しまね農村未来会議

12月2日(日)に島根県飯南町というところで開催されました「しまね農村未来会議」に出席してきました。

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※会場となった島根県中山間地域研究センター 

この会議は、研究員ブログで以前ご紹介した「いなかインターンシップ」というプロジェクトを実施している南の風社という高知県の出版社の方にご紹介を受けたこともあったのですが、会議の全体テーマが「農村再生はなぜ必要か」ということであったので、愛媛県にもあてはまる共通課題ではないかと感じまして、午後の部だけですが参加いたしました。

島根県は現在、世界遺産となった石見銀山のおかげでメジャー観光地の道を歩み始めているようですが、隠岐島にある「海士町(詳しくは舞たうんを参照してください)」に代表されるようにそのいっぽうで移住の先進地でもあります。

そんな移住先進地である島根県の山間部と、中国山地を構成している広島県の山間部の自治体は、さまざまな共通する地域課題をかかえております。その地域課題解決のために、県境を越えて地域課題解決と連携を深めようと、「NPO法人ひろしまね」という団体を立ち上げて、地域づくり活動を実施しております。

さて、会議は午前中はNPO法人ETICさんが提唱されている「チャレンジコミュニティプロジェクト」と呼ばれる、若者が長期実践型のインターンシップをツールとした地域でチャレンジすることを通して、地域の活性化や若者の自己実現を図ろうという全国の事例報告や情報交換が行われ、午後からは「農村再生はなぜ必要か」というテーマで、4名のパネリストが登壇して会場の参加者とともに協議をすすめました。

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※パネルディスカッションの様子

登壇したパネリストは、農水省中四国農政局農村計画部農村振興課都市農村交流係長の竹内司氏、島根県中山間地域研究センター研究員の有田昭一郎氏、NPO法人ひろしまね理事の藤槻篤徳氏、NPO法人ETIC事務局長の由利吉隆氏の4名の方々。

みなさん、いずれも示唆に富んだ発言をしていただきましたが、私個人としては特に「ひろしまね」の方が発する言葉のひとつひとつが、実践にもとづく発言であったこともあり大変参考になりました。

「限界集落」と呼ばれる地域に住んでいる人たちにとって、「限界集落」という言葉はたいへん失礼な言葉であるため、わたしたちも「いわゆる限界集落」とか「限界集落」という標記をするよう心掛けていますが、「なぜ限界なのか」ということをよく考えて欲しいということでした。「限界集落」と決めているのは住んでいる人たちではなく、周囲からの視点ではないか?ということでした。

この「限界集落」の「限界」という言葉は、住んでいる人たちが「住んでいくのが限界」や「生きていくのが限界」と考えているのではなく、あくまで「集落を維持するためのシステムが限界に来ている」という意味であり、言葉だけが一人歩きすると、「限界集落」とよばれるような地域に住んでいる人たちが、かわいそうな存在というイメージに陥ってしまう可能性があるという指摘は、なるほどとうなずかされる言葉でした。

そして、「限界集落」として呼ばれている地域に住んでいる人たちが、その生まれ育った場所でいきがいをもって生き、そして生まれたところで死にたいとおもって住んでいるという実態を目の当たりにして、そんな人たちを行政を含めて周りがどうやってサポートしていくか、場合によっては住民がいなくなって集落がなくなってしまっても、田畑などの農村風景は残していく、この考えは「ムラおさめ」とか「集落を看取る」と呼ばれるようですが、そのサポートするシステム作りが急務の課題であると述べられておられました。

では、どういうシステムをつくっていくのかということですが、それはこれから数年をめどに作り上げていくことであるということでしたので、愛媛県においてもこの「ひろしまね」さんがやろうとされていることから学ぶことが大いにありそうです。

このほか、全体テーマが「農村再生はなぜ必要か」という大きなテーマでしたが、農村と都市という対立軸、食料自給率の関係、国土保全に関する景観論、世代間の文化伝承、ふるさととは何か、田舎における地域素材の豊富さ、誰のために農村再生は必要か、といった様々なテーマなどが出され、非常に興味深い議論が繰り広げられていました。

また、高知県の南の風社さんでは、「いなか未来会議ネットワーク」という組織を立ち上げて、いなかで活動する人や団体をネットワーク化し、全国の仲間と知り合えるプラットホームをつくり、相互に情報交換できるツールやルート作り、年1回のフォーラムの開催などを予定しているそうですので、興味のある方はお問い合わせください。

なお、NPO法人「ひろしまね」の取り組みについてはこちらを参照してください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)