研究員ブログ

へんろ道体験クリーンウォーク

去る5月25日は四国へんろ道文化世界遺産化の会の主催による「へんろ道体験クリーンウォーク」が行われました。

この日は前日からの雨とうってかわって、たいへん暑い中での清掃ウォークとなりましたが、 参加者のみなさんは元気に清掃活動をしながら三坂峠から荏原町までのへんろ道体験ウォークを楽しみました。

私もさっそく体験いたしましたが、旧へんろ道を歩いたのは、これで三回目です。これまでもっともきつかったのは歯長峠(42番札所仏木寺~43番札所明石寺の間にあるたいへん急峻な峠)の峠越えでしたが、この道はすべて「くだり坂」なので疲れはなかったものの、あとでたいへん膝にこたえる「へんろ道」で、日頃の運動不足を露呈する結果に・・・。

クリーンウォークの詳しい様子などは、事務局日誌に写真を交えて紹介していますので参考までに。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

第1回実行委員会を開催しました。

第26回地域づくり団体全国研修交流会愛媛大会の平成20年度第1回実行委員会を南予地方局で開催しました。なお、今日の研究員ブログの内容は事務局日誌においても紹介しています。

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今回の実行委員会において話し合った議題のうち、おもな議案については以下のとおりです。

1.委員・役員の変更
 人事異動等による実行委員の変更があり、承認されました。新しい実行委員名簿などはHP上に掲載いたします。

2.平成19年度事業報告・決算報告
 平成19年度の実行委員会の事業報告と決算報告、あわせて監査報告を行い、承認されました。

3.開催要領の検討について
 8月から募集を開始する愛媛大会の開催要領の内容について、前夜祭、全体会、昼食交流会、分科会にわけて協議を行いました。

その他、いくつかの事項を協議し、実行委員会終了後、実行委員のみなさんで全体会場などの現地視察を行いました。

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愛媛大会の全体会場となる予定の施設は、宇和島市の中心部にあります「南予文化会館」です。交通アクセスとしてはJR宇和島駅より徒歩10分程度といったところの位置にあります。

来る愛媛大会ではこの南予文化会館の中ホールをメイン会場に、全国の地域づくり人と県内の地域づくり人が集い、お互いを高めあうことのできる大会にしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします!

次回の実行委員会は6月下旬で、会議の開催場所は八幡浜市を予定しております。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

持続可能な観光と地域づくりを考える

えひめ地域づくり研究会議が主催している今年度最後の「地域ミニフォーラム」が伊予市で開催されました。

これは、伊予市が1市2町で合併したのを機に、あらたに制作した観光ガイドブックである「い~よぐるっと88」が発刊されたことにともない、「持続可能な観光と地域づくりを考える」フォーラムと題して開催されました。

このフォーラムでは、地域の歴史・文化遺産を見直すツーリズムや環境・景観保全、農漁村との交流を求めるグリーン・ツーリズムに対する関心が高くなる中、固有の地域資源に光をあて、これからの魅力ある地域づくりと持続可能な観光政策のあり方を模索するため、以下のスケジュールで行われました。

①基調講演
②スライド解説
③パネルディスカッション

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①の基調講演では、松山大学経済学部の鈴木茂教授が「『観光立国』と地域観光政策」~愛媛の観光の課題~と題して、愛媛県の現状や海外の事例をもとにお話をされました。

先生の話の中で特に印象的だったのは、都市と農村の格差のお話です。
日本の場合、農村は都市に人、物を供給している割に都市から農村へはあまり供給されていないという事実がある一方で、欧米の場合は都市住民は余暇を農村で過ごすというライフスタイルが定着して経済活動として農村も潤っており、日本も余暇を農村で過ごすというライフスタイルが確立されれば、「都市と農村の格差」という問題もなくなってくるのではないかというお話が印象的でした。

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②のスライド解説では、えひめ地域づくり研究会議の岡崎事務局長が、伊予市歴史街道と題して、伊予市のあまり知られていない文化財を紹介し、「埋蔵文化財」とは土の中に埋まっている文化財のことをさすが、それとは別に住民自身がものの価値に気が付いていない文化財もまた、「埋蔵」文化財であるというお話は、みなさん納得されていたように思います。

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③では、えひめ地域づくり研究会議の運営委員をされている門田さんがコーディネーター役、基調講演をされた鈴木先生がコメンテーター役として、「い~よぐるっと88」の執筆に関わった伊予市の住民の方3名(旧伊予市、旧中山町、旧双海町からそれぞれ1名ずつ)と、観光カリスマでもある若松進一さん、伊予市産業経済課の米湊さんをパネリストとして、「これからの伊予市・観光まちづくりへの提案」と題して、パネルディスカッションが行われました。

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パネルディスカッションでは、実際に本の編集に携わった方の苦労話や、編集の成果などが話し合われ、なかなか活発な議論ができていたように思いますし、途中に笑いもおきるなど参加者も非常に身近に感じながらのパネルディスカッションができたのではないでしょうか。

その議論をごく簡単にまとめますと、以下の5つになるでしょうか。

(1)行政と民間が協力してつくることができた(協働の視点)
(2)普段何気ないものに価値があることがわかった(発見と再発見)
(3)高齢者の知的エネルギーをもっと活用すべき
(4)新しい観光メニューの可能性を感じることができた
(5)伊予市の観光情報が発信できた

もっとも印象的なのは、これまで市町村合併でメリットよりもデメリットばかり表面化されている中で、伊予市の場合は住民自身が調査をし、文化財を発掘して整理を行うという行為そのものが、地域づくりを行う上でもたいへん重要であるということでしょう。

また伊予市は市町が合併したことによって「町(旧伊予市)」・「山(旧中山町)」・「海(双海町)」という、それぞれ異なる地理的な特徴をもつ自治体が合併しており、それをうまく活かさない手はないということです。

今後の伊予市は「観光」という側面で、合併した強みを見出していくということがうかがうことができたフォーラムだったように思います。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

佐伯に行ってきました

前回の研究員ブログの続きです。臼杵市で町並みなどの視察研修を行った後、大分県佐伯市を訪問いたしました。

ちなみに、佐伯市は「さいきし」と読みます。みなさん、「さえき」ではないそうですのでお気を付けください。 って、こんなことを書いたら私が勘違いしていたことがバレバレですね。

佐伯市に到着いたしましたのが夕方でしたので、佐伯市教育委員会の教育委員長をされている宮明邦夫さんのご好意により、まちづくり関係のみなさんと親睦会を行いました。

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懇親会の様子

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立派な舟盛り!豪華です。

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余興で手品も登場しました。みなさん芸達者です。

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それで、親睦会で勢いがついて佐伯市役所の方の行きつけのお店へ全員で移動。ここで登場いたしましたのが、佐伯市が誇るB級グルメ「ごまだしうどん」。

この「ごまだしうどん」の「ごまだし」とは、 焼いたエソ類などの魚の身、胡麻、醤油等を混ぜ、擂り潰して作られる郷土料理のことです。湯に溶いてうどんを入れ、「ごまだしうどん」として食すのが一般的で、この「ごまだしうどん」は農山漁村の郷土料理百選にも選定されています。一同、おいしくいただきました。

翌日は、宮明さんから佐伯のまちづくりについて講義を受けました。宮明さんは教育委員長のほかに商店街の会長もされ、さまざまな公職につかれてまちづくりに取り組まれていますが、その原点は県南落語組合とよばれる落語により地域づくり活動であるとのことです。

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宮明さんからは笑いをまじえながら、とても示唆に富んだお話をうかがうことができましたので一部をご紹介いたします。

・コンセプトのあるまちづくりを。
 佐伯市に限らず地域の連帯性が弱くなっている中、特に商店街は希薄だと感じます。そんな中で郊外にショッピングモールができて人気が出てお客がとられるのは当たり前で、それはショッピングモールにはコンセプトがしっかりとあるからだ。ショッピングモールはお互いの顔が見えるという点では弱い部分であるが、そういったお互いの顔が見えるショッピングモールができたら商店街はとても勝つどころか生き残ることすらできないだろう。
 また、商店街の成り立ちは自然発生的にお店をたちあげており、商店街としてのコンセプトがあるわけではなく、現在多くの商店街がシャター街となっているのは、玉石混交のお店があるからだと言える。
 であるから、言い換えればシャッター街となった今がチャンスともいえる。コンセプトをもった商店街をしっかりとつくることができれば、かならず商店街が生き残ることができるともいえる。
 自分の店は薬局だが、自分の両隣3軒がシャッターがおりていたお店となっていたので、友人などのツテを使い自己努力で自分の両隣の空き店舗に地主を説得して、友人の医者に整形外科医院と眼下医院を開業してもらった。そうなると医薬分業だから自分の店にも利益がでるようになった。
 そして、そのもうひとつあいていた空き店舗にはその両隣の医院の待合室ということでスペースを設けて、患者や住民たちの交流の場をもうけた。こうすることによりコンセプトを持った商店街づくりができるようになっていった。
 きっとコンセプトのある商店街づくりとはこういうことなのだろうと思う。

・できないことは人にやってもらう
 人にはやれることとやれないことがある。だからこそ、それぞれの得意分野をうまく融合させることが大事で、さきほどの自分の薬局と両隣の医院の関係にも似ている。何でもすべて自分がマルチになってやる必要はないわけで、自分ができないところは、できる人にやってもらい、それぞれが役割分担しつつ、また切磋琢磨しながら高めあう、そういうようなグループをつくることが大事である。

宮明さんに貴重なお話をうかがったのちは、物産所に立ち寄ってお土産を購入するなどして、佐伯市の古い町並みを市の観光ボランティアガイドの方によりウォッチングしました。

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トンカツならぬ「ブリカツ」です。ブリカツ丼なるものもありました。

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ボランティアガイドさん。もとはバスガイドさんということで、流暢なガイドにみなさん聞き惚れておりました。ガイドの途中の雑談にでてくる佐伯の方言が素朴でとっても素敵でした。

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ガイドの様子

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佐伯市も古い街並みが残っています。

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マンホールには国木田独歩の詩が。

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佐伯市と言えば、なんといっても国木田独歩です。どんな人だったかは知らない人は調べてくださいね。

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ちょうど、塀を修復している工事現場を見ることができました。

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お家のところどころに飾り瓦があり、ウォッチングにもたまらないところです。

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ところどころかわったおうちもあります。

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途中で抹茶の休憩なども少々・・・。

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ガイドさんと一緒に佐伯のおいしいお食事と美しい風景を堪能いたしました。また、成人式の新成人に古い街並みで写真撮影をするといった仕掛けや、ミニ四国八十八か所を発掘しようとするなど、ガイドさんの地域づくりにかける熱い思いも聴かせていただきました。

愛媛から海をへだてたところにある大分県。特に佐伯市や臼杵市などはあまり行く機会がないところではありますが、ふたつの市のまちづくりから学ぶことが多かった研修だったように思います。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

臼杵に行ってきました

去る2月23日(土)・24日(日)の両日、えひめ地域づくり研究会議の会員有志のみなさんと一緒に大分県臼杵市と佐伯市まで先進地視察旅行に行ってまいりました。

今回の「研究員ブログ」は、そのうち臼杵市のまちづくりについて学習した様子をご報告いたします。

訪問したこの日、臼杵市ではちょうど社団法人日本建築士会連合会まちづくり委員会が主催の「第5回まちづくりセミナー」が開催されており、私たちもその一部だけですが参加させていただきました。

このセミナーは社団法人日本建築士連合会が、建築士のまちづくりに携わる専門性や職能の強化と今後のまちづくり活動の発展に資することをめざして開催しています。

今回の臼杵市でのセミナーでは、臼杵のまちなみをどう保存して活用していくかという事例報告や現地視察から学び、参加者同士による意見交換を通して今後のまちづくりの参考にする内容となっていました。

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ちなみに、この日、海は大しけ。臼杵に向かう船はかなり揺れました。

話を戻しまして、臼杵に到着して午前中は臼杵市の図書館にあります(これもまた古民家風の建物で素敵)会場で臼杵市のまちづくりの事例報告と、質疑応答の様子を見学し、昼食をはさんで午後からは大分県職員でもある斉藤行雄さんのご案内で臼杵の古い町並みを視察し、また臼杵のまちづくりについてのお話をおうかがいしました。

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午前中のセミナーの様子

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臼杵の商店街。臼杵は景観にすぐわないとしてかつてあったアーケードをはずしています。 

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昼食の場所「ポルト蔵」と呼ばれるところ。かつて蔵だった施設を改装したお店だとか。

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この日の昼食メニュー(郷土料理でした)

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マンホールは臼杵市がキリシタン大名「大友宗麟」とゆかりのある土地であることから「南蛮船」をイメージしたものになってます。 

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ここ何とスーパーマーケットなんです。ちゃんと景観に配慮したつくりになっているんですね。

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石畳の道が何とも風情がありますね。

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これもまた「修景」のひとつ。水道管を見えないようにするために、管を石で囲んでしまっています。

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こちらは臼杵らしく「竹」で管を囲っています。

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カーブミラーも何とも素敵

さて、訪問して一番印象的だったのは臼杵の町並みを保存していく運動として、古民家を買い取るということをしているということでしょうか。保存運動をしている人が古民家を買い取ってそれをリフォームして住む。そういうことが臼杵で取り組まれています。

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古民家を買い取ってリフォームされた家。ここは見晴らし良い高台にありました。

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上の家にある書斎。何とも素敵。こんな書斎がほしいです。

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自然石を利用した壁の家。何とも風流な・・・。

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その家の書斎。うらやましすぎます・・・。

そんな古民家を再生した家を何軒か拝見しましたが、どの家も住みたいなあと思わせるようなところばかりでした。こんな書斎がほしいと思うのは私だけでは決してないはずです!

こういった古民家を買い取って町並みを保存するということは経済的な側面が大きく左右されますのでなかなかできることはないと思われます。

臼杵の場合は建築士さんたちが中心となって景観保存をされているそうですから、古民家を買い取っても自分たちで設計して作りなおせばよいわけですから、通常の古民家買い取りとは若干意味合いが違いますが、そういった取り組みができるということ自体が、たいへんすごいことだなあと感心いたしました。

また、臼杵といえば何といっても「竹宵」でしょうか。臼杵の町並みに竹の行燈を設置して、一部は市民から公募して設置したオブジェのような美術色の強い竹の行燈もあったりするなど、町並み全体が幻想的な風景を醸し出すイベントで、現在はNPO法人が中心となって運営されているそうですが、この竹宵は大分県内外から多くの観光客が訪れる人気のイベントです。

そんな竹宵の竹ですが、毎回、竹炭や粉砕して肥料にして有機野菜を栽培し、毎回設置する竹はすべてその年に伐採したものを使っていることをはじめて知りました。

これは竹林の被害で山が荒れることについても少しは防ぐこともできますし、なかなか練られたシステムではないでしょうか。臼杵のまちなみの修景も含めて「臼杵のまちづくり」に学ぶことはたいへん多かったように思います。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)