研究員ブログ

図書館が就農のお手伝い

以前、この研究員ブログで県立図書館がビジネス支援サービスをやっていることを記事で紹介しましたが、栃木県小山市にある小山市立中央図書館では、全国唯一の就農支援事業として「農業支援サービス」もビジネス支援コーナーとともに展開しています。

この事業は文部科学省が平成19年度に創設した「地域の図書館サービス充実支援事業」(担当課:生涯学習政策局社会教育課)に公募して採択されたもので、全国では6か所の図書館がこの事業指定されたようですが、この小山市立中央図書館のみが農業支援に特化したサービスを展開したわけです。

このサービスは、いわゆる愛媛県立図書館などが行っている「ビジネス支援サービス」の農業版で、関係機関と連携しながら「農業なんでも相談室」を設置して、団塊の世代などへの就農サポートなどをしたり、農業ビジネス講座を実施したりしています。

そして、館内には農業ビジネス、食育、新規就農などのテーマを含めた農業関連の書籍を整理した農業支援コーナーや、小山市の特産品などを紹介するコーナーも設置されており、ホームページ上には、農業に関する統計データを掲載して小中学校での食育にも役立てるようにしてもらうほか、テーマ別に集めた所蔵書籍リストの公開、地産地消のお店や料理メニューなども紹介しています。

以前の「ビジネス支援」の時も図書館も考え方次第でいろんなことができるんだなあと驚いたのですが、まさか「農業支援サービス」も図書館がするようになるとは・・・。いやはや。驚きの連続です。これでまた図書館の見方がかわりました。

※追記
愛媛県立図書館の方から情報があり、農業支援をしている図書館はいくつかある(鳥取県立図書館が県内各地の図書館で就農支援の説明会を実施している)のですが、農業支援に特化しているのは小山市が唯一ということだそうです。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

農林漁家民宿おかあさん百選

先日、郷土料理百選のベスト10に「宇和島鯛めし」と「じゃこてん」が発表されたとの記事をこの研究員ブログでお知らせしたところですが、今度は農林水産省と国土交通省が府省連携で行ってきた「農林漁家民宿おかあさん百選」のうち、第1弾となる20人の方が発表されました。

この農林漁家民宿おかあさん百選とは、「良質な農林漁家民宿を拡大していくには人材育成が必要であり、農家民宿を成功させている人に学ぶことは多い。自身の農林漁家民宿経営の安定に成功し、地域の活性化にも影響力を発揮している農林漁家民宿経営の女性を選定し、これらの人々の経営内容や活動実績などを紹介することを通して、農林漁家民宿経営者及び新規開業希望者への品質の維持・向上の参考にしていただくことともに、都市部へのイメージ戦略を検討していく上でその活用を図る」ことを目的に、7名の選定委員とオブザーバーで構成される選定委員会によって選定されています。

今回、第1弾の選定により愛媛県では内子町の「ファームイン RAUM 古久里来」を運営されている森長禮子さんが選定されました。

この森長さんが経営されている「ファームイン RAUM 古久里来」は、内子町五百木地区にある農家民宿で、RAUMとはドイツ語で「場所」とか「空間」という意味で、英語の「room」にあたります。

ここでは、食事(創作和食)は、自家で収穫された旬の農作物と近隣の生産者から購入した農作物・加工品(味噌など)を食材として提供され、農業体験として田植えと農業学習会、なし狩りとうどんづくり、しょく台やソーセージづくり体験やパン作りなどもされています。

ちなみに、「亀岡酒造」さんの杜氏さんがつくったオリジナルの地酒「古久里来」もあるそうです。

国土交通省が選定した「観光カリスマ」には、観光カリスマ塾と呼ばれる人材育成のための事業があったように、この民宿おかあさんたちによる「おかあさん塾」といったようなものもいずれは開かれるようになるかもしれませんね。

古久里来さんについては、こちらのHPを参照してください。
また、森長さんにはまちづくり情報誌「舞たうん」73号のツーリズムの特集記事として寄稿していただいております。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

キュウリ高騰を考える

キュウリが高騰した。節分に食べると縁起が良いという「恵方巻き」需要と産地の天候不順で極端な品薄になったためである。この「恵方巻き」は、東 予地方 の風習であったもの。その風習に「消費が低迷する時期の1~2月の販売イベント」企画として、コンビニが目を付け全国に広がった。コンビニなど小売各社が 年々売り込みをかけ、恵方巻きに不可欠のキュウリはこの時期の需要が強い。ただ、この「恵方巻き」も自宅で作る人は少なく、コンビニやスーパーの総菜売り 場 で買う人がほとんどだという。
言わば仕組まれたものであり、流行とはそういうものである。戦後の牛乳やパンなどによる食生活改善、近くはバレンタインのチョコレート。最近、問題になっている中国の冷凍ギョウザなどは、あまりにも食が分業化した結果である。
高度経済成長期を境に、都会と田舎、生産者と消費者が完全に分かれ、それまでに存在した中間領域がなくなった。今、マスコミが騒いでいる自給率の問題などは、当然の結末であり、度を超えた無関心さを露呈しているだけにすぎない。
人間の源である食べるということを「他人任せ」にし、なにか問題があると「責任転嫁」することを改めなければならない。安全で安心なものを食べたかったら、自らつくることであり、自分でつくったものを食べるということは、今や最高の贅沢である。
食べて生きることは自己責任が基本である。

(文責:まちづくり活動部門 研究員 清水和繁)

八幡浜風ちゃんぽんがコンビニ商品化

先日、ファミリーマートさんが県産品をつかったコンビニ商品を期間限定で全国販売されたということをこの研究員ブログでお知らせいたしましたが、今度は「八幡浜風ちゃんぽん」がコンビニチェーン店「サークルKサンクス」さんで四国地区限定販売されることになりました。

同社が地域ニーズに合った商品開発に力を入れており、まちおこしの目玉にと積極的に使っている八幡浜市のちゃんぽんに着目したそうで、今回できあがった「八幡浜風ちゃんぽん」は、ちゃんぽんバイブルをつくった八幡浜商工会議所青年部のみなさんが味を監修したそうです。

商品は電子レンジで温めるタイプとなっており、値段は380円。2月5日から3月末ごろまでの販売予定だそうで、八幡浜ちゃんぽんがいよいよ四国のコンビニデビューとなりました。

最近、地方限定のコンビニ商品というのが多いようですが、これはやはり同業他社との違いを明確にして地域密着をアピールしたい狙いがあるのでしょうか。今度はいったいどんなご当地メニューがコンビニ商品化されるんでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

地元学って知っていますか?

地域づくりの手法で、地域再発見といいますか、地域にあるものを見直す取り組みとして、「地元学」と呼ばれるものがあります。

この取り組みはもともとは熊本県水俣市で行われたもので、公害病である「水俣病」で全国的に知られている熊本県水俣市は、この公害病から出発した「地元学」の先進地であり、そして地元学による「環境都市」の先進地として、地域づくりの現場ではたいへん有名なところです。

そんな地元学の第一人者といわれているのが、吉本哲郎さんです。吉本さんは水俣市職員として環境政策に携わり、「水俣を世界に名だたる環境都市にしたい」という思いをもって地域づくりに尽力され、徹底的に地元にこだわる取り組みを通して吉本流地元学にまとめあげられました。

現在は水俣市立水俣病資料館の館長をされる傍ら、地元学協会の代表をつとめ、地元学の普及に取り組まれています。

その地元学の方法とは、 別に小難しいことをするわけではありません。地図とカメラを手に地元を歩き、ふと気づいたことやおもしろいなと思ったことをメモして写真に収めてまわることが基本となります。場合によってはカメラの被写体は場所だけでなく人の場合だってあります。そうして、よく目を凝らして地域を眺め直すわけです。

ここまで読んでピンときた方はすばらしい。そう、当センターから発行している「舞たうん」で紙面連載している岡崎直司さんの町並みウォッチングの手法とほぼ同じなんですね~。ですから特段目新しいことではないのですが、岡崎さんの場合は被写体がモノが比較的中心ですが、吉本さんの場合はその土地の風土を調べるので人も含まれるわけです。

この地元学の取り組みは、子どもから高齢者まで誰でも参加できます。そのほうが多世代の交流も図れますし、可能であればヨソモノの視点をいれて「よその町の人」も混ぜるとより効果的になります。

そして、川の水の流れであったり、畑に植えているもの、神様、子どもの遊び、商店街・・・さまざまなテーマを作って絵地図を仕上げる。そしてその成果をすべて地元に残して、地元にある「あるもの」を住民自身が確認するわけです。

そんな取り組みを全国的に展開している吉本さんは、「地元学」のことを料理に例えてこのように答えています。

「地域という扉を開けて、あれがない、これがないと文句を言うのは二流。地域の資源をうまく料理するのが一流。これを黙ってやるのは超一流。あるものを組み合わせ、イメージする力が大切」
環境gooより引用)

さて、この「地元学」って、ちょっとおもしろいかもと思われた方、実は2月9日(土)・10日(日)に吉本さんが地域ミニフォーラムの一環として、上島町にやってきて島の子どもたちと一緒に弓削島の探検をするんです。興味のある方、ぜひのぞいてみてはいかがでしょうか? もっと詳しい情報が知りたいよという方は、当センターまで(担当:谷本)お問い合わせください。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)