道灯籠祭り」を実施している同実行委員会は、当センターが実施している「まちづくり活動アシスト事業」の平成19年度助成団体となっています。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

四国へんろ道文化フォーラム@東京

6月3日(日)「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が主催する「四国へんろ道文化フォーラム@東京」が東京・吉祥寺の前進座劇場で開催されました。前日のお遍路パフォーマンスの効果があったのか、120名もの参加があり、なかには愛媛出身新潟在住の方や遍路傘を持参されている方など多くの人に集まっていただきました。

今回のフォーラムは、テレビ、雑誌などで「四国へんろ」が数多く取り上げられ、巡礼者も増えてきている昨今、“なぜ、いま、「四国へんろ」なのか”“IT化、リストラ、社会不安、核家族化、高齢化、いじめなどと関係あるのか”を、何らかの形で「四国へんろ」に関わってこられた方々にお話していただき、「四国へんろ」を一緒に考える機会を提供したものです。

テーマに「心の文化遺産『四国へんろ』」~その「癒し」「お接待」「交流」「自然」を語る~を掲げ、当日前進座劇場でみかん一座が行うミュージカル「夢へんろ」と同じ会場で、公演終了後開催されました。

p1000563.JPG

※ミュージカル「夢へんろ」のワンシーン

会場の準備は、前日のお遍路パフォーマンスに参加された方や朝一番の飛行機で愛媛から駆けつけた世界遺産化の会のメンバー、そして、みかん一座のスタッフで行いました。受付では、お接待として愛媛のみかんジュースも提供されました。

p1000462.JPG

世界遺産化の会代表である四国霊場五十八番札所仙遊寺住職の小山田憲正さんがコーディネーターを務め、パネリストに元朝日新聞論説委員の辰濃和男さん、NHKドラマ・チーフプロデューサーの鈴木圭さん、映画プロデューサー・作家の増田久雄さん、みかん一座座長の戒田節子さん、三味線奏者の月岡祐紀子さんの5名の方々がご登壇されました。

p1000655.JPG p1000678.JPG

※小山田代表とパネリストの皆さん

辰濃さんからは自身が3度体験した歩き遍路のことを、鈴木さんからはお遍路ドラマ「ウォーカーズ」をプロデュースしたことを、増田さんからは仙遊寺の宿泊体験から“再起動”に注目したことを、戒田さんからはミュージカル「夢へんろ」のことを、月岡さんからは若い女性として体験した2度の歩き遍路のことを、それぞれの視点で「四国へんろ」についてあつい想いを語られました。

パネリスト同士の話の投げかけもあったり、客席からの質問に応じたりと、コーディネーター、パネリスト、客席が一体となったフォーラムとなりました。

 p1000728.JPG

最後に小山田代表から「はだかの自分に出会えるお遍路を空間として、子どもたちに生き方や価値観を伝えていこう」と呼びかけ、2時間のフォーラムは幕を閉じました。

フォーラム終了後には、12名の方が「四国へんろ道文化」世界遺産化の会へ入会されるとともに、たくさんの方々が署名にご協力いただきました。

世界遺産化の会は、6月16日にも宇和島市でフォーラムを開催するそうです。

詳細はコチラから

また、みかん一座もミュージカル「夢へんろ」を松山市で再度公演されるそうです。

詳細はコチラから

2日間、世界遺産化の会の方々と行動を共にしてきましたが、自分自身も「四国へんろ」について再考できる機会であったこと、多くの方々と汗をかいて活動したこと、そして何より多くの人との出合いがあったことに感謝とお礼を申し上げます。ありがとございました。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)
 

お遍路さん、渋谷を歩く

6月2日(土)「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が渋谷でお遍路パフォーマンスを実施しました。

これは、翌日(6月3日)に控えているみかん一座ミュージカル「夢へんろ」と「四国へんろ道文化@東京フォーラム」の周知、「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の活動を広く知ってもらうために開催したものです。

p1000198.JPG

※武田代表が準備したポスター

この日は、愛媛から世界遺産化の会の小山田・武田代表をはじめとする会員の参加と、今秋から「百年お遍路」に取り組む千葉のNPO法人ニュースタートのメンバーやお遍路を経験した東京、大阪の方々など一般参加も得て、総勢30名での活動になりました。

渋谷駅前のモアイ像周辺でチラシ配りや署名活動を行いました。駅前ということもあり足早に目の前を通過していく人達が多く、苦戦もしましたが、中にはお遍路に興味を持つ方や世界遺産化に向けての取り組みなどに関心を示す方もいて、予定していたチラシやパンフレットを配り終えました。署名に協力してくれた皆さんありがとうございました。

p1000301.JPG

※小山田代表自ら活動の説明

p1000258.JPG p1000279.JPG p1000331.JPG

続いて、場所を代々木公園に移すため、モアイ像前からハチ公前を経由し、渋谷で有名なスクランブル交差点をお遍路スタイルにのぼりを持ち、一行で歩きました。スクランブル交差点は、予想どおりの混雑振りで、人の間をかき分け入るように歩きました。周囲の人たちは何ごとかのように振り返っていましたが・・・。

p1000443.JPG

代々木公園ではちょうどこの日、エコライフフェア2007が実施されており、自治体関係者や各企業がそれぞれのエコライフ活動の展示やパフォーマンスを行っていました。

p1000430.JPG

その間を通り、NHKホールの前で改めてチラシ配りや署名活動を行いました。エコライフに関心のある方が多く集まっていたので、へんろ道文化や世界遺産化への取り組みなどに関心を寄せてくれる人も多く、翌日のフォーラムや今後の活動に対し、応援する激励の言葉もいただきました。多くの方の協力により、遺産化の会入会案内パンフ400部、フォーラムチラシ350枚、すべて配り終えました。

p1000369.JPG

※活動を終え、全員で記念写真

今日の活動は、翌日の四国へんろ道文化フォーラム@東京フォーラムが盛会に行われる助長となりました。

※四国へんろ道文化@東京フォーラムの模様は、後日掲載させていただきます。

「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の取組や入会は、コチラから!

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)