本日、松山大学と朝日新聞松山総局の協力講座「ベンチャービジネスと市場」を、企画研究部門の渡邊研究員と聴講してまいりました。この講座は市民公開講座(無料)でもあり、「ベンチャー企業の起業に必要な知識とスキルを学ぶ」内容となっており、松山大学の経済学部の学生さんと一緒に学習をすることができるのが大きな特徴です。
これまでの講座では、実際にベンチャービジネスを実践されている方のお話や、公認会計士、経済アナリストといった学外の講師の話を聞くというスタイルでしたが、この日の講座からはこれまでの講義の成果を活かして、学生さんたちによるビジネスプランのアイディアを最初に発表する会となっていましたので、学生さんたちの自由な発想による新鮮で奇抜なアイディアを聴講させていただこうと、久しぶりに学生気分に戻って(?)受講いたしました。
講座では、学生さんたちが4つのグループに分かれて、模造紙にどんなビジネスプランを考えてきたのかを書く作業を行い、そのあとで各グループごとにプレゼンを行うといった形ですすめられました。
さて、気になるビジネスプランですが、あまり詳しく説明するのは控えさせていただきますが、若者なりの視点でイベントを使った松山のロープウェー街の活性化、学生向けに特化した内容のフリーペーパーの配付、地産地消にこだわった給食スタイルの飲食店、地域防犯を行う民間企業、若手監督の映画活動を積極的に応援するプロデューサー業、などなどがありました。
受講した限りでは、今のプランのままではちょっとビジネスとするのには無理かなと感じましたが、これをもとにしてさまざまな人たちからアドバイスをもらいながら、次回、次々回の講座でプランをブラッシュアップしていき、夏休みにも各自が学習を行うそうですので、今後に期待したいと思います。ひょっとしたら、この中から学生発のニュービジネスが生まれるかもしれません。
あと、個人的な意見ではありますが、学生さんたちにとっては、このような講義・授業を通して「創造する(=物事を深く考える)という作業」が大事なのであり、自分たちの考えたビジネスプランが果たして儲かるかどうかは二の次でもいいように思います(儲かるに越したことはないですが)。
プランを立てて、それを検証し、そしてまたそれにそった行動を行い、また評価をするという、いわゆるPDCAサイクルを大学の学習の中で行えるということに意味があると言えるのではないでしょうか。
社会人の方ならお分かりでしょうが、このような経験は絶対に社会人になった際に役に立ちます。私が学生だったころには考えられないような授業形式です。そういった意味において、今の学生さんたちはうらやましい限りですし、しっかりと勉強してほしいと思いました。といっても、だいたいそう思うのは卒業したあとになってからなんですけどね。「後悔先に立たず」とはよく言ったものです。
この講座のこれまでの講義内容や様子についてはこちらを、またこの講座そのものについては、こちらを参照してください。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
先日、休暇を利用して宇和島市にある愛媛女子短期大学を訪問しました。訪問の目的は、愛媛女子短期大学と宇和島市遊子(ゆす)地区の有志のみなさんによる調理実習の見学です。
愛媛女子短期大学のHPはコチラ。
愛媛女子短期大学では、「大学と地域の連携」ということで、遊子地区の代表的な産物である「養殖鯛」と「馬鈴薯」をつかった地創作料理のレシピづくりを栄養課程学科の授業として取り組んでおり、昨年度より学生さんたちがオリジナルの「遊子の名物料理」を考えてレシピ作りに取り組んでいます。
このほど、そのレシピの成果がある程度まとまったとの連絡が愛媛女子短期大学からあり、それを地元の人たちに調理方法を教える調理実習が行われるようになったわけです。
この日集まった地元の人は、NPO法人「段畑を守ろう会」の女性部と遊子漁協女性部の役員のみなさんで、調理実習では、実際にレシピを考えてくれた愛媛女子短期大学の学生さんが指導役となり、遊子地区のみなさんに「創作料理の作り方」を教えておられました。ただし、「鯛をさばくこと」だけは、さすがに遊子の人たちの方が一枚も二枚も上。逆に学生さんたちに捌き方を教えてあげるなど、相互学習による交流が出来ていたようです。
※調理実習の様子(鯛をさばいてます)
この日の調理実習でつくった新メニューは、次の3種類です。
①鯛の春巻き
※中身の具はにんじんとじゃがいも、鯛の切り身をごま油や豆板醤で炒めてます
②鯛のライスコロッケ
※鯛のあら汁とごはん、および鯛の切り身を炒めて、それをふかし芋でくるんであげてます。
③鯛バーガー(タルタル味、竜田味)
※左がタルタル味、右が竜田味です。
調理実習をしたのちに、さっそく試食会を実施したのですが、遊子地区の人に味についてもお聞きすると、すべてのメニューともに「おいしい」と好評で、特に「鯛の春巻き」が一番人気でした。「ビールのつまみに最高」とおっしゃられていた方も(※もちろんこの場では飲酒などしておりません)いました。調理に手間がかからずに家庭でも気軽にすぐ作れることができることが評価が高かった要因のようです。
※机に並べるとなんとも豪華な食卓
さて、このあとの取り組みの予定としては、この日の調理実習に参加した女性のみなさんが今度は先生役となり、地元の住民の人たちを対象に調理実習兼試食会を7月に実施し、8月7日に開催される「段畑夕涼み会」では愛媛女子短期大学の学生さんたちと共同で販売することも検討するそうで、ゆくゆくは「遊子の名物」として販売することにより多くの人たちに食べてもらうようにしていくとのことです。この中から「じゃこかつバーガー」のような「ご当地グルメ」がうまれるかもしれませんね。
また、以前から「学社融合」の推進について教育現場では声高に言われていますが、最近は「産官学連携」といった「大学と地域の連携」についてもクローズアップされてきています。
「産官学連携」といえば、大学や研究機関がもつノウハウや技術を行政や企業とが共同で活用しながら新しい産業を創出しようといった工業関係の「大規模なプロジェクト型の事業」をなんとなく思い浮かべがちですが、この愛媛女子短期大学のような地元に密着した取り組みもまた、「大学と地域の連携」におけるひとつのモデルケースと言えるのではないでしょうか。
なお、愛媛女子短期大学のブログにもこの調理実習の様子が紹介されています。
この取り組みについてのお問合せは、愛媛女子短期大学(0895-22-0156)まで。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
舞たうん最新号のテーマは、「今、注目される食と健康」です。
現在、盛んに”食育”が取りあげられ、話題になっていますが、実際に行われている内容をみると、
①体験学習
②学校給食
③栄養授業
に大別でき、これらに地産地消的な内容がからんでいるものがほとんどです。「食育」というと子ども達に対して食の教育をすると思われがちですが、食育とは「食を育む」こと であり、「体にふさわしい食事とライフスタイル」を正しく選択し実践することです。それは、生涯を通して行い続けるもので、そのためには私たちが毎日食べている「食べ物」こそ大切です。今回の舞たうんは、「食育」をベースに、地域ブランドへの取り組み、柑橘王国えひめならではの新しい健康法の紹介など、食と健康の最新情報を特集しています。
本日、発送しますのでご覧ください。ホームページでも公開予定です。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 清水和繁)
6月28日(木)、(財)えひめ地域政策研究センターの会議室で、えひめ地域づくり研究会議(以下研究会議)の平成19年度第2回運営委員会が行われました。2ヶ月に1回、定期的に開催している運営委員会では、研究会議の事業内容や県内各地のまちづくり情報などが活発に意見交換されています。
今回の運営委員会から「卓話」を取り入れました。現在23名いる運営委員(内、代表運営委員3名、 事務局長1名)が輪番で30分程度の講話を行うものです。初回の担当は、武田信之運営委員(新居浜市)が行いました。
卓話は武田運営委員からスタート
武田さんは、昭和60年に新居浜アメニティ倶楽部設立に携わって以来、22年間地域活動を続けてきたそうです。その過程で、多くの人との出会いがあり、たくさんの思いや刺激を受けたそうです。当初、アメニティ倶楽部の立ち上げには研究会議の近藤代表や守谷さんたちにご指導いただいようで、ボランティア活動とは何か、市民の手で何かできないか模索されたそうです。そのなかで、アメニティ倶楽部の3つの基本的な柱、「自然」「文化」「生活」について、身近なことから取り組みを始めたようです。武田さんは「文化」部門で活動され、子どもたちに歴史を伝えていこうと、切り紙やお手玉の伝承に取り組んだそうです。
昔の遊びのなかでも、特に「お手玉」遊びは評判が良くて、お年寄りと子どもの交流が盛んにできたそうです。おばあちゃんから孫への「隔世伝承」につながると、お手玉の普及活動を展開されました。平成4年には「日本お手玉の会」を発足させ、第1回全国お手玉遊び大会を開催されました。見る、作る、遊ぶの要素がお手玉にはあるそうで、誰でも簡単に始められ、世代を超えた交流、また、海外へも出かけ国際交流も図っているそうです。驚いたのは、お手玉の会発足時から「世界を見据えた活動」を視野に入れていたそうで、グローバルな発想とローカルさが絶妙のバランスで保たれ、会を運営されていると感心しました。今では世界に3支部、国内に51団体を組織する新居浜発の地域づくり団体になっています。
英語版の写真絵本「お手玉」
武田さんとお話させていただくと、話の中に多くの方々が登場されます。それも各分野に亘り、多彩な顔ぶれの方々ばかりです。そして、そのお話の隅々に感謝の気持ちを感じることができます。今回のお話から地域づくりは、多くの人に支えられていること、「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」、実践すること、そして継続することの大切さを学んだように思います。
今回の運営委員会では、20周年記念誌の販売促進や地域ミニフォーラム等について協議しました。運営委員からの情報提供もあり、宮本常一生誕百年記念の集い(8/1)、六ヶ所村ラプソディ上映会in内子(7/28・29)、全国近代化遺産活用連絡協議会総会フォーラム(7/5)、2007JIA・AIJ建築市民講座(7/14)、きなはいや伊方まつり(7/28)など開催が予定されているそうです。
次回の運営委員会は、8月30日に開催され、卓話リレーは菊池運営委員(八幡浜市)にバトンが引き継がれます。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)
6月27日(水)、松山市三番町にあるコムズ(松山市男女共同参画推進センター)において、平成19年度の「地域づくり人(びと)養成講座」が開講されました。
この講座は、地域づくりに関心のある方を受講生として募り、地域の実態に即した実践的な研修を通じて、地域づくりのリーダーとしてのスキル向上を図り、各地域において活動の中心となる人材を育成し、また県内各地の地域づくり実践者との交流をはかり、将来にわたる幅広い地域づくりネットワークの構築を図ることを目的に、財団法人えひめ地域政策研究センターが主催して開講しています。
今年の受講生は18名で、県内各地からまちづくりに関心のある方が集まり、専任講師の指導のもとで合計6回程度の講座を予定しています。
この日は第1回目の講座ということもあり、開講式、オリエンテーションののち、アイスブレーキングによるグループ分けを行い、受講生同士の自己紹介などを行いながら交流を図りました。
※開講式の様子(栗田所長のあいさつ)
昼食休憩の後、第1回目の講座がいよいよ行われ、この日は「まちづくり総論」ということで、最初に高知県馬路村農業協同組合代表理事組合長をされている東谷望史(とうたにもちふみ)さんによる講義が行われ、、「ゆずの里」で有名な高知県馬路村における「地域づくり」についてお話をいただきました。
※東谷さんの講演の様子
この日は講師の東谷さんが受講生全員にゆず飲料「ごっくん馬路村」1本を用意していただきました。この場をおかりして御礼申し上げます。ちなみに、「ごっくん馬路村」のほか、馬路村の特産品につきましては、こちらを参照してください。
その後、平成18年度に当センターが活動資金の助成をした県内の地域づくり団体による4本の実績報告をしていただき、参加者から質問をうけつけたり、指導講師から助言などをしていただくなど、県内の身近な地域づくりに関する実践例をもとに学習を行いました。
※若松進一さんによる実践報告の講評
なお、実績報告をしていただいた団体は以下のみなさんです。
1.特定非営利活動法人Good Will(新居浜市)
<事業名>
・自然と緑と花の島創生事業
<おもな内容>
・新居浜市の沖合いにある大島の地域活性化を図るため、桜の植栽、公園等の清掃、えひめAI普及・販売に向けての取り組み、看板の設定や「白いも」の収穫祭の実施
2.い~コーディネータNET(西予市)
<事業名>
・酒蔵コミュニティ・ネットワーク事業
<おもな内容>
・地元の町内会を巻き込みながら、八幡浜市にある梅美人酒造の酒蔵を利用した「蔵シックコンサート」を企画し、酒蔵をひとつのコミュニティの場として活用する方法を提案し、地元のまちづくりへの中間支援的な役割を果たす。
3.ゆげ女性塾(上島町)
<事業名>
・島の食文化再生事業
<おもな内容>
・島にある食文化を見つめ直すことを通して地域を活性化しようと、講師を招聘して、島の植生調査(摘み菜ウォッチング)、摘み菜料理の実施、摘み菜分布図の作成、配布など
4.大杉塾(大洲市)
<事業名>
・多目的憩いの場整備事業(名称 つくし)
<おもな内容>
・地区にあるJA販売所が委託点となったことを契機に、空き室の有効活用と、バス待合所兼コミュニティの場として、地域活性化をねらい多目的憩いの場の改修整備を行った。
※各団体の取り組みについて興味のある方、もっと詳しく知りたいという方は、それぞれの団体の担当者の連絡先をお教えいたしますので、(財)えひめ地域政策研究センター(担当:谷本)までお問い合わせください。
講座終了後、受講生や参加者は発表者や講師、センター職員たちとのオフライン交流会(いわゆる『飲み会』というやつです)を行い、各自が情報を交換しながら、受講生同士の交流を深めていたようです。
なお、来月は松山市三津地区へ行き、フィールドワークをしたのち、地元の人たちから地域づくりの実践活動の報告を受けて、専門講師による指導の下でまちづくりの基本における学習を進めていきます。
※今年度の標記講座の受講生募集は既に締め切っておりますので、来年度の募集をお待ちください。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)