研究員ブログ

愛媛への移住を目指すのはどんなタイプ?

団塊の世代の大量退職を期に、大都市圏から地方への移住や交流が期待されていますが、移住・交流の成功事例として知られる北海道伊達市の菊谷市長の講演のなかで、移住者の意識によって移住先が分かれるという意見を聞いたので、ちょっとご紹介します。

北海道、沖縄、長野は移住人気先の御三家ですが、 菊谷市長によると、長野を目指すのは都市志向タイプ、沖縄を目指すのは快楽追求タイプ、そして、北海道を目指すのは自己実現追求タイプとのことです。
市長のお話は、自己実現を目指す北海道への移住者のための仕組みづくりを考えているというようにつながっていったのですが、目標の違いによって移住先が変わるというのは、なるほどと思わされるお話でした。

それでは、愛媛は果たしてどのタイプに分類されるのでしょうか。
温暖な気候、おいしい食べ物と、愛媛の良いところを考えると、快楽追求タイプもありなのかなと思いますが、過疎化の進む中山間地域には、自己実現追求タイプにご満足いただける素地も十分あるでしょう。
むしろ、海あり山ありの多様な地域を抱える愛媛は、様々なニーズに対応できる素晴しい場所と考えるべきなのかも知れません。

当センターでも、いよいよ来週には「愛媛ふるさと暮らし応援センター」がオープンします。
移住を希望される方のニーズにあわせた的確なご支援ができるよう、引き続き研究を進めて参りたいと思います。

(文責 企画研究部門 主任研究員 武智公博)

段畑の背中

先日、「地域づくり人養成講座」の仕事で宇和島市遊子の水荷浦段畑に行った。よく考えると水荷浦の段畑に来るのは二年ぶりだが、今年は、全国で三例目という重要文化的景観に指定され注目を集めている。しかし、いつ見ても凄いの一言である。

昔の人達が建てたものや作ったものを見ると、人の力は凄いなぁとつくづく感心する。高度な科学力に基づく現代技術でもってしても修復や復元ができないものが多い。

民俗学者の宮本常一さんが、周防大島から対馬に移住した漁民達が港を築いた話を書かれていたのを読んだことがある。石を1つずつ海に入れては流され、ま た1つずつ海に入れて・・・という繰り返しで防波堤をつくり港を築いたという話である。この対馬の港づくりといい、遊子の水荷浦段畑といい、昔の人は経験 と繰り返しで不可能を可能にしてきたんだと思ったりもする。

その遊子で、先人が残した段畑を活かそうという人達と出会った。「NPO法人 段畑を守ろう会」の人達である。

講座では、副理事長さんである松田鎮昭さんから段畑にまつわる熱い想いを聞き、山内満子さんをはじ め女性部の皆さんの手づくりの段畑料理をいただいた。これらの料理はすべて地元で採れた物で手づくり、鯛バーガーなどの創作ものもあり、バラエティ ーに富みこれは作り込むといける。

段畑の背中

最後に、 松田副理事長さんの背中をご覧あれ!

「私の故郷には段畑があります」と書かれ、馬鈴薯と段畑と空のコントラストが印象的。「ボクの村には”ごっくん”がある」という馬路村風のこのキャッチコピーがなかなか良く、聞くと農協がつくったらしいが、なかなかやるなぁ。

やっぱり男は背中ですねぇ~。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 清水和繁)

海のホタル

地域づくり人養成講座の第3回目は宇和島市遊子地区で行われ、受講生は遊子地区の景観を生かした地域コミュニティについて学習をした際に、地元の段畑を守ろう会の方から、段々畑を灯籠で照らすイベントの紹介がありましたが、その遊子地区に向かう道中にある宇和島市三浦地区でも、現在、養殖筏をイルミネーションで輝かせている取り組みをしています。

イカダ2 いかだ1

昼の養殖イカダ(左)と夜の養殖イカダ(右)

その取り組みをしているのは、三浦地区にある土居真珠さん。土居真珠さんでは、今年の夏から「海のホタル」と題して養殖筏をイルミネーションで輝かせています。この取り組みは養殖筏を使わない夏の時期しかできないもので、9月中旬頃までやっているそうです。

また、土居真珠さんでは、体験型観光ということで「真珠の核入れ体験」や「パールオーナー制度」など、宇和島真珠のブランド化とともに宇和島が誇る「真珠」を素材にしたさまざまな「地域おこし」の取り組みをされています。

この土居真珠の社長をしている土居一徳さんは、東京の大学やアメリカへ留学しているときに、宇和島の海と真珠の素晴らしさを知って、宇和島は世界にも通用すると思われたそうです。まちづくりの要素である「ヨソモノ」の視点を思い出しました。

また、地区の三浦漁協では、ブルーツーリズムで「シーカヤック」にも取り組んでいます。これは、宇和島市のすすめるグリーンツーリズム事業である「虹色ツーリズム」の一環として行われており、特に三浦地区や遊子地区のある三浦半島と離島をその重点地域に指定していることも影響しているようです。

このほかにも、三浦地区には地区独特の芸能である「鹿踊り」や、地域の人たちが農作物や水産加工品を出店する日曜朝市などもあり、遊子地区とともに地域活性化の要素や可能性をもっている地域だといえるでしょう。

なお、イルミネーションに関するお問い合わせは、土居真珠さんのHPを参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

クラス会にふるさと学習を!

平成19年8月19日(日)付の愛媛新聞の読者投稿欄に、大阪府の60代の男性が「宇和島でクラス会を開催したときに、ふるさとの歴史を学習する講座をあわせて実施して、参加者に大変有意義なクラス会となった」という内容の興味深い投稿が掲載されていた。

これについて、宇和島市の対応をした職員に話を伺うと、以下のような経緯で講座を実施したそうだ。

・平成18年3月に先方から電話で学習の機会の提供の相談があり、市教委文化課が対応

・依頼者と応対担当者が電話等でやりとりをしながら講座の中身について協議

・依頼者は講座の会場となっている場所の下見や講座内容の協議に3度帰郷

・応対担当者は講義のレジュメを作成し、クラス会案内通知文書に同封してもらうようにした

・宇和島祭り(平成18年7月)にあわせてクラス会を開催し、約20名が1テーマ1時間の3テーマの講義を受講

・講座会場には宇和島市立歴史資料館(明治17年建築)の一室を使用し、郷愁を誘う学習会場だったこともあり参加者にはたいへん好評だった

・参加者の中には次のクラス会のときは歴史以外に宇和島の産業についても学習したいという要望もあがっている

さて、このような団塊の世代を含めた年配層が帰省した際に、せっかくふるさとに帰るのだからあわせて「ふるさとについて学習をしておこう」といったような「学習ニーズ」が実際にはどの程度あるかどうかはわからないが、団塊の世代の移住促進をも視野に入れた「帰省時のふるさと学習講座」は、意外に観光や生涯学習のメニューの1つとしては成立するかもしれないと思ったりもした。

なお、この取り組みのお問合せ先は宇和島市立歴史資料館(0895-23-2400)まで。

<豆情報>
宇和島市立歴史資料館は明治17年に宇和島警察署として建築され、のちに旧西海町役場として使われた時期もあり、平成4年に宇和島市住吉町に移築され、現在に至る。なお、建物自体が国の登録文化財にもなっており(愛媛県で最初の登録文化財)、現在は、常設展示のほかに高畠華宵大正ロマン館(東温市)と提携して館内で企画展示を実施している。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

研究員の休日

先日、夏期休暇を利用してサッカー日本代表の試合(対カメルーン戦)を大分で観戦しました。

九州石油ドーム①

※試合会場の九州石油ドーム(通称:大分ビッグアイ)

九州石油ドーム②

※試合の様子(このフリーキックの直後、田中マルクス闘莉王選手のゴールが決まりました)

試合内容については、新聞などのマスコミで報道されていますので割愛するとして、今回は試合会場となった九州石油ドーム(通称は大分ビッグアイ)をホームグランドにもつJリーグチーム「大分トリニータ」が行っている「地域貢献」の取り組みについてご紹介したいと思います。

Jリーグでは「Jリーグ百年構想」を基本軸として「地域貢献」を目的にしたさまざまな取り組みを各チームごとに行っていますが、これは欧米のプロサッカーチームを模範として、おらが町の市民クラブとしてのプロサッカークラブというスタイルを目標としていることに由来しています。

大分トリニータでは、このJリーグの基本理念をもとにさまざまな「地域貢献活動」を実施していますが、その中でスポーツを通じての「介護予防事業」をやっています。その事業の中身ですが、以下のようなものです。

1.歯科検診&体力測定・体操(ストレッチ)教室

公民館などでチームのメディカルスタッフが考案した健康づくり教室を実施。あわせて歯科検診と体力測定なども行います。

2.ウォーキング教室

足腰強化を図るためのウォーキング教室。実際にサッカーグランドにも入れ、チームとサッカーについて触れることができます。

3.多世代交流サッカー教室

スクール生や孫と一緒にサッカーボールを蹴る教室で、1・2の発展的事業の位置づけ。足腰強化、多世代交流を図りつつ、地域づくり活動に寄与することを目的にしています。

このような「介護予防事業」について、もう少し調査してみたところ、実はJリーグのJ1、J2のほぼすべてのクラブが実施しており、「温泉をつかった健康教室(ザスパ草津)」や「阿波踊りによる健康教室(ヴォルテス徳島)」など、地域の文化に根差したユニークな事業を実施しているところもあります。

ただ、大分トリニータのようにシニア世代の単なる介護予防や健康増進といったところに止まらず、そのことを通して上記3のような「多世代交流を図る」といった取り組みにまで視野に入れて介護予防事業を実施しているチームはあまり多くありません。

大分トリニータは、サッカー不毛の地と言われてきた大分県で、観客がたったの3人から出発し、数年の間に平均観客動員数2万人を超えるというリーグでも屈指の観客動員数を誇るチームへと発展してきた、いわゆる『地域づくり活動』の中から生まれたプロサッカーチームといわれており、その一端がこの介護予防事業の中でうかがえるのかもしれません。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)