去る2月23日(土)・24日(日)の両日、えひめ地域づくり研究会議の会員有志のみなさんと一緒に大分県臼杵市と佐伯市まで先進地視察旅行に行ってまいりました。
今回の「研究員ブログ」は、そのうち臼杵市のまちづくりについて学習した様子をご報告いたします。
訪問したこの日、臼杵市ではちょうど社団法人日本建築士会連合会まちづくり委員会が主催の「第5回まちづくりセミナー」が開催されており、私たちもその一部だけですが参加させていただきました。
このセミナーは社団法人日本建築士連合会が、建築士のまちづくりに携わる専門性や職能の強化と今後のまちづくり活動の発展に資することをめざして開催しています。
今回の臼杵市でのセミナーでは、臼杵のまちなみをどう保存して活用していくかという事例報告や現地視察から学び、参加者同士による意見交換を通して今後のまちづくりの参考にする内容となっていました。
ちなみに、この日、海は大しけ。臼杵に向かう船はかなり揺れました。
話を戻しまして、臼杵に到着して午前中は臼杵市の図書館にあります(これもまた古民家風の建物で素敵)会場で臼杵市のまちづくりの事例報告と、質疑応答の様子を見学し、昼食をはさんで午後からは大分県職員でもある斉藤行雄さんのご案内で臼杵の古い町並みを視察し、また臼杵のまちづくりについてのお話をおうかがいしました。
午前中のセミナーの様子
臼杵の商店街。臼杵は景観にすぐわないとしてかつてあったアーケードをはずしています。
昼食の場所「ポルト蔵」と呼ばれるところ。かつて蔵だった施設を改装したお店だとか。
この日の昼食メニュー(郷土料理でした)
マンホールは臼杵市がキリシタン大名「大友宗麟」とゆかりのある土地であることから「南蛮船」をイメージしたものになってます。
ここ何とスーパーマーケットなんです。ちゃんと景観に配慮したつくりになっているんですね。
石畳の道が何とも風情がありますね。
これもまた「修景」のひとつ。水道管を見えないようにするために、管を石で囲んでしまっています。
こちらは臼杵らしく「竹」で管を囲っています。
カーブミラーも何とも素敵
さて、訪問して一番印象的だったのは臼杵の町並みを保存していく運動として、古民家を買い取るということをしているということでしょうか。保存運動をしている人が古民家を買い取ってそれをリフォームして住む。そういうことが臼杵で取り組まれています。
古民家を買い取ってリフォームされた家。ここは見晴らし良い高台にありました。
上の家にある書斎。何とも素敵。こんな書斎がほしいです。
自然石を利用した壁の家。何とも風流な・・・。
その家の書斎。うらやましすぎます・・・。
そんな古民家を再生した家を何軒か拝見しましたが、どの家も住みたいなあと思わせるようなところばかりでした。こんな書斎がほしいと思うのは私だけでは決してないはずです!
こういった古民家を買い取って町並みを保存するということは経済的な側面が大きく左右されますのでなかなかできることはないと思われます。
臼杵の場合は建築士さんたちが中心となって景観保存をされているそうですから、古民家を買い取っても自分たちで設計して作りなおせばよいわけですから、通常の古民家買い取りとは若干意味合いが違いますが、そういった取り組みができるということ自体が、たいへんすごいことだなあと感心いたしました。
また、臼杵といえば何といっても「竹宵」でしょうか。臼杵の町並みに竹の行燈を設置して、一部は市民から公募して設置したオブジェのような美術色の強い竹の行燈もあったりするなど、町並み全体が幻想的な風景を醸し出すイベントで、現在はNPO法人が中心となって運営されているそうですが、この竹宵は大分県内外から多くの観光客が訪れる人気のイベントです。
そんな竹宵の竹ですが、毎回、竹炭や粉砕して肥料にして有機野菜を栽培し、毎回設置する竹はすべてその年に伐採したものを使っていることをはじめて知りました。
これは竹林の被害で山が荒れることについても少しは防ぐこともできますし、なかなか練られたシステムではないでしょうか。臼杵のまちなみの修景も含めて「臼杵のまちづくり」に学ぶことはたいへん多かったように思います。
(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)