研究員ブログ

<故山崎豊子さん遺作「約束の海」の舞台 伊方町三机(みつくえ)>

皆さま、お久しぶりでございます。研究員の水野です。

故山崎豊子さんの遺作「約束の海」(未完)の舞台となった伊方町三机に行ってきました。空は青く海は透き通り静かで綺麗な湾です。ここが、日米開戦にあたり真珠湾の仮想地として海軍特殊潜航艇の訓練場となっていたことを知る人は、少なくなってきたのではないかと推察します。

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ここには、「約束の海」に登場する花巻和成少尉のモデルとなった酒巻和男少尉を含む真珠湾特別攻撃隊10人の碑が2021年12月8日建立されてます。酒巻少尉を除く9人は戦死したことで九軍神と称えられる一方、自艇の故障・座礁により米国の捕虜第一号となった酒巻少尉は捕虜として銃無き戦いを続け、帰国後も企業戦士として懸命に生きたそうです。

九軍神と称えられる方々の死亡時の年齢は最年長で28才、最年少で21才と非常に若く、国家が戦争をすることの恐ろしさがひしひしと伝わるとともに、こうした方々の犠牲のうえに今の平和があることを改めて深く感じるところです。

また、一人生き残った酒巻少尉の苦しみと悲しみは我々の想像を絶するところで、捕虜時に読んだ歌として「約束の海」に掲載されている歌は「櫻花 散るべき時に 散らしめよ 枝葉に濡るる 今日の悲しみ」です。

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年が明けて間もないのに、話題が重すぎて困惑してかもしれませんので、この辺で終わらせていただきます。今年もよろしくお願いします。