研究員ブログ

コミュニケーション能力向上の方法とは?

7月11日(水)、東温市見奈良にある「利楽」において、愛媛県公民館連合会主催の公民館職員研修会が開催され、その研修のうち、「コミュニケーションの取り方」という講義に、松本と谷本の両研究員が参加いたしました。

この講義は、公民館職員の地域住民とのコミュニケーション能力の向上を図ることを通して、公民館活動をより効果的にすすめていくことを目的に実施され、NHK松山放送局の白鳥哲也アナウンサーが講師として招かれました。

講義では、研修で電話の応対であったり、接遇のマニュアルなどをいくら実践したとしても、まずは「利用者側の立場になって考えるということを徹底してできるか」ということが重要であると述べられ、「相手の立場になって考える」ということはサービス業の基本であり、それをいかにできるのか、それが大事だと述べられていました。

また、公民館が地域づくりの拠点という役割を担っていることから、そこに勤務している職員は「地域住民のために自分は何ができるのか、どうしたら利用者が満足してもらえるかを考えて、精一杯働くことが最低条件」であり、そうしないと住民は決して公民館を頼りにしたりはしないし、精一杯働いている職員がいるところは、自然と住民とのコミュニケーションはとれているといってよいのではないかとも述べられていました。

白鳥さんのお話の中でもっとも印象的だったのは、ご自分の「イケメン連」の活動を通してのお話で、地域づくり活動を行う上において興味深いものが多く、たいへん参考になることが多かったのですが、ここでは都合によりお話しされたすべてについてご紹介できませんので、 少しだけイケメン連の活動エピソードをご紹介いたします。

当センターが発行している雑誌「舞たうん」でも「酒文化と地域のかかわり」ということで特集をしたことがありますが、愛媛県の全国新酒鑑評会の金賞の受賞率は全国でも山形県に次いで2位(H15年)であるにもかかわらず、県民の日本酒に対する関心が高いとはいえず、居酒屋などにいっても他県のお酒ばかりが並んでいるところが多いのが現状のようです。

また、愛媛のお酒をつくっている蔵元は規模が小さいところが多く、地元の人が地元のお酒を消費せずに、大きな蔵元の他県のお酒を消費することは地元の蔵元にとってはかなり死活問題であり、以下のようなことが予想されます。

蔵元がなくなる→米を使わない→田んぼが荒れる→美しい棚田の景観も消える(農村文化の荒廃)→地域の衰退

この流れの通りに必ずしもそうなるとはいえませんが、その可能性がないと否定はできません。
そのことに危機感をもった「イケメン連」のみなさんは、「愛媛の地酒は旨い」ということを多くの人たちに知ってもらいたいということから、内子町の亀岡酒造さんの協力のもと、オリジナルのオンザロック専用の日本酒「好漢(イケメン)」をプロデュースしたそうです。

このほかにも、松山市の銀天街にある円光寺の伝統料理「風呂吹き大根」をもとに、商店街と生活改善グループとの協力により、「風呂吹き大根のお接待会」を実施し、伝統料理を通して自分たちの住む町の食文化に触れる機会を提供し、今では松山の冬の風物詩にもなっているそうです。

ちなみに、おまけ情報ですが、正岡子規は、

「風呂吹きを 喰ひに浮世へ 百年目」

という句を残しています(風呂吹きは冬の季語)。

このような地域素材を活かした「イケメン連」の取り組みを通して、『公民館は地域に根差した施設であり、自分たちの公民館のある地域にも、このような素材は絶対に眠っているわけで、それを磨き上げて、上手に住民に伝えていくかということこそが、公民館職員に求められていることではないだろうか』と述べられていたことがたいへん印象的で、地域づくり活動の原点を教えていただいたように思います。

このほかにも、マスコミ関係者から見る地域情報の発信の重要性についてお話され(お話しの内容については若松進一さんのブログの2007年7月11日の日記の内容と非常に似通っていましたのでそちらを参照してください)、たいへんユーモアあふれるお話であったこともあり、研修に参加した公民館職員もたいへん参考になることが多かったのではないかと思われます。

なお、イケメン連の活動についてのお問合せはこちらまで。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)