研究員ブログ

調査研究情報誌 ECPR22号 「地域力を考える」

当センターが発行している「調査研究情報誌ECPR」の22号をHP上で閲覧できるようにしています(PDFファイルが必要です)。ぜひご覧ください。

今回の特集テーマは「地域力を考える」です。そもそも「地域力」は一体何なのか。そのあたりを再考していただけたらと思います。

以下、今回ECPRの冒頭にあります「特集にあたって」の本文を引用します。

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最近、「地域力」という言葉を耳にすることが多くなった。

道州制など地方分権の流れのなかで地域の自立が強く求められる一方、地域間の「格差」をいかに縮小していくかがわが国の政治・経済両面で大きな課題となり、そのキーとなる「地域力」が各地域で再び問い直されている。

では「地域力」とは何か。各地域が持っている有形・無形の地域資源や、歴史・文化に育まれてきた独自の地域システムやコミュニティ、地場の強みを活かした産業や教育研究、さらには都市・交通インフラなどの社会資本も含まれる総合的な戦力と言える。

戦力であれば、次に考えるべきは、それをいかに高めるか。野球やサッカーのチームを例に引くまでもなく、戦力強化の手段は選手の発掘、育成、交流に尽きる。

埋もれた地域資源を見出し、これを地道に育て、また域外とネットワークを組んだり、域外から新たな力を移入することによって、全国的に通用するチームへのレベルアップが可能となる。

「攻め」にも「守り」にも強い地域づくりについて、この機会に読者に考えていただければ幸いである。 

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

トークサロン「限界集落と地域の再生」

財団法人えひめ地域政策研究センターでは、地域の課題に関して全県的なテーマを選定し、地域づくり関係者を中心に講師等を交えて少人数で話し合う研究サロンを毎年1回程度開催しています。

今年度の「地域課題研究サロン」は、最近新聞紙上でも頻繁に登場している、いわゆる「限界集落」をテーマに、愛媛県内外からゲストを招いて、地域の再生のためにどのような対策を講じるべきか、『限界集落』の現状認識とその課題解決の糸口を探りたいと思います。

このサロンへの参加をご希望の方は、以下の開催要綱・チラシ(PDF)をご覧いただき、別紙参加申込書に必要事項をご記入のうえ、当センターまでお申込みください。

日時 平成20年3月25日(火) 13時30分~17時00分

場所 リジェール松山 7階 ゴールドホール

主催 財団法人えひめ地域政策研究センター

共催 地方シンクタンク協議会

開催要項などはコチラからダウンロードしてください。
トークサロン開催要項
トークサロンチラシ
参加申込書(WORDファイル)

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

地域ミニフォーラムの開催

2月に地域ミニフォーラムを上島町で開催いたしましたが、3月にも伊予市で地域ミニフォーラムとして「持続可能な観光と地域づくりを考える」と題して、下記のとおり開催します。

このフォーラムは、地域の歴史・文化遺産を見直すツーリズムや環境・景観保全、農漁村との交流を求めるグリーン・ツーリズムに対する関心が高くなる中、固有の地域資源に光をあて、これからの魅力ある地域づくりと持続可能な観光政策のあり方を模索するものです。

このミニフォーラムへの参加を希望される方は、以下のチラシ(PDFファイル)にあります「参加申込書」にご記入の上、当センターまでお申込ください。

日時 平成 20 年 3 月 15 日 午後 1 時 30 分より午後 5 時まで

場所 伊予商工会議所 3F(伊予市下吾川 1037 ‐ 2)

電話 089-982-0334

主催 えひめ地域づくり研究会議 伊予市観光協会

共催 財団法人えひめ地域政策研究センター

後援 伊予市・伊予商工会議所・伊予市文化協会

詳しくはこちらのチラシを参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

壁がない教室

先日、取材で山梨県早川町というところに行ってきました。その際に、早川北小学校という小学校を訪問したのですが、とてもユニークなところでしたのでご紹介いたします。

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この日はあいにくの雪。上流文化圏研究所から早川北小学校までの道中は雪一色でかなりたいへんでした。ま、私が運転したわけではないんですけど。

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校庭に雪の中で寒そうに立っているひとつの銅像を発見しました。近づいてよく見てみると↓

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学校の銅像の定番でもある「二宮金次郎(尊徳)像」でした。
ちなみにおまけ情報ですが、尊徳は「そんとく」ではなく「たかのり」と呼ぶのが正しく、「金次郎」は通称で正確に言えば「金治郎」と書きます。

二宮尊徳は、江戸時代後期の現在の神奈川県小田原市の人で、農村復興のために「報徳思想」と呼ばれる思想をもとにした実践をした(これを報徳思想といいます)ことで知られる偉人です。

これはおまけ情報ですが、子どものころに薪を背負いながら寸暇を惜しんで読書をしたというエピソードは、薪を拾ってそれをお金に換えて、そのお金を勉強に費やしたのは事実ですが、その薪を背負っての姿で勉強したという事実はないというのが通説です。

ちなみに二宮尊徳は一時期「お札」になっていたことを知っていましたか?

とまあ、ウンチクはこれくらいにしておきまして、この二宮金次郎像の持っている本は何という本でしょうか? おっと、またウンチクになってしまった。これについては若松進一さんのブログでも紹介されているので知っている人も多いでしょうね。「大学」と呼ばれる中国の古書をもっているんです。

なお、二宮金次郎の像が持っている書「大学」には、たいてい次の文が書かれています(書かれていない像もありますので要注意!)。

一家仁 一國興仁(一家仁なれば一国仁に興り)
一家讓 一國興讓(一家譲なれば一国譲に興り)
一人貪戻 一國作亂(一人貪戻なれば一国乱を作す)
其機如此(その機かくのごとし。)

※意味については調べてみましょう。

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二宮金次郎像を離れて、階段に来てみると、先生方が階段を利用して雪の滑り台をつくっていました。この早川町がある地域は山間部なので積雪が多いためにできることなんですよと教えていただきました。愛媛県でも久万高原町とかの小学校でもやってるんでしょうか?

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今度は屋内の紹介です。職員室はなんとガラス張りで廊下からすべてが見えます。こんな小学校ははじめてです。児童と保護者、教師、地域の人たちのお互いの顔が見えるということを重視しているそうです。

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お次は教室。教室と教室の間仕切りがないところは知っていましたが、それは廊下と教室の間の壁がないところであり、この早川小学校のようにワンフロアを棚やホワイトボードで仕切っているという何とも珍しいタイプの教室になっています。

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この早川北小学校は「地域の中の小学校」、子どもは全体で育てるという理念のもとで教育実践をされており、校舎もその理念の下でつくられているとのことでした。特に早川北小学校のHPには先生方のブログもあり、けっこう町民の方には人気だとか。

また、この早川町は複式学級を設置せず、町独自で教職員を採用して、かならず各学年に担任をしいています。ですから児童が1人に対して先生1人という学年もあります。

聞いたところによると、これは「施設の改修などにお金をつかうのであれば子どもたちのためになることにお金をつかう」という町長さんの方針だそうで(実際に役場の庁舎もたいへん老朽化していた印象がありました)、教育や人材育成を重視する町の姿勢をうかがうことができたように思います。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

上島での地元学の様子

前回は勝手に脱線してウォッチングしてしまった記事でしたので、今日はしっかりと(?)上島町での地元学の様子をご紹介いたします。

まずは、吉本さんから水俣の歴史についてお話をしていただきました。この日集まったのは小学生から高校生までの16人の子どもたち。みんな元気な子どもたちばかりでした。

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水俣と言えば水俣病から避けて通れません。その水俣病の歴史から、水俣のひとたちはどのように立ちあがってきたのか、そして世界に冠たる環境都市として名高い水俣のまちづくりについてのお話を聞かせてもらいました。

その後、以前の研究員ブログでお伝えいたしましたとおり、「人に聞き取り班」「島あるき班」「郷土料理調査班」といった、いくつかの班にわかれて取材にいくことになりました。

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こちらは「摘み菜料理」をつくってくれるおばちゃんたち(赤い頭巾をかぶっているのは村上律子さんですねー)に子どもたちが取材をしています。ちなみに、この取材の様子をみていたら、島あるき班とはぐれてしまってウォッチングすることになったのです。

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これが私をおいていった「島あるき班」の子どもたちです(笑)。いや、単に私がグズグズしていただけなんですけど(笑)。

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こちらはインタビュー班。近くを歩いている人に突撃インタビューしています。

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こちらはEM菌をつかって農作物をつくっている方にインタビューしています。このインタビューですが、子どもたちは最初にどんな質問をするかはある程度決まっていて、この日は①名前、②生年月日、③好きな季節、④上島の好きなところ、などなど項目が7項目ほどありました。

ただ、これはあくまで取材対象者の方が子どもたちに話しやすいようにするための導入といいますか、アイスブレーキングにすぎず、そのあとは子どもたちが思ったこと、感じたこと、これなんだ?と思うようなことをどんどん質問していき、その答えをワークシートに記入していきます。

子どもたちも最初はおどおどしながら質問していましたが、途中でじつは遠い親戚の人だったとか、自分と同じ誕生日だったとかで取材対象者と何かしらの共通点を見つけて話が盛り上がっている場合や、だんだん質問するのに慣れてきて、ある意味「図々しく」なっている子どももいました(笑)

結局、これで何がしたいのかというと、子どもたちが地域を知ることができるのと同時に、取材対象者であるひとたちも地域を見つめなおすきっかけになるのだと思いますし、そして、うちの近所にはこういう子どもがいたのかということも取材対象者もしることができるのが特徴なのではないかなと思います。そうやって人と人とのつながりを生む作業なのでしょう、きっと。

で、それをもちかえってまとめる作業を行います。

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さてさて、子どもたちは地元学を体験してみてどんな成果が得られたのか。それは2月16日(土)に行われた地域ミニフォーラムで発表されることになりましたので、その成果については地域ミニフォーラムの研究員ブログ記事でご紹介いたしましょう。

余談ですが、時間の都合により午後4時すぎの船で弓削を離れたのですが、島の子どもたちは桟橋まで見送りにきてくれました・・・。ええ子たちや(涙)。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)