研究員ブログ

通学合宿「夕焼け村」

来年度から農水省、文部科学省、総務省の3省が連携し、「子ども農山村交流プロジェクト」が始まるそうです。この事業は、 小学校高学年の児童が、1学年単位で農山漁村を1週間ほど訪れ、農家や民宿に泊まりながら農林漁業を体験するそうです。将来は、全国にある国公私立すべての小学校で行うことを目標にしているそうです。

こういった子どもたちの体験活動の中に「通学合宿」があります。親元を離れ、学校に通いながら生活するもので、愛媛県内でも多くの公民館や社会教育団体が実施しており、大きな成果を挙げています。

全国的には福岡県の庄内町(現飯塚市)が有名で、体験施設「生活体験学校」があり、年間を通して通学合宿を行っています。

双海町(現伊予市)でも平成12年度から通学合宿「夕焼け村」に取り組んでます。私が双海町教育委員会在職時に始めた事業ですので、思い入れも強く、先週の9月2日から8日までの1週間実施された通学合宿に参加してきました。

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(ふたみ潮風ふれあいの館「夕焼け村」が1週間の我が家です。)

仕事を終えた6日(木)の夜、会場である「ふたみ潮風ふれあいの館」を訪問すると、子どもたちは、研修室でのふれあいタイム中であり、各班で「双海新聞」を作っていました。食堂を覗くと、毎年お世話になる更生保護女性部の方々が、子どもたちがした夕食の後片付けを今一度丁寧に片付けてくれていました。

ふれあいタイムの指導は、東雲大学のボランティア学生で、今年も3名の女子大生が1週間子どもたちと一緒に過ごしてくれていました。学校の先生も頻繁に訪問していただいているようで、毎年のことながら多くの方の協力に感謝しています。

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(各班で「双海新聞」を作りました。)

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(毎朝6時に起きて、自分たちで朝食を作ります。)

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(双海町内3つの小学校から参加しています。
下灘小学校の児童は汽車で通学しました。)

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(子どもたちが寝静まった後、スタッフ会議が行われています。)

この「夕焼け村」の特長は、子どもと保護者を完全に隔離するところにあります。他市町での実施状況を聞くと、運営に保護者が参加しているところがほとんどですが、「夕焼け村」では、よほどのことがない限り、1週間は子どもにも、保護者にも会えない環境を作っています。唯一、子どもから親へのハガキで近況を報告するだけです。

最終夜には、保護者から子どもに宛てられた手紙を渡しますが、1週間保護者と会えなかった子どもたちは普段もらうことのない保護者からの手紙を涙しながら何回も読み返しています。感動的な瞬間です。 1週間の「夕焼け村」で、保護者は子離れを、子どもは保護者の有り難さを改めて感じ取るのです。

今年で8回目を終えた「夕焼け村」ですが、担当している伊予市教育委員会社会教育課双海事務所の職員に聞くと、今いる4人の職員も来年度は更に減少するのではないかと言っていました。いつまでこの「夕焼け村」が続けられるか心配しています。

冒頭にお伝えしました「子ども農山漁村プロジェクト」が通学合宿の代替事業になるかはわかりませんが、やり方によっては今以上に地域を巻き込んだ事業になるかも知れません。「子ども農山漁村プロジェクト」は、農山漁村にとっては、地域の活性化や都市との相互交流、子どもたちにとっては、自立心や社会性を育てられることだと期待しています。

 特に、生命を大切にし、親や地域の方々に感謝する子どもたちが一人でも多く育つことを願ってやみません。何はともあれ、「夕焼け村」に関わっていただいた皆さん、今年もありがとうございました。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

総合防災フォーラム ~地域防災力を考える~

去る9月4日(火)愛媛大学防災情報研究センター主催により愛媛県民文化会館真珠の間で開催されました。

まず、「地震災害から命を守る」というテーマで内閣府参事官(地震・火山対策担当)菊池良介氏が基調講演され、第二部は、防災教育、要援護者支援、事業継続計画(BCP)、防災地図、災害伝承について事例紹介され、それぞれの発表について行政の長や担当者から貴重なコメントをいただきました。今回は、基調講演の内容を紹介します。

【基調講演の要約】
 「地震災害から命を守る」 東南海・南海地震対策のポイント
 わが国は、環太平洋地震帯に位置し、地殻変動が激しく地震活動が活発。世界のマグニチュード6以上の地震の2割は日本周辺で発生しています。地震は、日本列島の太平洋プレートと陸側のプレートとが引き起こし周期的に発生するプレート型と、内部の活断層が活動して発生する直下型とに分類できます。なお、日本全国にわかっているだけでも活断層は、2,000以上あり直下型地震は、いつでもどこでも発生する可能性があります。

 政府として、東海地震、東南海・南海地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震と首都直下地震、中部圏・近畿圏直下型地震への対策を講じています。
 特に今世紀前半での発生が懸念されている東南海・南海地震については、関東から九州にかけての広域防災対策を早急に確立していく必要があります。
 そのためには、わが国の地震防災に関する法律体系を整備し、地震対策に関する計画フローに沿って、今後10年間で被害を半減する目標を立て防災戦略や応急対策活動要領などを計画しています。
 また、地震発生に伴う津波についても予報の精度向上、避難勧告・指示の住民への的確な伝達、避難場所・避難路、堤防の整備、津波に備えた訓練・啓発などを実施しています。
 津波から生命を守るためには、揺れたら、勧告・指示に従って安全な場所へ自らがまず逃げることであります。

 続いて、先日発生しました新潟県中越沖地震の現地状況を紹介します。
 今回の直下型地震では次のような特徴が見られました。

 第一に、あちらこちらで液状化現象が見られ多くの家屋、歩道、下水道などが被害を受けました。
 第二に、能登半島地震では、比較的同じ地区内に倒壊家屋の被害が集中する傾向がありましたが今回の地震では、同じ町内でも、無傷の建物と完全に倒壊した建物と混在している地区が多く見られました。

 次に避難所を視察して感じたことは、マスメディアで紹介されない地域の避難所は、場所により待遇に大きな差が出ていました。
 また、公共施設(特に学校)避難所の耐震化が遅れているため避難所として利用できないところもありました。
 ホテルや民間施設を避難所として利用できることが周知徹底されていないため有効に使われませんでした。
 飲料水は、援助物資などで十分確保されていましたが、トイレや洗濯などの生活用水の確保ができていなかったことが今後の課題となりました。
 トイレの絶対数が少なかったため不便を感じました。
 また仮設トイレは照明がないため夜間の使用は不便なことがわかりました。
 災害用の備蓄医薬品の使用期限が切れていたため使い物になりませんでした。

 今後、以上の教訓を活かして避難生活の見直しを行うとともに、災害被害を軽減するためには、地域の人たちの防災力が重要であることを再確認しました。

 「天災いは忘れた頃にやってくる」の諺があるように、いつ・どこでも・どんな災害に見舞われるかもしれません。大切な命や財産を守るために、日頃から個々の防災に対する意識を高め、地域内のコミュニティを活発にして、地域ぐるみで「自分たちの町は自分たちで守る」という自主防災活動が大切ではないでしょうか。

(文責 企画研究部門 研究員 秋山照彦)

調査研究情報誌 ECPR21号 「地域産業の再生~内発型ビジネスへの期待~」

 調査研究情報誌 ECPR 21号 を、8月31日に発行しました。特集は「地域産業の再生~内発型ビジネスへの期待~」です。

 地域活性化のためには、地域を支える産業の再生が不可欠ですが、経済のグローバル化とIT化の進展のため、地域産業はこれまで拠り所としてきた安価な用地や労働力などのアドバンテージを失い、そこに立地集積する意味自体が薄れてきています。

 今回の特集は、域外企業の誘致に頼るだけでなく、埋もれた地域資源を見出し、新たな付加価値を創造して事業化するプロセスを各地域で自発的に行う、いわゆる内発型ビジネスの創出による地域産業再生の取り組みについて取り上げました。

 地域イノベーションと地域の再生、産業別開業率にみる地域間格差とその要因、徳島県、松山市、岩手県花巻市における地域活性化への取り組み等について掲載しています。
 詳しくは、本ホームページの「事業のご案内」-「調査研究情報誌ECPR」をご覧ください。ご参考になれば幸いです。

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(文責:企画研究部門 研究員 政木輝彦)

愛媛ふるさと暮らし応援センター、いよいよ開所!

本日、おもに団塊の世代の方を対象にした愛媛県への移住を支援のための「愛媛ふるさと暮らし応援センター」が、(財)えひめ地域政策研究センター内に開所いたしました。

開設の様子

※看板設置の様子(栗田所長が看板設置)

午前10時30分からの開所式では、応援センターの看板を入り口に掲示して、愛媛ふるさと暮らし応援センターの専従職員2名体制による移住支援業務がスタートいたしました。

そして、応援センター長を兼ねる栗田史朗(財)えひめ地域政策研究センター所長が開所にあたり、「この応援センターが団塊の世代の方をはじめ、多くの移住希望者の拠り所となるようにがんばっていきましょう」とあいさつをいたしました。

これまで、「えひめ地域政策研究センター」でも「UJIターンに関する情報提供」をホームページ内で行ってまいりましたが、この「愛媛ふるさと暮らし応援センター」が開所したことにともない、これまで「えひめ地域政策研究センター」のもっていたUJIターン情報を継承した愛媛の移住ポータルサイト「e移住ネット」も本日から開設されました。

このポータルサイトでは、愛媛県の移住支援につながる情報を総合的に網羅・提供していきながら、住まい、仕事、暮らしに関する各種の情報提供を通じて愛媛の移住に関するホットな情報とともに、サイト内にある案内人のブログ「えひめ移住案内人レポート」では愛媛県への移住体験者などの生の声をどんどんお伝えしていく予定です。

愛媛に移住をお考えのみなさん、ぜひポータルサイトをご活用の上、「愛媛ふるさと暮らし応援センター」にお問い合わせください。そして、愛媛県への移住を職員一同心よりお待ち申し上げております。

なお、この研究員ブログでも移住・交流に関する情報を投稿する場合がありますので、あわせてご覧ください。

愛媛ふるさと暮らし応援センター
TEL:089-932-7841(担当:坂本、濱田)

愛媛県への移住ポータルサイト「e移住ネット」アドレス
http://e-iju.net/

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

愛媛への移住を目指すのはどんなタイプ?

団塊の世代の大量退職を期に、大都市圏から地方への移住や交流が期待されていますが、移住・交流の成功事例として知られる北海道伊達市の菊谷市長の講演のなかで、移住者の意識によって移住先が分かれるという意見を聞いたので、ちょっとご紹介します。

北海道、沖縄、長野は移住人気先の御三家ですが、 菊谷市長によると、長野を目指すのは都市志向タイプ、沖縄を目指すのは快楽追求タイプ、そして、北海道を目指すのは自己実現追求タイプとのことです。
市長のお話は、自己実現を目指す北海道への移住者のための仕組みづくりを考えているというようにつながっていったのですが、目標の違いによって移住先が変わるというのは、なるほどと思わされるお話でした。

それでは、愛媛は果たしてどのタイプに分類されるのでしょうか。
温暖な気候、おいしい食べ物と、愛媛の良いところを考えると、快楽追求タイプもありなのかなと思いますが、過疎化の進む中山間地域には、自己実現追求タイプにご満足いただける素地も十分あるでしょう。
むしろ、海あり山ありの多様な地域を抱える愛媛は、様々なニーズに対応できる素晴しい場所と考えるべきなのかも知れません。

当センターでも、いよいよ来週には「愛媛ふるさと暮らし応援センター」がオープンします。
移住を希望される方のニーズにあわせた的確なご支援ができるよう、引き続き研究を進めて参りたいと思います。

(文責 企画研究部門 主任研究員 武智公博)