研究員ブログ

「ご当地検定」花盛り

最近の新聞記事などを見ると、おもに団塊の世代以上の方をターゲットにした大学のシニアカレッジがブームのようで、地域の歴史や文化、風土、観光情報などを問題にした「ご当地検定」も同様のようだ。

この「ご当地検定」は、現在では70以上の地域で開催されており、本県関連では、宇和島市(四国で最初)、松山市、四国で実施されていて、今年度からは「タオルソムリエ(今治市)」なるユニークな検定も誕生するらしい。

このブームの火付け役を担ったのは、京都で行われている京都観光文化検定(略:京都検定)である。この京都検定は、さすが日本の歴史のメジャーともいうべき京都の歴史や文化を問う検定試験とあって、1万人ほどの受験者が毎年いるという。このほか金沢や長崎などの検定試験も数千人の規模となっている一方で、宇和島市などの小さな自治体で行われる、いわゆる「マイナー」な地域の検定は100人以下の受験者である。

これは、ご当地の人気(認知度)の差というものが一因であると考えられるが、ご当地検定を開催する側の開催目的のスタンスが大きく2つに分けられるからでもあるようだ。

京都検定のようなメジャーな検定の場合は、観光産業の人たちのおもてなしの質の向上や、検定を取り巻く旅行プランが検定そのものが観光事業となっているのに対し、マイナーな検定は、住んでいる人たちが自分たちの住む地域の良さをもう一度見直そうという「地域づくり活動の一環」という位置づけの要素で実施しているようである。

また、全国のご当地検定の検定合格者に対する扱いについて簡単に調査したところ、認定証のみの自己満足で終わっているところや、観光関係の割引クーポンが特典としてつくところが多いようである。

ただ、山口県萩市で実施している「萩ものしり博士検定」では、合格者に対して「修士」と「博士」の資格を与え、「博士」に対しては特別講演会などの合格者対象の事業を行い、博物館の解説員にも任命されるそうで、検定合格者を地域づくり活動に巻き込んでいこうという動きもあるようで、今後はこのような動きが活発化することが予想される。

検定試験というツールを上手に使い、地域づくり活動に活かす。それが「ご当地検定」を実施するうえでの今後の課題の一つのようである。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)