研究員ブログ

お遍路さん、渋谷を歩く

6月2日(土)「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が渋谷でお遍路パフォーマンスを実施しました。

これは、翌日(6月3日)に控えているみかん一座ミュージカル「夢へんろ」と「四国へんろ道文化@東京フォーラム」の周知、「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の活動を広く知ってもらうために開催したものです。

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※武田代表が準備したポスター

この日は、愛媛から世界遺産化の会の小山田・武田代表をはじめとする会員の参加と、今秋から「百年お遍路」に取り組む千葉のNPO法人ニュースタートのメンバーやお遍路を経験した東京、大阪の方々など一般参加も得て、総勢30名での活動になりました。

渋谷駅前のモアイ像周辺でチラシ配りや署名活動を行いました。駅前ということもあり足早に目の前を通過していく人達が多く、苦戦もしましたが、中にはお遍路に興味を持つ方や世界遺産化に向けての取り組みなどに関心を示す方もいて、予定していたチラシやパンフレットを配り終えました。署名に協力してくれた皆さんありがとうございました。

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※小山田代表自ら活動の説明

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続いて、場所を代々木公園に移すため、モアイ像前からハチ公前を経由し、渋谷で有名なスクランブル交差点をお遍路スタイルにのぼりを持ち、一行で歩きました。スクランブル交差点は、予想どおりの混雑振りで、人の間をかき分け入るように歩きました。周囲の人たちは何ごとかのように振り返っていましたが・・・。

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代々木公園ではちょうどこの日、エコライフフェア2007が実施されており、自治体関係者や各企業がそれぞれのエコライフ活動の展示やパフォーマンスを行っていました。

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その間を通り、NHKホールの前で改めてチラシ配りや署名活動を行いました。エコライフに関心のある方が多く集まっていたので、へんろ道文化や世界遺産化への取り組みなどに関心を寄せてくれる人も多く、翌日のフォーラムや今後の活動に対し、応援する激励の言葉もいただきました。多くの方の協力により、遺産化の会入会案内パンフ400部、フォーラムチラシ350枚、すべて配り終えました。

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※活動を終え、全員で記念写真

今日の活動は、翌日の四国へんろ道文化フォーラム@東京フォーラムが盛会に行われる助長となりました。

※四国へんろ道文化@東京フォーラムの模様は、後日掲載させていただきます。

「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の取組や入会は、コチラから!

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

街道灯篭祭り 蛍の畦道をゆく

6月3日(日)には、前日の四万十市に引き続いて松野町目黒地区において「街道灯籠祭り 蛍の畦道をゆく」ということで、田んぼの畦道を灯籠でライトアップされるイベントが行われました。

この日はちょうど、四国風景街道交流会と畦道コンサートも同時開催され、会場の松野南小学校体育館では、四国風景づくりの会の代表をつとめる羽藤英二東京大学准教授さんの司会のもとで、四国西南地域各地の「美しい風景づくり各地の事例紹介」が行われた後、会場となった松野南小学校児童の皆さんによる風景づくり活動の発表報告が行われました。

各地の事例報告では、それぞれの地域づくり団体が実施しているイベント報告、四国風景づくりの会のみなさんと一緒に実施したワークショップの紹介(これを会では「風景づくり活動」と呼んでいます)がメインでしたが、それぞれが地域の特徴を活かしながら風景づくり活動、地域づくり活動を実践されていることが会場で紹介されており、各地区での取り組みの情報交換を図っていたようです。

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その後、本来であれば目黒川付近の特設会場での「畦道コンサート」が行われる予定でしたが、あいにく前日からの雨で松野南小学校でのコンサート開催となりました。

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そして、コンサートが終わる頃になると、それまで降っていた雨があがり、ライトアップができる状態になったので、子どもたちが点灯式を行った後に、いよいよ畦道にある灯籠を点灯していました。

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ちょうど、この日は雨上がりということで、蛍も飛んでおり、文字通り「蛍の畦道」となっていたようです。なお、このイベントは2回目だそうで昨年度は蛍が飛ばなかったとのこと。今年は、蛍と灯籠のおりなす優しい光りが訪れた人の心を癒していたようで、主催者である「目黒の里ホタル愛好会」のみなさんもたいへん喜ばれていたようです。

松野町のイベントについては、前日に行われた四万十のイベントとはやや異なり、四国風景づくりの会のみなさんが会場設営など、事業全般にわたりボランティアスタッフとして関わっている様子が見受けられ、地元への関わりが強いのが特徴のようで、地元の人たちと一緒に活動をしながら事業を展開しているようでした。

また、「街道灯篭祭り」というネーミングからして、この名前を付けた方は司馬遼太郎さんの影響を受けているのではないかと勝手に想像してしましたが、そのあたりについてはまったく確認が取れておりませんので、次回行われるイベント取材時の課題としたいと思います。

さて、この次なる「街道灯籠祭りイベント」ですが、各地の予定は以下のとおりになっています。

6月9日 海街道をゆく 愛南町僧都川(ぞうづがわ)河口

7月7日 酒蔵の道をゆく 愛南町小西酒造周辺

8月5日 水面の道をゆく 四万十市佐田沈下橋 

8月7日 天涯の道をゆく 宇和島市遊子水荷浦段畑

8月16日 行灯回廊をゆく 宇和島市岩松地区

8月25日 山街道をゆく 愛南町山出地区

イベント詳細については、四国風景づくりの会まで。HPはコチラです。

このイベントについてのお問い合わせは、松野町役場 蛍の畦道プロジェクト事務局(0895-42-1111)まで。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

街道灯篭祭り 紫陽花の道をゆく

6月2日(土)に愛媛県のお隣である高知県四万十市安並地区で開催されたロウソクでライトアップする「あじさいプロムナード」(主催:四万十かいどう推進協議会)を取材しました。このイベントは「四万十・南伊予風景街道 街道灯籠祭り」と銘打って、「灯籠」というひとつの共通項により、四国西南地域の地域づくりイベントを連携して発信しようという狙いで行われているもののひとつのイベントとして位置づけられています。

そして、この日ライトアップの会場となった安並地区は「水車」と「紫陽花」で有名なところで、水車は「四ヶ村溝(しかむらみぞ)の水車」と呼ばれ歴史は古く江戸時代からの由来があり、現在は観光用に保存されているそうです(下の写真を参照)。

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この風景を3000本のロウソクを使ってライトアップして、夜の水車と紫陽花の風景をあじわおうという試みです。
ライトアップ当日、この日はかなりの悪天候。しかし、午後3時過ぎから地元の自治会のみなさんや小学生のみなさんが集まって、3000個のロウソクを設置するための準備をしていました。

主催者の「四万十かいどう推進協議会(事務局:中村商工会議所)」の方にお伺いすると、この安並地区でライトアップを行うのははじめてだそうで、このライトアップ設置作業は地元住民の有志のみなさんと一緒にやるということでして、ゆくゆくは地元の皆さんが主催ということでやるという方向性をもちながら事業をすすめているそうです。

で、気になる作業の様子をご紹介し、その後のライトアップされた風景をご覧ください。

ロウソク 砂 完成

ロウソクは100円ショップで購入したもの、ロウソクを入れる器はお酒を入れていた空き瓶を酒屋さんから無償で提供してもらったものということで、このイベントの最大の特徴はほとんど経費がかかっていないことです。それに3分の1くらいまで砂を入れて(真ん中の写真)、ロウソクを入れれば灯籠の完成(右の写真)です。この砂も無償提供だそうです。

それを道路沿いに並べてあとは日が落ちて点火すれば「プロムナード」の完成です。

点火

といいたいところだったのですが、ここからがこのイベントが大変でした。点火したらすぐに雨が降ってきて、ロウソクの火が消えてしまい、再度点火するという作業を何回か繰り返すというかなりたいへんな作業にもかかわらず、スタッフのみなさんの努力の甲斐もあり、すべてのロウソクとはいかないまでも訪れたみなさんもたいへん感動するような空間ができあがっていたようです。

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※デジカメの性能と撮影者の技術不足により雰囲気が十分に伝えきれないことをお詫び申し上げます。

さて、この取り組みの特徴は大きく二つだと思います。

ひとつは、前にも書きましたが「ライトアップ経費がほとんどかからない」ということがあげられます。ロウソクのほかにも懐中電灯も設置していましたがそれも100円ショップで購入ということで3000個のライトアップにかかる経費はほぼロウソク代のみということで、どこの地域でもできるイベントであることが大きな特徴でしょう。

そして、もうひとつは地域の人たちの参加できる仕組みがあるイベントであるということでしょうか。ロウソク設置の準備を子どもから高齢者まで地域の人たちが参加してロウソクを並べるという仕組みは、地域づくりにおける『公共性や協働性』といった点においてもかなり有効な取組であるといえます。

このイベントについてのお問い合わせは「四万十かいどう推進協議会」まで。関連HPはコチラです。

なお、この「街道灯籠祭り」に関するホームページはコチラです。うちの地域でも灯籠イベントをと考えておられる方は「四国風景づくりの会」にお問い合わせをしてみてはどうでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

視点

最近、職場までの3キロほどの通勤を、健康とダイエットのため自転車から徒歩に変えた。
自転車で「走る」から自分の足で「歩く」へ。
社会人になってから「歩く」という行為は忘却の彼方だったのだが、流行のメタボリック症候群が忍び寄る今、出来ることからはじめようと一念発起。

いざ歩いてみると、これまでと違う景色があることに驚く。
道端の草や木なども、晴れた日と雨の日で全く違う表情を見せる。
自転車では気にも留めないような、見慣れた場所に新たな発見があったりと新鮮だ。
私といえば、無駄な脂肪が燃焼する感覚(?)がとても心地よく、天候にかかわらず毎日笑顔で通勤のひとときを楽しんでいる。

「地域づくりはよそ者、若者、ばか者」というフレーズ。
(一昨日の谷本研究員ブログと重複して恐縮だが)
この三者に共通しているのは「違う視点」ということ。
地域づくりという分野では古くから言われてきた言葉なのだが、恥ずかしながら初めて聞いたのはつい最近、4月中旬に松山大学で行われたベンチャー講座だった。
石見銀山を後背地に持つ、島根県温泉津(ゆのつ)温泉の老舗旅館を継いだ、山根多恵さんの講義。
温泉旅館でありながら源泉の栓を止め、みかん風呂でコストダウンしたり、週末の3日のみ旅館を営業し、残りの4日は地域課題の道筋を探る「地域貢献日」に設定したりと、柔軟な発想で独自路線を走る若女将はJターン。
高齢化率42%の温泉津の町を元気にする、「違う視点」の持ち主であった。

”歩く”ことで、自転車とはまた「違う視点」から感じるように、地域づくりにおいても、この感覚を念頭におくことの重要性を、山根多恵女将の話を思い出して感じた。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 坂本耕紀)

0.1トンの体!?

職場柄、さまざまなところで名刺交換やら自己紹介をする機会が多い。そのときに相手に覚えてもらうためにはいささかのテクニックが必要となってくる。そのテクニックが上手なのが松本研究員である。

松本研究員は伊予市からの派遣職員で、自己紹介をこのようにつづっている。

はじめまして。4月1日付けでえひめ地域政策研究センターに来ました松本 宏です。伊予市(旧双海町)出身です。えひめ地域づくり研究会議の事務局を担当させていただきます。県内まちづくり活動の猛者の皆さんに‘厳しく’そしてたまに‘優しく’接していただければ幸いです。

と、ここまでは普通なのだが、最後の文章が非常に印象深い。

0.1トンの体を俊敏に動かして頑張りますので、よろしくお願いします。

確実に最後の文章で「どんな人なのだろう?」と思う人が多いはずだ。実際にセンターにやってきた人はたいていすぐに松本さんの名前は覚えていただいている。100キロは0.1トンであるから、まったく間違っていないわけで、これを100キロと出しても良かったのに、あえて0.1トンとしたところが非常にユニークであり、たいへんインパクトのある表現になっている。こういう言葉のマジックって意外と大事だなと思った。

そして、この松本研究員の自己紹介を受けて、「さおだけ屋はなぜつぶれないのか?」というベストセラーとなった本の「航空料金の割引サービス」についての事例紹介のことを思い出した。

[問] 

同じ目的地に行く航空会社が2社(A社・B社)がある。どちらもキャンペーン期間中ということで以下のサービスを行っている。どちらの航空会社を乗客は多く利用しただろうか? 

A社「乗客100人のうち、10人の方を運賃1万円を無料とさせていただきます!」

B社「乗客100人全員を運賃1万円のところを10%割引運賃とさせていただきます!」

この2つのうち、人々が実際に選んだ会社はA社が多かったという結果があがったそうである。10分の1の確率で0円になるかもしれない人々の期待により、A社を選んだわけである。でも、ようく考えてみると、9割のほうが大多数であり、10分の9の確率で10,000円を支払うのであり、1割しかサービスの恩恵が無い。それよりも、100%の確率で全員が9000円の運賃で乗れることのほうが実は全員がお得になっているわけであるし、サービスの恩恵を受けていることが確実に実感できる。

ここで、もうちょっと考えていきたいのは、各社の収益である。

A社・・・10,000円×(100ー10)人 =900,000円

B社・・・(10,000-1,000)円×100人=900,000円

A社もB社も実は同じ収益なのだ。それなのに、A社のほうが乗客が殺到したという。このあたりに「数字のマジック」があり、心理的なインパクトが与える影響の差がでるのだ。このカラクリに気づける人が数字に強い人というのであろう。

さて、話がすこしずれたが、このように同じ内容のことを言っているんだけれども、言い換えることによって「印象度」がかわってくることにより人に与える影響というものが大きくかわってくるということである。そういった意味において「プレゼンテーション」というものの奥深さということを教えていただいたように思う。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)