研究員ブログ

地域づくり全国交流会議四万十大会(3)

これまで、「地域づくり全国交流会議四万十大会」の記事を2回掲載いたしましたが、今回と次回は四万十大会の中で地域づくり表彰を受賞した地域づくり団体のうち、筆者が印象に残った2つの団体の活動について順にご紹介します。

「ハッピーロード大山商店街振興組合」

東京都板橋区にある大山商店街振興組合は、全長約560メートルに約200店舗が連なる、都内でも有数の活気のあるアーケード街です。この商店街組合では、「商店街と農産漁村との相互交流による地域活性化」をテーマに地域づくり活動を行われています。

おもな活動の内容としては、平成17年10月にオープンした全国の市町村が集まった複合アンテナショップ「全国ふる里ふれあいショップとれたて村」です。このアンテナショップは、もともとは商店街の活性化を図ろうと事業の一つとして、岩手県や知床などの物産展を産地自治体の協力を得て開催したところ大盛況であったことをきっかけだったそうです。

現在、とれたて村の趣旨に賛同して参加している自治体は、稚内市、小樽市(以上、北海道)、青森市(青森県)、最上町、尾花沢市(以上、山形県)、川口町、妙高市(以上、新潟県)、鴨川市(千葉県)、八丈町(東京都)、萩市(山口県)、長崎市(長崎県)の11市町村。いずれも板橋区と交流があるそうです。

この取り組みは、特色ある取り組みで活性化を図りたい商店街と、首都圏でPRし、観光客の増大や販路拡大につなげたい地方、そして地方との結びつきを強め、都市と地方との交流促進を図りたい板橋区、3者にメリットのある仕組みになっており、それぞれの活性化を図ることを事業コンセプトに、単独ではできないことを相互協力により実現させ継続させ、それぞれの地域活性化に貢献することを目的にしています。

簡単にいえば、大都市の商店街であるアンテナショップをフィールドとして、都市が地方との橋渡しをおこなって、都市住民がおらが村の応援団となって、交流を図りましょうということです。

ここの取り組みの素晴らしいところは、物産展だけの取り組みで終わっていないことでしょうか。現在では、商店街の企画により板橋区民が産地を訪問する「交流体験ツアー」を実施し、現地ではそばうち体験、郷土料理づくりや伝統工芸体験など、単なる観光ではない滞在・交流型のツーリズム志向のツアーとなっています。また、地域の祭りに都市住民がチームとして参加したこともあったそうです。

そして、商店街も大山だけでなく板橋区にある他の商店街においてもふるさと村に参加している自治体のイベントを同時開催するなど、板橋区全域に広がりも見せているそうです。

このように、近年、「交流人口の拡大」といわれ、都市との交流を地方で言われていますが、具体的で実効性のある誘客宣伝の方法を得にくい状況があります。 そんな中で、この板橋区と大山商店街の取り組みは、従来の地方自治体が運営しているアンテナショップではおこなわれていない新しい着眼点で、たいへんユニークな取り組みです。

興味のある方は、ハッピーロード大山商店街振興組合のHPをご覧ください。愛媛県内の市町の方も、ふるさと村への参加を考えてみてもおもしろいのではないでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)