研究員ブログ

ミニタウンウォッチング受講。

現在、11月28日(水)より平成20年度に開催されます「第26回地域づくり団体全国研修交流会愛媛大会」の分科会を運営する予定の地域づくり団体を随時訪問しています。

これは、おもに来年1月に開催されます「年次フォーラム2008」の趣旨説明および参加協力について、「えひめ地域づくり研究会議」の事務局がお願いをさせていただくことを主たる目的にしているわけですが、それにあわせて現時点における愛媛大会開催に向けての疑問点や不安な点があれば聞かせていただくことも含めて訪問しています。

初日の11月28日(水)には、「広見川夢の会」(鬼北町)、「保内大学」(八幡浜市)、「八幡浜港みなとまちづくり協議会」(八幡浜市)の3団体を訪問させていただきました。

そのうち、いちばん最初にうかがったのが「広見川夢の会」だったのですが、当初の予定よりもやや早く到着したこともあり、面談会場となった鬼北町三島地区にある三島公民館付近の「善光寺」というお寺をフィールドに、「えひめ地域づくり研究会議」の岡崎直司さんによる「タウンウォッチング」のミニ講義を松本、谷本両研究員が受講いたしました。

この善光寺は曹洞宗のお寺で、その境内にある薬師堂が国の重要文化財に指定されています。 

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※山門の様子

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※これが重要文化財の薬師堂です

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※これがお薬師様(薬師如来像)

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※境内にはとても大きな銀杏の木がありました。これぞ「秋深し」っていう感じでしょうか。

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※「不許葷酒入山門」の石碑

曹洞宗などの禅宗のお寺では、上の写真のように寺の入口に「戒壇石(かいだんせき)」と呼ばれる石標が建てられていることが多く、その石碑の碑文も写真のように「不許葷酒入山門」と刻まれていることが多いようです。ちなみにこの石碑は、「葷酒(くんしゅ)山門(さんもん)に入(い)るを許(ゆる)さず」と読みます。

また、この石碑の意味ですが、「臭いが強い野菜(ねぎやにんにく、にらなど)は他人を苦しめるとともに自分の修行を妨げ、酒は心を乱すので、これらを口にしたものは寺の内に立ち入ることはゆるされません」といった意味になります。

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※六地蔵もありました。 

この六地蔵は日本でよく見られる形態で、なぜ6体なのかといいますと、「全ての生命は6種の世界に生まれ変わりを繰り返す」とする仏教の六道輪廻の思想にもとづき、それぞれの6つの世界をそれぞれの地蔵様が救うという考えによるからと言われています。

ちなみに六道とは、地獄道、餓鬼道、畜生道、修羅道、人道、天道の6つですが、それぞれの六道がどのようなところなのかについてはここでは割愛いたしますが、六地蔵はそういった災いのあるところから救うという意味から、いわゆる「厄除け」といった意味があるということになります。

とまあ、こんな感じで岡崎さんのミニウォッチングを受講いたしました。地域づくりはまず自分たちの地元にあるものを再発見すること、見つめ直すことからはじまります。このようなウォッチングに興味のある方、ぜひ岡崎さんのブログをご覧ください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

きらり☆久万高原、堂々のグランドオープン!

移住案内人レポートでも紹介いたしましたが、11月23日(金)松山ロープウェー街にオープンした久万高原町のアンテナショップ「きらり☆久万高原」を訪ねましたので、その様子を御紹介いたします。以下は「移住案内人レポート」と同じ内容です。

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挨拶する玉水寿清 久万高原町長

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関係者によるテープカット

木にこだわりの久万高原町らしく、久万材をふんだんに使った店内は、杉木の香りがただようなかでゆっくりお買物ができます。

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オープン直後から新鮮な野菜が飛ぶように売れていました。
これからも野菜が収穫できる季節には、ショップ-町中心部およそ40分という地理的条件を生かして、採れたての新鮮野菜を直送する予定だそうです。

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また町内の特産品・加工品も充実しており、季節の花やインターネットショップ「楽天市場」で度々上位にランキングされるスイーツ(特に若い女性に大人気だとか!)など盛りだくさんの品揃えです。
スイーツといえば、松山ロープウェー街には久万高原町のほか、「霧の森大福」で有名な四国中央市にある「霧の森」のアンテナショップもあり、こちらも洋菓子を中心に、市の特産品であるお茶を使った加工品などを販売しています。
今回、久万高原町からインターネットで注目を集めている洋菓子が登場したことで、松山城のおひざもとであるロープウェー街がさらに熱く盛り上がってくれることを期待しています。

順調な滑り出しでまずはひと安心といったところですが、都市住民や愛媛を訪れていただく方々に対して久万高原町の魅力を継続するためにも、このアンテナショップを特色のある情報発信基地にして活用していくことが大切だと感じました。

※「きらり☆久万高原」には町職員が常駐しております。久万高原町に興味のある方はお気軽に声をかけて下さいということでした。

【連絡先】
きらり☆久万高原
〒790-0004
 松山市大街道3丁目8番3号 (松山城ロープウェイ東雲口駅舎前) 
 TEL 089-989-4006
 FAX 089-989-3809

【関係ホームページ】
 久万高原町公式ホームページ
 久万高原町観光協会

(文責 まちづくり活動部門 研究員 坂本耕紀)

トレッキング・ザ・空海あいなん

11月24日(土)、25日(日)の両日、愛南町で開催されました「トレッキング・ザ・空海あいなん」に松本、谷本の研究員で参加してきました。

この主催者となっている同実行委員会は、第26回地域づくり団体全国研修交流会愛媛大会の分科会運営団体にもなっています。

参加したのは24日の午後の8キロコース(所要時間およそ2時間)でしたが、晩秋の旧へんろ道を歩きながら、途中途中で「お接待」のおもてなしを受けつつ、日ごろの運動不足を解消できるよい機会となりました。

受付時に、「四国へんろ道文化世界遺産化の会」の世話人をされておられる大森さんから、「今日は三本の矢じゃなくて、二本の矢なんですね」と温かい(?)励ましを頂戴いたしましたのち、2本の矢はとりあえず旧へんろ道を歩むこととなりました。

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※受付時の様子

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※おお!受付番号「88」番!何たる偶然!

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※幟もたっていました。

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※さっそく「トレッキング開始!です」

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※案内板も景観に配慮してあります。

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※途中から旧へんろ道を歩きました。

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※途中、さまざまなお接待をうけつつ 

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※焼き芋とメザシはおいしかったです

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※牛にも遭遇しました。

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※またもや途中で「お接待」。ここでは「おはぎ」を頂戴しました。疲れたときには甘いものに限りますね!

で、歩くこと2時間。旧の一本松町から、旧の御荘町までの8キロの道のりを歩きました!それで、歩いた感想ですが、非常に歩きやすい気候だったのと、6月に参加した宇和島市の歯長峠のようなきつい山道ではなかったので、たいへん楽しくトレッキングすることができました。

また、道中の要所となるポイントにはスタッフの方が配置されておられたので、道中、道案内に困ることもなかったように思いますし、途中途中で「お接待」による休憩もできましたので、非常に参加者としては自分のペースで歩くことができたのではないかと思います。

さて、その後に行われた芹洋子さんのコンサートや25日の夏井いつきさんの句会ライブなどイベントには参加することができませんでしたが、新聞報道などを見る限りたいへん盛況だったように思われます。関係者のみなさん、おつかれさまでした。

なお、来年度に開催されます愛媛大会では、愛南町の分科会はこの「トレッキング・ザ・空海あいなん」のイベントをからませての分科会開催となる予定です。本格的なお遍路体験をしたい方、愛南町の分科会の参加してみてはどうでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

地域づくり全国交流会議四万十大会(4)

この連載企画もこれで最後。最後にお届けするのは、地域づくり表彰で四万十大会実行委員会会長賞を受賞したNPO法人「かさおか島づくり海社」さんの活動紹介です。

NPO法人「かさおか島づくり海社」

岡山県笠岡市にあるNPO法人「かさおか島づくり海社」は、平成18年9月に法人格を取得した島おこしを行っている団体です。岡山県笠岡市には、高島、白石島、北木島、大飛島、小飛島、真鍋島、六島の7つの有人島があり、昭和30年代には全島あわせて10,000人あまりの人口がありましたが、現在はわずか2900人と3分の1に激減し、高齢化率も55%と、いわゆる少子高齢化の先進地というべきところのようです。

その島嶼部の過疎高齢化は、島嶼部を抱える自治体のいずれもがかかえる大きな行政課題でもありますが、この笠岡市の島嶼部のみなさんは、島の活性化を図るために平成10年から6島合同の「島の大運動会」を開催して6つの島全体で連携を図っていこうとしました。

また、地元から地域活性化のために市職員を派遣してほしいという要望を受けて、行政も平成13年4月から島専属の市の応援隊「島おこし海援隊」を組織して、市長が3名の職員に対して「島民になれ」という命令のもと、島に住居を置き住民とともに汗を流しながら島づくりを勧めていく体制づくりを行うことになったそうです。この「島民になれ」という市長さんのエピソードがとてもユニークだと感じました。

そして、平成14年には島おこしの島民組織「電脳笠岡ふるさと島づくり海社」を設立し、平成18年9月に法人格を取得し「NPO法人かさおか島づくり海社」と改称し、現在は行政と地域との協働事業の推進を行っています。

このNPO法人は北木島に本社をおき、6つの島それぞれに支社を設置して、それぞれが地域活性化の取り組みを行う形態をとって事業の推進をしているそうで、それぞれで行っているおもな事業を紹介します。

1.空家対策事業

平成14年にスタートしたこの事業は、団塊の世代の田舎暮らし志向もあり、平成19年10月現在で21世帯46人のIターン者を島に受け入れした実績があるそうです。団塊の世代に限らず、仕事を作っての若年世帯の移住も多く、小中学校の子どもの確保にも大きく貢献し、かつて児童数の減少で休校になった小学校が再開された島もあるそうです。

2.しまべん事業

島の特徴としての「海の食材」をアピールして観光の資源とするとともに地域の食のサービス向上を目的に、島の人が、島の食材で、島でつくるお弁当の開発を行いました。しかも、6島それぞれが開発をしているそうで、特に真鍋島では空き家対策事業でIターンされた方がすし職人さんだったこともあり、その方が職として「しまべん」づくりを行い、島での食のサービス維持のために「観光客への食の提供」「福祉的に島の高齢者への給食サービス」もあわせて行っているそうです。
この「しまべん」は、島の特産品として陸地部のアンテナショップや各種イベントで定期的に販売しているそうで、全日空の「翼の王国」などの雑誌にもとりあげられるなど、「しまべん」の認知度もあがっており、平成19年9月5日に笠岡市の駅前商店街に笠岡諸島の特産品を販売するアンテナショップが誕生するなど、島から陸地部へと活動の場に広がりを見せています。

3.廃校利用

北木島では廃校となった小学校を利用して、中学校の夏季研修を平成17年から受け入れを開始し、平成19年には3団体の研修受け入れを行ったそうです。
また、白石島では平成13年から廃校になった小学校の講堂を利用して、機織り工房として再生をおこない、体験メニューとして白石島の観光プランに組み込まれるようになっています。

このほかにも多くの事業を行っているそうですが、ここでは文章も長くなってきているので割愛させていただきます。詳しくはHPをご覧ください。HPはコチラです。

さて、この取り組みを聞かせていただいて、地元の地域活性化にはコーディネーター役が必要であるとよく言われています。笠岡市の場合は、そのコーディネーター役に行政職員を派遣し、行政職員が地域活性化のために住民と汗を流すというスタイルは、たいへんユニークであると感じましたし、これからの「協働」の地域づくりに求められるスタイルのひとつなのかもしれないなあと思いました。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

地域づくり全国交流会議四万十大会(3)

これまで、「地域づくり全国交流会議四万十大会」の記事を2回掲載いたしましたが、今回と次回は四万十大会の中で地域づくり表彰を受賞した地域づくり団体のうち、筆者が印象に残った2つの団体の活動について順にご紹介します。

「ハッピーロード大山商店街振興組合」

東京都板橋区にある大山商店街振興組合は、全長約560メートルに約200店舗が連なる、都内でも有数の活気のあるアーケード街です。この商店街組合では、「商店街と農産漁村との相互交流による地域活性化」をテーマに地域づくり活動を行われています。

おもな活動の内容としては、平成17年10月にオープンした全国の市町村が集まった複合アンテナショップ「全国ふる里ふれあいショップとれたて村」です。このアンテナショップは、もともとは商店街の活性化を図ろうと事業の一つとして、岩手県や知床などの物産展を産地自治体の協力を得て開催したところ大盛況であったことをきっかけだったそうです。

現在、とれたて村の趣旨に賛同して参加している自治体は、稚内市、小樽市(以上、北海道)、青森市(青森県)、最上町、尾花沢市(以上、山形県)、川口町、妙高市(以上、新潟県)、鴨川市(千葉県)、八丈町(東京都)、萩市(山口県)、長崎市(長崎県)の11市町村。いずれも板橋区と交流があるそうです。

この取り組みは、特色ある取り組みで活性化を図りたい商店街と、首都圏でPRし、観光客の増大や販路拡大につなげたい地方、そして地方との結びつきを強め、都市と地方との交流促進を図りたい板橋区、3者にメリットのある仕組みになっており、それぞれの活性化を図ることを事業コンセプトに、単独ではできないことを相互協力により実現させ継続させ、それぞれの地域活性化に貢献することを目的にしています。

簡単にいえば、大都市の商店街であるアンテナショップをフィールドとして、都市が地方との橋渡しをおこなって、都市住民がおらが村の応援団となって、交流を図りましょうということです。

ここの取り組みの素晴らしいところは、物産展だけの取り組みで終わっていないことでしょうか。現在では、商店街の企画により板橋区民が産地を訪問する「交流体験ツアー」を実施し、現地ではそばうち体験、郷土料理づくりや伝統工芸体験など、単なる観光ではない滞在・交流型のツーリズム志向のツアーとなっています。また、地域の祭りに都市住民がチームとして参加したこともあったそうです。

そして、商店街も大山だけでなく板橋区にある他の商店街においてもふるさと村に参加している自治体のイベントを同時開催するなど、板橋区全域に広がりも見せているそうです。

このように、近年、「交流人口の拡大」といわれ、都市との交流を地方で言われていますが、具体的で実効性のある誘客宣伝の方法を得にくい状況があります。 そんな中で、この板橋区と大山商店街の取り組みは、従来の地方自治体が運営しているアンテナショップではおこなわれていない新しい着眼点で、たいへんユニークな取り組みです。

興味のある方は、ハッピーロード大山商店街振興組合のHPをご覧ください。愛媛県内の市町の方も、ふるさと村への参加を考えてみてもおもしろいのではないでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)