研究員ブログ

ワーキングホリデーの可能性

現在、東国原知事の影響により全国的に注目されている宮崎県に、「西米良村」という山村があるのだが、その西米良村のことが「月刊ガバナンス9月号」(発行:ぎょうせい)という雑誌に紹介されており、とても興味深い内容だったので紹介したい。

この西米良村は、宮崎県中心部から車で2時間ほど。 この村が全国的に注目されるようになったのは、97年に「西米良型ワーキングホリデー制度」を立ち上げたのがきっかけである。

ワーキングホリデーとは、そもそもは「二国間の協定に基づいて、特に青少年に対して、他国で働きながら休暇を楽しむのを認める制度」のことであり、日本ではオーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、イギリスといった国と協定を結んでいる。

しかしながら、西米良型ワーキングホリデーは、「都会の人たちに自然豊かな西米良の農家で働いてもらい、その労働の対価として農家が賃金を支払い、村は参加者のための滞在施設を用意して農家の負担を軽減する」といった、本来のワーキングホリデーの趣旨とも異なり、当時から注目されていた「グリーン・ツーリズム」とも異なる仕組みをつくりあげた。

これは過疎化と交流人口を増加させるための施策であったが、現在の成果としては毎年50人ほどが参加しているという。たかが50人であるが、西米良村の人口は1300人ほどであるから、「されど50人」である。影響は大きいと見るほうが評価としては正しいと思われる。

この西米良村にならって、全国各地で西米良型ワーキングホリデーをやっている自治体は多く、特に長野県のような大都市近郊の県では熱心に取り組んでいるようで、今では行政関係者の間ではこの「西米良型ワーキングホリデー」は割りとポピュラーになっており、誠に個人的なことではあるが、このブログ記事を書くまで筆者は「ワーキングホリデー」とは「西米良型のそれ」を意味するものと勘違いをしていたほどである。

そんな筆者が勘違いするほど全国に知れ渡った「西米良型ワーキングホリデー」。ざっと確認したところ、残念ながら愛媛県内でこのような取り組みをしている自治体はなかった(あったらごめんなさい)ようだが、愛媛県への移住を希望する人たちにとってこの西米良型ワーキングホリデーは、たいへん魅力のあるメニューの一つになりうるのではないかと、ガバナンスを読みながらふと個人的に思ったりもした。ちなみに、西米良村の取り組みは「舞たうん」でも紹介しているので興味のある方はご一読を。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

県産品をつかったコンビニ商品(3)

本日10月16日(火)より10月29日(月)まで、県産品をつかったコンビニ商品として第3弾の商品がファミリーマートさんで販売されています。第2弾の商品はコチラを、第1弾の商品はコチラを参照してください。

1.直巻醤油めし(128円税込)

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愛媛県の郷土料理でもありJR松山駅の駅弁にもなっている「醤油めし」のおにぎりタイプ。地元の醤油メーカーが製造している濃い口醤油を使用しているそうで、まさしく「郷土の味」といったところでしょうか。おにぎりの具としては、油揚げ、にんじん、ごぼうといった具材が入っています。もちろんお米は愛媛県産「愛のゆめ」を100%使用。

2.伊予美人弁当(420円税込)

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愛媛県の秋の風物詩ともいえる「いもたき」。県内各地の河原などで行われていますが、その「いもたき」をイメ-ジしたお弁当です。煮物につかわれているサトイモは、旬の愛媛県産の里芋「伊予美人」を100%使用しています。言うまでもなくお米は愛媛県産「愛のゆめ」を100%使用しています。さすがネーミングが「伊予美人」だけあって、女性でも気軽にランチで食べることができそうなサイズになっています。

ここでおさらいということで、「愛のゆめ」と「伊予美人」について御紹介しておきます。知っているようで、知らない情報かもしれませんね。

「愛のゆめ」は愛媛県農業試験場が開発した愛媛県オリジナルの新品種で平成14年1月に奨励品種として採用されています。品種で言えば「西海181号」と「ヒノヒカリ」の交雑種となり、コシヒカリの孫ということになります。

この「愛のゆめ」の名前の由来は、愛媛県民が将来に向けて抱く夢を託せる品種に育ってほしいという願いが込められていて、学校給食のお米として推奨されています。

一方の「伊予美人」は、平成18年に誕生した愛媛県オリジナルの新品種で、「愛のゆめ」と同じく愛媛県農業試験場が開発しました。伊予美人は粘りが強く肉質が非常にやわらかいのがその特徴です。おもな産地は四国中央市あたりになります。

現在、「地産地消」がさけばれています。せっかくだから「愛媛県産」にこだわって食事をしたいものですね。ここでは、関連サイトとして「えひめ愛フード推進機構」さんのHPと全農えひめさんのブログを御紹介いたします。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

いなかインターンシップ報告会

10月14日(日)に、高知県本山町にあるプラチナホールというところで開催されました「いなかインターンシップ報告会」に参加してまいりました。

それで、筆者ははじめて来た場所ということもあり、予定開始時刻より到着時刻が早かったので本山町をちょっと探検しました。

この本山町は、高知市から北に約20キロの四国山地の中央部に位置し、人口4300人ほどの山間にある町で、高齢化率は37.9%という典型的な少子高齢化がすすんでいる町です。おもな産業は農林業で、しいたけ・しそ・ゆずなども特産品となっているようです。

また、この本山町は小説「婉(えん)という人(高知藩の家老職をつとめた野中兼山の娘)」でも知られる大原富江(1912-2000)の故郷として、町には記念館なども建てられており、大原富江の書斎などが再現された展示室もあります。

大原富江記念館

※大原富江記念館(入場料大人300円)

その後、町内中心部を探検・・・いやいや散策してみました。

本山町役場 中心商店街

※本山町役場(左)と中心商店街(右)です。ほとんど人を見ることが出来ませんでした。歩いていると、銀行の支店も統廃合により撤退しており、そのあたりに地域の現状をうかがい知ることができたように思います。

レトロな看板 高知屋

※商店街にはレトロな看板やちょっと渋めの旅館などもあり、もうちょっと探検すると面白いかもしれないなあと思いました。

さて、今回取材した「いなかインターンシップ」とは、高知市にある出版社「南の風社」さんが実施しているもので、夏休みなどを利用した1ヶ月以上の長期のインターンシップで、その活動場所を高知県の山間の地域である「れいほく地域(大豊町、本山町、土佐町、大川村、旧本川村)」をフィールドに行うものです。

また、長期のインターンシップは、短期のそれとは違い学生にとっては人間的成長を見せるチャンスの拡大、受け入れる地域としては若者との交流人口の拡大による「地域活性化」というメリットがある反面、派遣される学生の側も、そして受け入れる地域の側もリスクが伴うために、それを解消させてお互いが「Win Win」の関係になるためのコーディネーター役ともいえる「中間支援の団体」が間に入っていることがその大きな特徴です。

愛媛県ではNPO法人Eyesさんがその中間支援のコーディネーター役として活動をされていますが、この高知県の「いなかインターンシップ」では「南の風社」という高知市にある出版社が担当しています。

また、愛媛や高知以外にもこういう中間支援組織があり、もともとは経済産業省の「若者の起業やチャレンジをうながすための事業」の委託を受けたNPO法人ETIC(東京都)さんがそのはしりといわれています。

さて、この日に行われた「いなかインターンシップ報告会」では、今年の夏におよそ30人の学生が11のプログラムで行われたインターンシップの報告が行われました。

インターンシップ報告の様子

※報告の様子(この日参加した学生は60人ほど)

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※交流会の様子(ちょうど九州大学の学生さんが感想を言っています)

どの取り組みも非常にユニークな取組が多く、学生さんの人間的な成長や受け入れた側の企業、行政からのコメントなどが寄せられて、たいへん活気がある事例が多かったように思います。

報告会の運営そのものについてはパワーポイントが後ろの人には見えにくい文字やイラストをつかっていたなどの注意点などもありましたが、特にさほど気になるようなものはありませんでした。

それで取材してみて、さまざまな傾向や課題があることがわかりました。

1.男子学生より女子学生のほうが圧倒的に多い

今回の「いなかインターンシップ」にチャレンジした学生の7割くらいは女子学生でした。理由について「南の風社」の方にお聞きしましたがはっきりとした理由はわかりませんでしたが、女子学生のほうがまじめに将来のことを考えている学生が多いのかもしれません。

2.他県出身者が多い

ようく学生さんのネームプレートを観ていると、そのほとんどの学生さんが「高知県出身ではない」という事実に気がつき、南の風社の方にお聞きすると、高知大学は全国の地方大学では珍しく地元出身者が2割しかいないところであるとの回答をいただきました。高知県の若者が地元志向ではないという気質が一部としてあるということがうかがえます。地元の若者が地元に残らないというのはある意味において課題でもあるように感じました。

3.いなかでも長期インターンシップはできるが…。

このフィールドとなった「れいほく地域」は高知県の中心部から車でなければあまり通うことができない地域です。したがって、メインは学業がない夏休みや春休みをつかって実施されるわけですが、ネックになるのは学生の宿泊先と食事です。そのため、この「いなかインターンシップ」では旅館やロッジなどの宿泊施設で働く事例が多かったようですが、そうではない受け入れ先ではかなり通勤に苦労しそう(交通手段がバスしかなくてしかもそんなに便数もない)な印象を覚え、地方でインターンシップを受け入れしようとしてもそういう宿泊施設がないところでのインターンシップはかなり学生にとっても金銭的な負担が大きいように感じました。そこをどうクリアするかが課題のように感じました。

4.もう少し地域を巻き込む形を

これは高知県の職員の方も述べられていましたが、この報告会の学生以外の一般参加者は受け入れ先の企業関係者の方ばかりであり、せっかくいい取り組みをしているのだから、自分たちがインターンシップに入っていった地域の住民に対して、「自分たちはこういう取り組みをしました」という報告会をするのでぜひ聞きに来てくださいといった、地域を巻き込む形を見せることができれば、またひとつ違ったステージにあがるのではないかと思いました。

しかしながら、最後の交流会で感想を述べる時間があり、自己紹介と共にひとこと感想を申し上げた後に、何人もの学生さんが私のところにやってきて、「まちづくりに興味があって勉強をしているんで、名刺をいただけますか?」「研究員ブログさっそく見ます!」と話しかけてきました。こんなにまちづくりに熱い学生が多いとはと感心しきりでした。高知、かなり熱いです(笑)  愛媛の学生も負けていられませんぞ。

いずれにしても、「わかもの、よそもの、ばかもの」といわれる地域づくりの要素をうまく取り入れたプログラム事業であり、田舎が生き残る道の一つとして「交流人口の増大」という意味においても、今後の地域づくりに生かすことのできる可能性を感じさせることは間違いないでしょう。

今後は、この事例は大学側から見た場合の事例ですが、逆に大学の地域貢献とあいまってインターンシップを活用した地域づくり活動をしている地元側の視点も調査してみたいと考えております。

ちなみに、余談ですが、高知大学ではこの長期インターンシップを実践した学生には最大で14単位を認定しているそうで、全国的にもたいへんユニークな取組だそうです。愛媛県内の大学でもいずれはそうなるかもしれませんね。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)

「研究員ブログ」の投稿、100回目に突入!

 今年5月に「えひめ地域政策研究センター」や研究員の日々の活動等を、情報発信する目的で「研究員ブログ」を開設してから、100回目を迎えることになりました。人間牧場主で、えひめ地域づくり研究会議代表運営委員でもある若松進一氏のブログには、到底及びませんが、継続して情報発信することが大切であり、これも研究員の努力・協力のおかげであると、感謝しています。

 担当者によると、月のアクセス数は、3,000に満たない程度だそうですが、「いつも読んでいるよ」という温かい励ましをいただくことも増えているようで、地域活性化や地域振興につながる情報提供という意味において、甚だ微力ではありますがこの「研究員ブログ」がお役に立っているのではないかと考えています。

 さて、100回目という節目の今回、今年度もおよそ半分が過ぎましたので、私どもの「えひめ地域政策研究センター」の近況について、報告をさせていただきます。

 当センターでは、会員の減少や各自治体の厳しい財政状況を反映して、会費収入や事業収入の減少など、厳しい運営を余儀なくされておりますが、地域課題についての自主研究や公共的団体などからの委託調査研究、政策研究セミナーの開催、調査研究情報誌「ECPR」まちづくり情報誌「舞たうん」の発行、地域づくりリーダーの育成などの各種事業を各研究員ががんばって実施しております。

 さらに、今年度から、次のような新たな取り組みも開始いたしました。

 まずは、県内の地域づくり団体のみなさんが交流して情報交換する場をインターネット上に設置しようという趣旨のもと当センターのホームページ内に、この「研究員ブログ」も含めた「地域づくり広場」を開設し、5月から運用しています。残念ながら「研究員ブログ」以外の記事の更新頻度が低いようですが、今後も継続して情報発信をしながら交流の場を広げる土壌づくりに取り組んでいきたいと考えています。

 次に、団塊の世代を中心とした本県への移住希望者に対する情報提供や市町の移住者誘致の取り組みに対する支援などを行う「愛媛ふるさと暮らし応援センター」の運営を愛媛県から受託し、9月10日にオープンしました。県外から一人でも多くの方々に、愛媛県に移住していただきたいものです。そのために、愛媛県や各市町のみなさんと連携を図りながら、できる限りのお手伝いをさせていただきたいと思っています。

 さらに、平成20年度に愛媛県で開催される「地域づくり団体全国研修交流会愛媛大会」の実行委員会事務局を仰せつかって、開催にむけた準備を行っていますが、当面は、平成20年2月1日・2日に開催される茨城大会で、愛媛大会のPRが最大の事業ですが、今後とも、実行委員のみなさんと連携を図りながら充実した情報発信を行い、全国の「地域づくり」に関わるみなさんに、是非、愛媛県に来ていただき、地域づくりについて、大いに語り合っていただきたいものです。

 このように、当センターでは、研究員一同、お金がなければ知恵を出し、知恵がなければ汗をかくの発想で、それぞれの事業について、より一層内容の充実を図り、積極的に事業を展開し、地域の発展に貢献してまいりたいとがんばっておりますので、今後ともみなさんの、より一層のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

(文責 えひめ地域政策研究センター 所長 栗田史朗)

ベンチャービジネスと市場

現在、毎週水曜日に朝日新聞の地方版で連載されている「若者よ、ベンチャーを目指せ」。これは松山大学経済学部が朝日新聞松山総局と連携して実施している市民開放講座の様子を紹介している記事です。

筆者もこの講座に何回か参加しているのですが、10月10日に行われた講座では私の大学の先輩が講師ということもあり、それはやはり行っておかなければならないだろうと勝手に思う(笑)とともに、前回講座に参加してから学生さんがどれくらいビジネスプランを練り上げているのかも気になりましたので出席してみました。

今回の講師は、パエッセ合同会社の代表をされている佐俣一志さん。起業したばかりや会社を興してあまり期間が経過していない若い会社を中心としたビジネス支援をおもにされており、現在は株式会社アドメテックという愛媛大学発の医療関係のベンチャー企業でビジネス支援担当の業務統括部長をされています。

今回の講義では、「ビジネスコンセプトとは何か?」ということで学生さんたちに講義がありました。

講義では、ビジネスのメカニズムとして以下の流れがあると述べられていました。あわせてハイブリッドカーで例をあげています。

①観察、気づき
 ↓(例)排気ガスが環境に悪い
②事業アイディア
 ↓(例)電気自動車にすれば排気ガスがでない
③ビジネスコンセプト構築
 ↓(例)環境に優しい車に乗ろう
④ビジネスプラン策定
 ↓(例)どういう工程で車をつくるか、誰がつくるか。価格は?
⑤ビジネスの実行
 ↓(例)ハイブリッドカーの販売
⑥収穫
 ↓(例)売上
ふたたび収穫の反省を生かして②~⑤にもどる

佐俣さんは、「ビジネスは、社会的にある問題点(たとえば不便さとか)を源泉としてあり、それをアイディアをもって克服、解決して儲けるということであるが、それを広く人にわかりやすく伝えるための作業が必要になってくる。その人に伝えるための作業そのものこそがビジネスコンセプトである」と述べられていました。

受講した学生さんたちも、ベンチャービジネスというものを通して、こういう物事の奥にあるものを探るという作業(=仕事の哲学とでもいうのでしょうか?)を行うことはたいへん重要だと思います。

筆者も行政職員ですので、自分たちが今担当している仕事をどうして今やる必要があるのか。その業務の裏にはどういう背景があるのかということをしっかりと理解したうえで業務にあたりたいものだなあと思った次第です。

いずれにせよ、学生さんたちが練り上げたビジネスプランが年度末にどのような形になるのか、今から楽しみです。

(文責 まちづくり活動部門 研究員 谷本英樹)