研究員ブログ

ふたつの違和感

2007(平成19)年5月30日付の愛媛新聞に「JAが次々と直販所~たくましい変身ぶり~」ということで、愛媛新聞月岡記者の記事が掲載されていた。以下はその記事の抜粋・要約したものである。

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 ちまたに「地産地消」があふれている。本来は文字通り、地元で採れた農産物を地元の消費者が食べるという意味だが、「地元」とはどこまでを指すのか。今治のスーパーに、西条の野菜や八幡浜のミカンを並べて「地産地消」と言われても、連和感を禁じ得ない。
 もうーつの違和感は、JAグループが最近になって「地産地消」を掲げていること。JA直営の大型直販所が次々に誕生しているが、JAグループの流通形態はほんの七、八年前まで、地産地潤とはまったく正反対だった。価格が乱高下する市場への出荷を避けて、自ら販路を開拓し産直え志す農家もいたが、JAをはじめ、市場関係者の視線は「統制を乱す」と冷ややかだった。直販所も同様。〝先駆的″だった農家は「あんなくずものまで金にしようとして、せこい」と陰口をたたかれた。それが今では、JAが直販所を開設し、出荷農家から手数料を取る時代。一部では管轄エリア外に出店する〝縄張り荒らし″まで起きている。「時代の要求」と言われても、過去に押さえつけられた農家は納得しがたい。その変身ぶりは、つくづく「たくましいなあ」と感心してしまう。(今治支社編集部長・月岡俊之)

(2007(平成19)年5月30日付愛媛新聞記事より一部抜粋・要約)

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かつて、愛媛新聞に「身土不二」と題する連載を執筆し、農業をはじめ第一次産業の現状と新たな道筋を示す人達を取材し、警鐘をならした月岡記者ならではの批評であり、感慨深いものがある。せめて、私だけは彼の言葉に耳を傾け、この批評を肝に銘じたい。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 清水和繁)

四国へんろ道文化フォーラム@東京

6月3日(日)「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が主催する「四国へんろ道文化フォーラム@東京」が東京・吉祥寺の前進座劇場で開催されました。前日のお遍路パフォーマンスの効果があったのか、120名もの参加があり、なかには愛媛出身新潟在住の方や遍路傘を持参されている方など多くの人に集まっていただきました。

今回のフォーラムは、テレビ、雑誌などで「四国へんろ」が数多く取り上げられ、巡礼者も増えてきている昨今、“なぜ、いま、「四国へんろ」なのか”“IT化、リストラ、社会不安、核家族化、高齢化、いじめなどと関係あるのか”を、何らかの形で「四国へんろ」に関わってこられた方々にお話していただき、「四国へんろ」を一緒に考える機会を提供したものです。

テーマに「心の文化遺産『四国へんろ』」~その「癒し」「お接待」「交流」「自然」を語る~を掲げ、当日前進座劇場でみかん一座が行うミュージカル「夢へんろ」と同じ会場で、公演終了後開催されました。

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※ミュージカル「夢へんろ」のワンシーン

会場の準備は、前日のお遍路パフォーマンスに参加された方や朝一番の飛行機で愛媛から駆けつけた世界遺産化の会のメンバー、そして、みかん一座のスタッフで行いました。受付では、お接待として愛媛のみかんジュースも提供されました。

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世界遺産化の会代表である四国霊場五十八番札所仙遊寺住職の小山田憲正さんがコーディネーターを務め、パネリストに元朝日新聞論説委員の辰濃和男さん、NHKドラマ・チーフプロデューサーの鈴木圭さん、映画プロデューサー・作家の増田久雄さん、みかん一座座長の戒田節子さん、三味線奏者の月岡祐紀子さんの5名の方々がご登壇されました。

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※小山田代表とパネリストの皆さん

辰濃さんからは自身が3度体験した歩き遍路のことを、鈴木さんからはお遍路ドラマ「ウォーカーズ」をプロデュースしたことを、増田さんからは仙遊寺の宿泊体験から“再起動”に注目したことを、戒田さんからはミュージカル「夢へんろ」のことを、月岡さんからは若い女性として体験した2度の歩き遍路のことを、それぞれの視点で「四国へんろ」についてあつい想いを語られました。

パネリスト同士の話の投げかけもあったり、客席からの質問に応じたりと、コーディネーター、パネリスト、客席が一体となったフォーラムとなりました。

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最後に小山田代表から「はだかの自分に出会えるお遍路を空間として、子どもたちに生き方や価値観を伝えていこう」と呼びかけ、2時間のフォーラムは幕を閉じました。

フォーラム終了後には、12名の方が「四国へんろ道文化」世界遺産化の会へ入会されるとともに、たくさんの方々が署名にご協力いただきました。

世界遺産化の会は、6月16日にも宇和島市でフォーラムを開催するそうです。

詳細はコチラから

また、みかん一座もミュージカル「夢へんろ」を松山市で再度公演されるそうです。

詳細はコチラから

2日間、世界遺産化の会の方々と行動を共にしてきましたが、自分自身も「四国へんろ」について再考できる機会であったこと、多くの方々と汗をかいて活動したこと、そして何より多くの人との出合いがあったことに感謝とお礼を申し上げます。ありがとございました。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)
 

お遍路さん、渋谷を歩く

6月2日(土)「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が渋谷でお遍路パフォーマンスを実施しました。

これは、翌日(6月3日)に控えているみかん一座ミュージカル「夢へんろ」と「四国へんろ道文化@東京フォーラム」の周知、「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の活動を広く知ってもらうために開催したものです。

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※武田代表が準備したポスター

この日は、愛媛から世界遺産化の会の小山田・武田代表をはじめとする会員の参加と、今秋から「百年お遍路」に取り組む千葉のNPO法人ニュースタートのメンバーやお遍路を経験した東京、大阪の方々など一般参加も得て、総勢30名での活動になりました。

渋谷駅前のモアイ像周辺でチラシ配りや署名活動を行いました。駅前ということもあり足早に目の前を通過していく人達が多く、苦戦もしましたが、中にはお遍路に興味を持つ方や世界遺産化に向けての取り組みなどに関心を示す方もいて、予定していたチラシやパンフレットを配り終えました。署名に協力してくれた皆さんありがとうございました。

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※小山田代表自ら活動の説明

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続いて、場所を代々木公園に移すため、モアイ像前からハチ公前を経由し、渋谷で有名なスクランブル交差点をお遍路スタイルにのぼりを持ち、一行で歩きました。スクランブル交差点は、予想どおりの混雑振りで、人の間をかき分け入るように歩きました。周囲の人たちは何ごとかのように振り返っていましたが・・・。

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代々木公園ではちょうどこの日、エコライフフェア2007が実施されており、自治体関係者や各企業がそれぞれのエコライフ活動の展示やパフォーマンスを行っていました。

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その間を通り、NHKホールの前で改めてチラシ配りや署名活動を行いました。エコライフに関心のある方が多く集まっていたので、へんろ道文化や世界遺産化への取り組みなどに関心を寄せてくれる人も多く、翌日のフォーラムや今後の活動に対し、応援する激励の言葉もいただきました。多くの方の協力により、遺産化の会入会案内パンフ400部、フォーラムチラシ350枚、すべて配り終えました。

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※活動を終え、全員で記念写真

今日の活動は、翌日の四国へんろ道文化フォーラム@東京フォーラムが盛会に行われる助長となりました。

※四国へんろ道文化@東京フォーラムの模様は、後日掲載させていただきます。

「四国へんろ道文化」世界遺産化の会の取組や入会は、コチラから!

(文責 まちづくり活動部門 研究員 松本 宏)

街道灯篭祭り 蛍の畦道をゆく

6月3日(日)には、前日の四万十市に引き続いて松野町目黒地区において「街道灯籠祭り 蛍の畦道をゆく」ということで、田んぼの畦道を灯籠でライトアップされるイベントが行われました。

この日はちょうど、四国風景街道交流会と畦道コンサートも同時開催され、会場の松野南小学校体育館では、四国風景づくりの会の代表をつとめる羽藤英二東京大学准教授さんの司会のもとで、四国西南地域各地の「美しい風景づくり各地の事例紹介」が行われた後、会場となった松野南小学校児童の皆さんによる風景づくり活動の発表報告が行われました。

各地の事例報告では、それぞれの地域づくり団体が実施しているイベント報告、四国風景づくりの会のみなさんと一緒に実施したワークショップの紹介(これを会では「風景づくり活動」と呼んでいます)がメインでしたが、それぞれが地域の特徴を活かしながら風景づくり活動、地域づくり活動を実践されていることが会場で紹介されており、各地区での取り組みの情報交換を図っていたようです。

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その後、本来であれば目黒川付近の特設会場での「畦道コンサート」が行われる予定でしたが、あいにく前日からの雨で松野南小学校でのコンサート開催となりました。

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そして、コンサートが終わる頃になると、それまで降っていた雨があがり、ライトアップができる状態になったので、子どもたちが点灯式を行った後に、いよいよ畦道にある灯籠を点灯していました。

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ちょうど、この日は雨上がりということで、蛍も飛んでおり、文字通り「蛍の畦道」となっていたようです。なお、このイベントは2回目だそうで昨年度は蛍が飛ばなかったとのこと。今年は、蛍と灯籠のおりなす優しい光りが訪れた人の心を癒していたようで、主催者である「目黒の里ホタル愛好会」のみなさんもたいへん喜ばれていたようです。

松野町のイベントについては、前日に行われた四万十のイベントとはやや異なり、四国風景づくりの会のみなさんが会場設営など、事業全般にわたりボランティアスタッフとして関わっている様子が見受けられ、地元への関わりが強いのが特徴のようで、地元の人たちと一緒に活動をしながら事業を展開しているようでした。

また、「街道灯篭祭り」というネーミングからして、この名前を付けた方は司馬遼太郎さんの影響を受けているのではないかと勝手に想像してしましたが、そのあたりについてはまったく確認が取れておりませんので、次回行われるイベント取材時の課題としたいと思います。

さて、この次なる「街道灯籠祭りイベント」ですが、各地の予定は以下のとおりになっています。

6月9日 海街道をゆく 愛南町僧都川(ぞうづがわ)河口

7月7日 酒蔵の道をゆく 愛南町小西酒造周辺

8月5日 水面の道をゆく 四万十市佐田沈下橋 

8月7日 天涯の道をゆく 宇和島市遊子水荷浦段畑

8月16日 行灯回廊をゆく 宇和島市岩松地区

8月25日 山街道をゆく 愛南町山出地区

イベント詳細については、四国風景づくりの会まで。HPはコチラです。

このイベントについてのお問い合わせは、松野町役場 蛍の畦道プロジェクト事務局(0895-42-1111)まで。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

街道灯篭祭り 紫陽花の道をゆく

6月2日(土)に愛媛県のお隣である高知県四万十市安並地区で開催されたロウソクでライトアップする「あじさいプロムナード」(主催:四万十かいどう推進協議会)を取材しました。このイベントは「四万十・南伊予風景街道 街道灯籠祭り」と銘打って、「灯籠」というひとつの共通項により、四国西南地域の地域づくりイベントを連携して発信しようという狙いで行われているもののひとつのイベントとして位置づけられています。

そして、この日ライトアップの会場となった安並地区は「水車」と「紫陽花」で有名なところで、水車は「四ヶ村溝(しかむらみぞ)の水車」と呼ばれ歴史は古く江戸時代からの由来があり、現在は観光用に保存されているそうです(下の写真を参照)。

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この風景を3000本のロウソクを使ってライトアップして、夜の水車と紫陽花の風景をあじわおうという試みです。
ライトアップ当日、この日はかなりの悪天候。しかし、午後3時過ぎから地元の自治会のみなさんや小学生のみなさんが集まって、3000個のロウソクを設置するための準備をしていました。

主催者の「四万十かいどう推進協議会(事務局:中村商工会議所)」の方にお伺いすると、この安並地区でライトアップを行うのははじめてだそうで、このライトアップ設置作業は地元住民の有志のみなさんと一緒にやるということでして、ゆくゆくは地元の皆さんが主催ということでやるという方向性をもちながら事業をすすめているそうです。

で、気になる作業の様子をご紹介し、その後のライトアップされた風景をご覧ください。

ロウソク 砂 完成

ロウソクは100円ショップで購入したもの、ロウソクを入れる器はお酒を入れていた空き瓶を酒屋さんから無償で提供してもらったものということで、このイベントの最大の特徴はほとんど経費がかかっていないことです。それに3分の1くらいまで砂を入れて(真ん中の写真)、ロウソクを入れれば灯籠の完成(右の写真)です。この砂も無償提供だそうです。

それを道路沿いに並べてあとは日が落ちて点火すれば「プロムナード」の完成です。

点火

といいたいところだったのですが、ここからがこのイベントが大変でした。点火したらすぐに雨が降ってきて、ロウソクの火が消えてしまい、再度点火するという作業を何回か繰り返すというかなりたいへんな作業にもかかわらず、スタッフのみなさんの努力の甲斐もあり、すべてのロウソクとはいかないまでも訪れたみなさんもたいへん感動するような空間ができあがっていたようです。

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※デジカメの性能と撮影者の技術不足により雰囲気が十分に伝えきれないことをお詫び申し上げます。

さて、この取り組みの特徴は大きく二つだと思います。

ひとつは、前にも書きましたが「ライトアップ経費がほとんどかからない」ということがあげられます。ロウソクのほかにも懐中電灯も設置していましたがそれも100円ショップで購入ということで3000個のライトアップにかかる経費はほぼロウソク代のみということで、どこの地域でもできるイベントであることが大きな特徴でしょう。

そして、もうひとつは地域の人たちの参加できる仕組みがあるイベントであるということでしょうか。ロウソク設置の準備を子どもから高齢者まで地域の人たちが参加してロウソクを並べるという仕組みは、地域づくりにおける『公共性や協働性』といった点においてもかなり有効な取組であるといえます。

このイベントについてのお問い合わせは「四万十かいどう推進協議会」まで。関連HPはコチラです。

なお、この「街道灯籠祭り」に関するホームページはコチラです。うちの地域でも灯籠イベントをと考えておられる方は「四国風景づくりの会」にお問い合わせをしてみてはどうでしょうか?

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)