来る8月23日(木)に、当センターでは第25回政策研究セミナーを開催いたします。テーマはコミュニティ・ビジネス。講師にはコミュニティ・ビジネスの提唱者である細内信孝 氏をお招きします。
コミュニティビジネスとは、地域が抱えるさまざまな課題をビジネスの手法により解決し、またコミュニティの再生を通じて、その活動の利益を地域に還元するという事業のことで、自分たちの生活している地域を元気にすることを目的に、自分たちが主体となって行う事業といったところでしょうか。
一つの成功事例として言われているのが、はっぱビジネスで全国的に知られた徳島県上勝町でしょう。人口2,000人ほど、土地の86%が山という過疎と高齢化がすすむこの町から生まれた「株式会社いろどり」は、従業員の平均年齢78歳、年商2億5千万円という企業にまで成長しています。地域の財産である「はっぱ」を生かして、地域課題である高齢化問題と雇用の問題を解決したというコミュニティ・ビジネスの典型と言われています。
そんな成功例がきっと私たちの周りにも転がっているんだけど、私たちは当たり前だと思って気がついていないだけ。そんなネタ(=地域素材)を発見して、地域の抱える課題を解決するために起業にすることにより、結果として地域活性化につながてみましょうというご提案が、今回の政策研究セミナーの企画意図です。興味のある方、ぜひコチラからお申込ください。
さて、個人的なことですが、このコミュニティビジネスという言葉を略号で「CB」と表記することがありますが、はじめにこの略号を見たとき、てっきりサッカー用語の「Center Back(センターバック)」の略号だと思っていました。私はコミュニティ・ビジネスを学習する以前の問題のようです(汗)
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
7月26日付けの官報に告示され、正式に文化庁から宇和島市遊子地区にある「遊子水荷浦の段畑(だんばた)」が全国で3例目、四国でははじめての重要文化的景観に選定されました。
この重要文化的景観とは、平成16年改正(施行は平成17年4月1日)の文化財保護法によって生まれた重要文化財のひとつであり、文化的景観のうち特に国民共有の財産として特に重要なものを重要文化的景観に選定しています。
さて、その遊子水荷浦地区の段畑においても、四国西南地域一帯で開催されている「街道灯籠祭り」のひとつとして、8月7日に「段畑夕涼み会(主催:同実行委員会)」が開催され、来場者は普段は見ることが出来ない行灯に灯された「夜の段畑」の風景を味わいました。
※遊子水荷浦の段畑とそこから広がる遊子の風景
※作業の様子(左)と取材の様子(右)
この段畑夕涼み会は昨年度から行われており、今年はおよそ1,000個の灯籠(昨年度は500個)が段畑に並べられ、段畑付近は幽玄な雰囲気に包まれており、この日はちょうど夜空に星がでており、段々畑の灯籠の灯りの先には満天の星空という、なんとも風情あふれる光景が広がっていました。
段々畑を形容する言葉に「耕して天に至る」という言葉がありますが、この日の夜はまさしく「灯籠の灯りを辿って見上げれば天の星空まで至る」といったたいへん美しい風景だったように思います。
※ライトアップの様子(まだ夕暮れ)
※全景の夕暮れ
※もう少し暗くなった全景
※別の角度からの様子
そして、夕涼み会場では夜市や実行委員会主催による出店(先日研究員ブログで紹介した鯛バーガーも販売されていました)、尺八の演奏会なども催され、訪れたおよそ400人ほどの人たちは真夏の夜の段畑の風景とともに音楽に酔いしれていました。
※尺八の演奏会
※これが噂の「鯛バーガー竜田味」(1個200円)
この日に用意した150個はすぐに完売しました。その様子は愛媛女子短期大学のブログにも紹介されています。
また、この日はお座敷船も1艘でており、船から食事をしながらこの夕涼み会を楽しむというグループもあったようで、海から見る夜の段々畑というなんとも粋な味わい方をされている方もおられたようです。
この取り組みについてのお問い合わせは、NPO法人段畑を守ろう会(0895-62-0015)まで。
なお、宇和島市では重要文化的景観の選定を受けて、10月初旬にシンポジウムを開催する予定だそうです。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
最近の新聞記事などを見ると、おもに団塊の世代以上の方をターゲットにした大学のシニアカレッジがブームのようで、地域の歴史や文化、風土、観光情報などを問題にした「ご当地検定」も同様のようだ。
この「ご当地検定」は、現在では70以上の地域で開催されており、本県関連では、宇和島市(四国で最初)、松山市、四国で実施されていて、今年度からは「タオルソムリエ(今治市)」なるユニークな検定も誕生するらしい。
このブームの火付け役を担ったのは、京都で行われている京都観光文化検定(略:京都検定)である。この京都検定は、さすが日本の歴史のメジャーともいうべき京都の歴史や文化を問う検定試験とあって、1万人ほどの受験者が毎年いるという。このほか金沢や長崎などの検定試験も数千人の規模となっている一方で、宇和島市などの小さな自治体で行われる、いわゆる「マイナー」な地域の検定は100人以下の受験者である。
これは、ご当地の人気(認知度)の差というものが一因であると考えられるが、ご当地検定を開催する側の開催目的のスタンスが大きく2つに分けられるからでもあるようだ。
京都検定のようなメジャーな検定の場合は、観光産業の人たちのおもてなしの質の向上や、検定を取り巻く旅行プランが検定そのものが観光事業となっているのに対し、マイナーな検定は、住んでいる人たちが自分たちの住む地域の良さをもう一度見直そうという「地域づくり活動の一環」という位置づけの要素で実施しているようである。
また、全国のご当地検定の検定合格者に対する扱いについて簡単に調査したところ、認定証のみの自己満足で終わっているところや、観光関係の割引クーポンが特典としてつくところが多いようである。
ただ、山口県萩市で実施している「萩ものしり博士検定」では、合格者に対して「修士」と「博士」の資格を与え、「博士」に対しては特別講演会などの合格者対象の事業を行い、博物館の解説員にも任命されるそうで、検定合格者を地域づくり活動に巻き込んでいこうという動きもあるようで、今後はこのような動きが活発化することが予想される。
検定試験というツールを上手に使い、地域づくり活動に活かす。それが「ご当地検定」を実施するうえでの今後の課題の一つのようである。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
先日、愛媛県内に在住する自分の出身大学の同窓会を年に2回やっていることを知り、はじめて参加してみた。
自分の出身大学が関西の大学ということもあり、愛媛県で県内在住者のみで同窓会をやっているとは思いもよらなかったが、同窓会に参加して幹事の方からいただいた県内の卒業生名簿一覧をみてかなり驚いた。
かつて当センターに在籍した研究員が大学の大先輩であり、同窓会の際に名刺交換をさせていただいた先輩方と話をしていると、当センターの主任研究員とかつて机を並べて同じ仕事をしたことがある方などもおられ、世間は広いようで狭いものだと思うとともに、「縁」というものをたいへん感じた。
さて、その同窓会から数日後、自宅のポストに大学の学部同窓会名簿が到着した。名簿を開いて年度を追いながら卒業生の進路先のところを眺めていると、自分が大学を卒業した当時(平成10年度)は就職氷河期が続いている時期でもあり、かなり進路先に大学院進学や空白が目立ち、就職する人は少なかった。
その一方で、昨年度(平成18年度)に卒業した学生の進路先をみると、そのほとんどに進路先が記入されていて、就職している学生が多い。
これを眺めながら、学生の就職率が向上していて、景気が回復基調にあるという新聞報道などを思い出し、自分たち世代との差やギャップというものがあることを実感した。
それもそのはずである。わが身に振り返って教育環境を考えてみると、自分たちのときには全くなかった「総合的な学習の時間」なるものが小中高で導入され、また大学でも自分たちの学生時代には「研究者は研究だけしておけばよい」という風潮がまだまだ強かったが、現在の大学は地域貢献や産官学連携といった事業をやっていないところはない。
およそ10年で時代の流れというものはこんなにかわるものかと思うとともに、これからの10年はいったいどうなっていくのだろうか、果たして自分はこの急激な社会の流れについていけているのだろうかと自問する今日このごろである。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
8月1日、松山市中島総合文化センターが主催した「周防大島へ行こう宮本常一生誕百年の集い」に清水研究員、えひめ地域づくり研究会議運営委員の皆さんと参加しました。当日の様子を写真でお伝えします。
今回のツアーには、松山から14名、中島から21名の総勢35名での旅となりました。
チャーター便での旅(三津浜港→神浦港→伊保田港)
左:企画した豊田さんから日程の説明
右:中島総合文化センター所長金本さんのあいさつ
左:宮本常一記念館のある周防大島文化交流センター
中:館内には宮本常一が写した10万枚もの写真が保存されている
右:事務所で販売されていた「宮本常一写真図録第1集、瀬戸内海の島と町-広島・周防・松山付近」を手にとって見ると、あらビックリ!豊田さんが執筆しているではないですか
星野哲郎記念館も隣接されており、見学へ。しかし、この日は休館日。全国から多くの人が集まるのに何故?建物内には市町村合併した東和総合支所があり、職員もいるのに・・・。仕方がないので、記念館を一周。裏から館内の様子を伺うと兄弟舟の一節が掲示されていました。(写真中右)
昼食後、生誕百年記念の集いの会場へ
右:昼食時にご紹介いただいた「周防大島ドットコム」の江良さん(右端)
左:清水研究員と共に最前列に
中:東和町長、山口県教育委員会教育長のあいさつ
右:テレビ局も取材に
「宮本常一から学んだこと」と題してノンフィクション作家佐野眞一さんの特別講演
「もっと宮本常一を知ってほしい」から始まった講演は、宮本常一の生き様を紹介し、単に宮本常一を祀り上げるのではなく、「厳しく宮本常一に向き合ってほしい」と佐藤氏の熱い思いが語られました。
左:会場内には、宮本常一が撮った写真が展示されていました。
中:よく見ていると今治から三津浜までの軌跡も紹介されていました。
右:書籍販売コーナーは大盛況でした。
左:事前に上演に際しての注意があり、ステージ近くで見てもらいたいということで移動。いつの間にか若松さんが私の横に。講演の時には3列程後ろにいたはずなのに・・・。先を読む力(佐野さんの講演で日本人に不足しているものと説明があったばかり)で好ポジションをキープ。隣にいた清水研究員は、若松さんの後ろで見ることになってしまいました。
右:上演後の坂本長利さん
左:帰りの船内。左から中島総合文化センター所長金本さん、松山離島振興協会会長田中さん、若松進一さん
中:隣では門田眞一さんが分厚い本を読んでいる。
前文にはこう書かれていました。
東和町は私のふるさとである。私にとってふるさとは生きざまを教えてくれた大事な世界であった。郷里を出るとき父の言った「うれしいにつけ、苦しいにつけ、ふるさとのことを思い出せ。困ったときにも力になってくれるのはふるさとだ」という言葉がその後もずっと心の中に生きつづけていた。
左:読んでいるのは、1,000ページにおよぶ東和町誌。宮本常一が一人で作ったものだそうだ。
左:今回お世話いただいた豊田さん。聞くところ、周防大島で定期的に開催している「郷土大学」にも参加しているそうです。
右:舟の先端から撮った興居島沖にしずむ夕日。夕日を見ながら一日を終えました。
今回の旅では、 「あるく、みる、きく」を成し遂げた宮本常一を存分に堪能させていただきました。
因みに、この日の様子は、若松進一ブログでも紹介されています。
(文責 まちづくり研究部門 研究員 松本 宏)