研究員ブログ

研究員の休日

10月7日(日)に、宇和島市遊子地区で「段畑フォーラム」が開催されましたので参加してきました。

このフォーラムは、遊子水荷浦(みずがうら)地区が国の重要文化的景観に全国で3例目に選定された(官報告示順で言えば4例目)ことを記念して、同実施委員会が主催(共催:宇和島市、市教委、後援:宇和島ケーブルテレビ、愛媛新聞)して開催されました。

内容としては、第1部に遊子水荷浦地区の生活や文化を知ることのできるツアーやイベントが行われ、第2部では文化庁の本中主任調査官や有識者を招いた公開シンポジウム、第3部には水荷浦地区もロケ地のひとつとなった映画「大番(昭和32年)」の上映会が行われました。

第1部では、会場となった水荷浦集会所付近で、昔の水荷浦地区の暮らしの様子をうつした写真展、ゆぐり(ホゴ、ホゴロともいう)と呼ばれる「ワラかご」の実演販売、市場にでることのない水荷浦地区でとれた「さつまいも」をつかった料理によるおもてなし(有料)、その他海産物や加工品販売、海と丘の半漁半農ツアー(予約制、有料)が催されました。

この日、遊子地区を訪れたのはおよそ300人にも満たないほどでしたが、中には宇和島東高校の第13期同窓会なる観光バスでやってきた団体客や愛媛県立歴史文化博物館の講座の一環としてやってきた団体客もおられ、ふるさとの仲間と親交を深めるツアーとしてこの段畑フォーラムを利用した方もおられたようです。

歴史文化博物館のツアーの様子はこちらでたぶん紹介されると思うので要チェック!

写真展 写真展2

※写真展の様子

昔の生活風景を紹介した動画上映 

※昭和30年代の水が浦地区の生活を紹介する動画上映

ゆぐりの実演 

※ゆぐりの実演中(見ているのはバスガイドさん)

漁協女性部の販売も盛況

※特産品販売コーナーも盛況

サツマイモの調理の様子 いもてんぷら

※幻の水が浦のさつまいものてんぷら(旨し!)

だんだん屋も盛況

※段畑を守ろう会のだんだん屋さんも盛況

だんだん屋さんでは、以前の研究員ブログでも取り上げて紹介した「鯛バーガー」のほかに、いろんなものが遊子の名物として販売されていましたので御紹介します。

遊鯛バーガー

※鯛バーガーは「遊鯛(ゆうだい)バーガー」 という名前で販売されていました。遊鯛とは、遊子地区の鯛の養殖をしている有志で取り組んでいる「ブランド養殖鯛」の名前です。通常の養殖の鯛よりも高値で取引されています。身は透き通ったような白さで味は抜群です。ネーミングの由来は「遊子」と「鯛」を両方PRできるし、ブランド鯛である遊鯛もついでにPRできるのでちょうどいいからとお聞きしました。

じゃがじゃが饅頭

古くからあったじゃが芋のおまんじゅうは、たまたまテレビ番組で遊子地区を訪れたタレントの間寛平さんが「皮にもじゃがいも、あんにもじゃがいもだから『じゃがじゃが饅頭』や」と命名してくれたそうです。ちなみにそのときの様子は10月12日(金)午後8時からNHKで中四国地方限定ですが放送されるそうです。

よもぎもち じゃがボール

※新製品として、じゃがいもあん入りのよもぎもち(左)とジャガぼーる(右)もありました。

鯛釜飯 

※鯛めし(炊き込んだやつ)とは別に鯛釜めしもありました。

第2部の公開シンポジウムでは、最初に遊子小学校児童の総合学習の成果を発表があったのち、 文化庁の本中主任調査官をコーディネーターに、パネリストとして当センターもたいへんお世話になっている岡田文淑氏(地域振興アドバイザー)、神吉紀世子氏(京都大学大学院准教授)、松田行雄氏(地元耕作者代表)、宗美博英氏(市教委文化課長)の4名が登壇して、水荷浦地区の段畑保存のあり方などについて議論を行いました。

シンポジウムの中で、観光振興といえば聞こえがよいが、じゃあいったいそれを誰がやるのかということになると誰もしない。結局は行政任せになっている。それでずっと失敗してきた。内子の経験から言わせてもらえれば結局は人任せではだめだということだ。自分たちが汗をかかなければならない。自分たちが自分たちの地域をよくしていこうと取り組まなければ真の観光振興はできないという岡田さんの御意見は、私も含めて参加者も納得されていたようでした。

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※シンポジウムの様子(会場は遊子小学校体育館) 

第3部では、宇和島の年配の方にとってはなつかしい映画「大番」の上映がありました。これは昭和32年に上映されたもので、「てんやわんや」などの著作で有名な獅子文六の同名小説を映画化したものです。一部、宇和島の段々畑の風景をうつした場面に水荷浦地区がうつしだされています。映画をみていた方からは、「なつかしい」「あのころはああやった」と昔話に花が咲いていたようです。

上映会

※映画上映会の様子 

本来ならば、第2部のシンポジウムも第3部の映画上映会も段々畑の前の野外会場で行う予定でしたが、雨の予報もあり当日は屋内で実施することになりました(実際には少しだけ雨が降りましたが概ね晴れていました)。 筆者の雨男伝説(私が単独で訪問したイベントはほぼすべて雨)はまだ続いているようです。関係者のみなさん、ごめんなさい。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)