地元学とは、「自分たちが住んでいる地域を見つめ直して,地域の「あるもの(個性・魅力)」に気づき,自分たちの力で素晴らしい地域を創っていこうとする取り組み」(新潟市HPより引用)です。地元学の『地元』には,特に定義はなく,それぞれが感じる範囲を地元と考えています。
そんな地元学は熊本県水俣市で方法論がほぼ確立されました。水俣市といえば水俣病が連想されると思いますが、その公害病から学び、世界に名だたる環境都市としても知られています。
そんな地元学の方法論を確立し、広め、そして推進してきたのが、元水俣市役所職員(現:地元学ネットワーク主宰)の吉本哲郎さんです。以前、吉本さんについては上島町に吉本さんがやってこられたときに、この研究員ブログでもご紹介していますので参考までにご覧ください。
そんな吉本さんの地元学の取り組みが1冊の本となりましたので、今日の研究員ブログでは書籍のご紹介をいたしましょう。

岩波ジュニア新書「地元学をはじめよう」
2008年11月20日発行
ISBN978-4-00-500609-0
地域づくりをしていくためには、まずはその地域にあるものを住民自身が見つめなおす作業が求められるということ、まずは地域を地域住民が知ること、そこからはじめるということでしょう。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
去る12月13日に愛媛大学で開催されました「観光まちづくりコース開設記念シンポジウム」に参加してきました。
これは愛媛大学法文学部に来年度から設置される「観光まちづくりコース」を記念して開催され、県内の観光関係者やAO入試に合格した高校生などがあつまり、これからの観光とまちづくりの在り方について考え合いました。
冒頭、愛媛大学の小松学長や愛媛県の加戸知事(副知事代読)、松山市の中村市長よりご挨拶があったのち、広島大学大学院総合科学研究科准教授のフンク・カロリンさんが「観光には、なぜ、まちづくりが必要なのか?」という演題で講演をしていただきました。
フンクさんは、もともと松山市とも縁があり、松山市の姉妹都市であるフライブルク市の出身で、留学生として松山にも住んだ経験があり、日本と海外との比較において、おもに瀬戸内海をフィールドに「観光とまちづくり」の関係についてお話をしていただきました。
ドイツの場合、地域計画や都市計画の線引きはかなり厳しく、その結果、集落と建物を一切たてない地域がうまれ、町と町との境がはっきりしているそうですが、日本の場合は、道路沿いに集落や店舗が立つということで、町と町との間にも道路沿いに建築物がたっているということが多く、境があいまいになっているところが多いのが現状です。
また、山村や農村であってもドイツの場合は規制が敷かれていて、景観にあった建物しか建てることが出来ないようになっているため、ドイツは緑が多く、景色がきれいといわれる所以であり、ドイツの場合はメリハリのあるはっきりした都市・農村風景を構成していることが特徴だそうです。
いっぽう日本の場合は、これまで法規制がありませんでしたが、平成16年に景観法が制定され、法律よりも地方自治体が条例によって法規制が強めることができるようになったため、これからどう「景観まちづくり」を行っていくか、地方自治体が求められるようになりました。
たとえば内子町のように町並みから村並み、山並みへという動きや、飛騨高山のように町並み保存からバリアフリーの福祉都市のまちづくりへという動きもあるなど、これからは地方の独自性=カラーが問われるようになってきていると述べられていました。
最後にまとめとして、観光まちづくりの目的は「場所に力を創り、維持し、演じること」であり、その場所がもつ「力」こそが人を引き付けることになり、そこが観光資源となります。また、その場所がひきつける力の要因はさまざまであり、裏返すと、いかに人を引き付ける力をもつ場所を創り、維持し、演じることができるか、ということが観光まちづくりの意義と言えると述べられていました。
講演会終了後、観光関係者によるシンポジウムも行われ、愛媛大学の藤目教授のコーディネートのもと、江藤訓重さん(星野村副村長)、奥村武久さん(前愛媛県観光協会長)、河内紘一さん(内子町長)、陶山哲夫さん(小豆島ふるさと村公社専務理事)、松田清宏さん(JR四国代表取締役社長)、宇都宮千穂さん(愛媛大学講師)がパネリストとして登壇し、「わが四国は美しくーまちづくりから観光へー」と題したシンポジウムが開催され、討議が行われました。

シンポジウムではそれぞれが活発な意見を述べられていましたが、江藤さんの財団法人阿蘇地域振興デザインセンターの事例を紹介しながら、「これからは地域づくりをやっているコーディネーター役がいる地域が強く、都会からそういった能力のある若い人たちを招き、その人たちが食べていける環境を用意さえすることができれば、これからの地域づくりに地域は発展する可能性が大いにある」という言葉と、松田さんの「住みたい地域(誇れる地域)」と「訪れたい地域」との調和をいかに図るか、そこには住民合意が必要であり、そこをうまくコーディネートできる存在がいるかどうか、そこに地域力を高める要素があるのではないかという言葉が印象的でした。
最後に、AO入試で合格し、来年度入学予定の高校生2名の方からの決意発表がありましたが、お二人ともとてもすばらしい発表だったように思います。4月からの大学生生活を楽しみながら地域発展のための研究努力に励んでください。これからの活躍を大いに期待しております。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
上島町弓削島で地域づくり活動をがんばっておられる兼頭一司さんが、このほど地産地消にこだわったカフェをオープンさせました。
「島でcafe」と名付けられたこの店舗は、上島町役場のすぐ目と鼻の先にあった民家を改築・改装してできたお店で、地元で取れた野菜のサラダや地魚を使ったパスタ、はちみつカレーが主なメニューとなっており、メニューの中には地元のおばちゃんの名前が入っているものなどもありました。
兼頭さんのお店は、株式会社の形態をとり、住民有志による出資で資本金を集めて開設されており、いわゆる「コミュニティビジネス」の典型的な例と言えますが、もともと兼頭さんはJターン者で地元出身ではなく地縁も血縁もないにもかかわらず、地域に溶け込んで、出資者を集め、そして「島おとこ」として、地域づくり活動に奮闘されておられる兼頭さんの熱意には頭がさがるばかりです。
ただ、お店を開設して間もない時期ですから、今後は運営や経営面で困難な面がでてくるのではないかと思いますが(いらぬ心配だといわれるかもしれませんが)、ぜひともがんばっていただきたいと心からエールを送りたいと思います。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
去る2月15日に、「えひめ地域づくり研究会議」と当センターなどが共催して行いました「希望の島フォーラム」は、えひめ地域づくり研究会議の会員でもあり、当センターとも縁がある兼頭一司さんが中心となって上島町で行いました。
兼頭さんはJターンにより、上島町にご家族とともに移住して地域づくり活動を行うことを決意し、現在、弓削島に「島でカフェ」を立ち上げて、日夜奮闘中であります。
その「島でカフェ」の様子は後日この研究員ブログでご紹介することとして、ここでは別の話題をひとつ。
兼頭さんは財団法人松下政経塾の卒塾生で、松下政経塾の塾生は卒塾するためにはこのようなフォーラムを開催することが条件になっているそうでして、兼頭さんもこの「希望の島フォーラム」は卒塾フォーラムという位置づけでもありました。
そんな「希望の島フォーラム」の参加者の中に、松下政経塾の塾生で兼頭さんの後輩にあたる島根県出身の塔村さんという方がおられました。
塔村さんも同じくふるさと島根の地域活性化のためにがんばりたいとの熱い想いをもっておられ、このほど塔村さんご自身の「奥出雲フォーラム」と題した「卒塾フォーラム」を開催するということでご案内を頂戴し、あわせてフォーラムの周知をしていただけないかとの依頼も受けましたので、ここでご紹介いたします。
記
「奥出雲フォーラム」
~奥出雲の未来を一緒に考えてみませんか?
日時 平成20年12月20日(土)14時~17時30分
場所 カルチャープラザ奥出雲 大集会室
参加費 フォーラム300円(高校生以下無料) 交流会3,000円
主催 財団法人松下政経塾
<おもな内容>
14:15 塾生発表「奥出雲の未来のために」
(松下政経塾第27期生 塔村俊介)
14:45 パネルディスカッションⅠ
「私たちは地域の元気な未来をこげんやってます!」
パネリスト
・福間敏(内閣府地域産業おこしに燃える人)
・河内山哲郎(山口県柳井市長・道州制ビジョン懇談会委員)
・福原慎太郎(島根県益田市長)
16:10 パネルディスカッションⅡ
「奥出雲をどげなきゃせないけん!
未来を本気で考えるトークバトル」
パネリスト
・安部 悟(有限会社タイノス代表取締役)
・石田信雄(石田食品代表)
・内田咲子(有限会社松葉屋常務取締役)
・三澤 誠(有限会社エヌ・イー・ワークス取締役社長)
お問い合わせ先 財団法人松下政経塾まで
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)
12月9日付の新聞各紙の地方欄に、松山市柳井町商店街の若者たちが開設した産直市「地産地笑市」が1周年を迎え、記念イベントを12月10日まで開催している記事が掲載されていました。
この若者たちのグループ「STEADY CREW」については、すでに「舞たうん98号」でご紹介しておりますので、詳しい活動については割愛することとし、さっそくイベントの様子を拝見しようとのぞいてきました。
訪れたこの日はあいにくの雨模様ということもあり、ひとの流れもまばらでしたが、買い物客に対して元気に応対しているスタッフのみなさんがとても印象的でした。
この産直市は大洲市肱川町の産直市ということもあり、特産品でもある肱川ラーメンや炭焼きシイタケの販売のほか、大洲地方の特産品のさといもをつかった「里芋コロッケ」なども店頭に並んでおり、さっそく「里芋コロッケ」を購入いたしました。
気になるお味については、普通のじゃがいものコロッケとは違い、里芋のねばりや味が感じられ、たいへん美味なコロッケでした。ぜひご賞味あれ。
さて、この「地産地笑市」のような産直市は、久万高原町のアンテナショップや愛南町の道の駅のアンテナショップなど、探すとけっこうあるようです。内子のフレッシュパークからりの産直市もあるようです。それだけ県内最大の消費地である松山にマーケットとしての魅力があるということなのでしょう。
また、そのいっぽうで、愛媛県の食料自給率は平成18年度の統計ですが、カロリーベースでいうと全国平均を下回る37%であるということをご存知でしょうか? 私も最近まで知らなかったのですが、この事実をしってたいへん驚きました。
この食料自給率をあげるためには、もちろん消費者が県産品を購入しなければなりません。そうなると県内最大の消費地である松山に、このような産直市が数多くうまれるのもある意味において当然なのかもしれませんね。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)